確定申告の手続きをパソコンで進める際、マイナンバーカードを読み取るための「ICカードリーダライタ」を正しく接続しているはずなのに、なぜかカードを認識してくれないことがあります。特に、以前使っていた古いカードリーダーがパソコンに繋がったままだったり、ノートパソコンに最初から読み取り機能が内蔵されていたりする場合、パソコンの内部で「どの装置を使えば良いのか」という迷いが生じてしまいます。これを『競合(きょうごう)』と呼びます。複数の読み取り口が同時に存在すると、確定申告のソフトが間違った窓口に話しかけてしまい、結果として「カードが見つかりません」というエラーを招いてしまうのです。本記事では、複数台のカードリーダーが認識されている環境で、あなたが今使いたい装置を最優先に設定し、エラーを解消するための具体的な手順を詳しく解説します。
【要点】読み取りの競合を解消し、正しい装置を優先させる3つの手順
- 現在の「窓口」の状態を確認する: パソコンの設定画面(デバイスマネージャー)を開き、今いくつ読み取り装置が認識されているかを正確に把握する。
- 専用ソフトで「優先順位」を指示する: 公的個人認証サービス(JPKI)の設定画面から、申告に使う特定の装置を名前で指定する。
- 使わない装置を「一時停止」させる: 競合の元となっている古い装置や内蔵機能を一時的に無効化し、通信の通り道を一本化する。
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目次
1. なぜ「複数台の競合」がエラーを引き起こすのか
パソコンという機械は、指示がない限り「最初に見つけた装置」や「あらかじめ決まっている標準の装置」を使おうとします。しかし、確定申告で使用するマイナンバーカードの読み取りソフト(公的個人認証サービス)は非常に厳格です。もしパソコンの中に、実際に使っているカードリーダー以外に「仮想的な読み取り装置」や「ノートパソコン内蔵の読み取りセンサー」が眠っていると、ソフトがそちらを本物だと勘違いして通信を開始しようとしてしまいます。当然、そちらにはカードが置かれていない(あるいは対応していない)ため、通信は失敗に終わります。これを防ぐためには、人間が「この装置が本物です、これを使ってください」と、パソコンに対して明確に優先順位を教えてあげる必要があるのです。
2. デバイスマネージャーで競合の正体を突き止める
まずは、パソコンが今いくつ「読み取り装置」を認識してしまっているのか、その内訳を確認しましょう。これがトラブル解決のための重要な診断作業となります。
2-1. デバイスマネージャーの開き方
- 画面左下の「スタート」ボタンを右クリックします。
- メニューの中から「デバイスマネージャー」を選択します。
2-2. 「スマートカード読み取り装置」を確認する
表示されたリストの中から「スマートカード読み取り装置」という項目を探し、左側の矢印をクリックして展開してください。そこに複数の名前が表示されている場合、それが競合の原因です。
- 「Microsoft Usbccid Smartcard Reader (UMDF2)」: 汎用的なドライバで、本物と仮想装置のどちらにも表示されることがあります。
- 「Microsoft ISV NFC Device」: ノートパソコンに内蔵されている近距離通信センサーであることが多いです。
- お使いの製品名(例:Sony PC/SC Smart Card Readerなど): これが実際にあなたが使いたい外付けのカードリーダーです。
3. 公的個人認証サービス(JPKI)で優先装置を指定する
パソコン側に複数の読み取り口があることを確認できたら、次に確定申告専用のソフト側で「どの口を使うか」を固定します。ここが最も重要な設定ポイントです。
3-1. JPKI利用者クライアントソフトの設定変更
- 「スタートメニュー」から「公的個人認証サービス」のフォルダを探し、「JPKI利用者クライアントソフト」を起動します。
- メイン画面が表示されたら、上のメニューから「オプション」→「利用するICカードリーダライタの設定」を選択します。
- 「ICカードリーダライタ設定」という小さな窓が開きます。
- 「PC/SC」という項目にチェックが入っていることを確認し、その下のリストをクリックします。
- 表示される選択肢の中から、「今、実際に接続しているカードリーダーの名前」を直接選んで「OK」を押します。
初期設定では「自動検出」になっていることが多いですが、競合が起きている環境ではこの「自動」が仇となります。あえて特定の製品名を指定することで、ソフトが迷うことなくカードを読み取りに行けるようになります。
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4. 徹底比較:競合の症状と具体的な解消アクション
競合のパターンによって、どのような対応が最も効果的かをまとめた表です。
| 現在の不具合の症状 | 考えられる主な原因 | 試すべき優先アクション |
|---|---|---|
| 「ICカードが見つかりません」と出る | 仮想装置や内蔵リーダーに通信が流れている | JPKIソフトの設定から特定のリーダー名を直接指定する |
| どのリーダーでも読めない | 古いドライバの残留による通信の混乱 | 使わないリーダーをデバイスマネージャーで「無効」にする |
| 暗証番号の画面でフリーズする | 複数のドライバが順番待ちで衝突している | 不要な読み取りソフトを一度アンインストールする |
| カードを認識したりしなかったりする | USBハブ等を経由した電力不足 | パソコン本体のUSBポートに一本だけ直接繋ぐ |
5. 使わない装置を「一時的に眠らせる」無効化の手順
ソフト側の設定(JPKI)を変更しても改善しない場合、さらに強力な手段として、邪魔をしている装置そのものを一時的に「無効(眠らせる)」にします。これにより、パソコン内の通信経路が一本に絞られ、競合が物理的に解消されます。
5-1. 無効化のやり方
- 再び「デバイスマネージャー」を開きます。
- 「スマートカード読み取り装置」の中から、「今使っていない方」の名前を右クリックします。
- 「デバイスを無効にする」を選択します。(「アンインストール」ではないので、後でいつでも元に戻せます)
- 警告が出ますが、「はい」を押して進めてください。
この状態で、再度確定申告のサイトへアクセスし、カードの読み取りを試してください。邪魔者がいなくなったことで、今までが嘘のようにスムーズに読み取りが完了することが非常に多いです。※確定申告が終わった後は、同じ手順で「デバイスを有効にする」を選べば、元の状態に戻すことができます。
6. 意外な落とし穴:古いソフトの「残りカス」
以前、別のメーカーのカードリーダーを使っていたことはありませんか? その際にインストールした「管理用ソフト」や「設定ツール」が、新しいリーダーを繋いでも裏側でずっと動き続けていることがあります。これらの古いソフトは、新しい装置が繋がれたのを察知して「自分が担当しなきゃ」としゃしゃり出てしまい、結果として通信を妨害します。
確認のコツ: パソコンの「設定」アプリから「アプリ」を開き、以前使っていたメーカー名の入った古いソフトが残っていないかを確認してください。不要であれば一度削除し、パソコンを再起動することで、今の環境が驚くほどクリアになります。
7. 最後に「動作確認」を忘れずに
設定を整えた後は、本番の送信画面に行く前に、JPKIソフトの「動作確認」機能を使いましょう。
- JPKI利用者クライアントソフトを起動します。
- 「動作確認」ボタンを押し、カードをセットした状態で「実行」をクリックします。
- 「ICカードとの通信に成功しました」と表示されれば、競合は完全に解消されています。
もしここで失敗する場合は、カードの向きが逆になっていないか、あるいは金属端子が汚れていないかなど、物理的な点も最後にもう一度だけチェックしてみてください。
8. まとめ:パソコンに「正しい道」を示してあげてください
確定申告という一年に一度の大切な手続きにおいて、複数のカードリーダーによる「競合」は非常に厄介なトラブルです。しかし、それは決してパソコンが壊れているわけでも、あなたが間違った操作をしたわけでもありません。単に、パソコンが「どの窓口でカードを待てば良いか」を迷っているだけなのです。
デバイスマネージャーで現状を整理し、JPKIソフトで特定の装置を指名し、不要な機能を一時的に眠らせる。この「整理整頓」の手順を踏むことで、目に見えない無線の通り道は一本に整い、あなたのマイナンバーカードの情報を確実に届けてくれるようになります。機械に迷わせない環境を作ること、それが確定申告をストレスなく終えるための最大の秘訣です。落ち着いて設定を見直し、無事に手続きが完了することを心から願っています。さあ、もう一度正しい装置で、カードをかざしてみてください。
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超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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