確定申告の手続き中に「時刻設定が正しくありません」というエラーメッセージが表示され、マイナポータルへのログインやe-Taxの送信が阻まれることがあります。パソコンの時計が数分ずれているだけで、インターネット上の安全な通信(SSL/TLS暗号化)は成立しなくなり、システム側から「不正なアクセス」あるいは「期限切れの通信」と判定されてしまうためです。本記事では、暗号化通信の仕組みと時刻の関係を技術的に解説し、WindowsおよびMacで時計をミリ秒単位で正確に同期させるための具体的な手順を詳しく紹介します。
【要点】時刻エラーを解消し、安全な通信を確立するための3つの対策
- インターネット時刻サーバー(NTP)と同期する: OSの標準機能を利用し、公式な時刻配信サーバーから最新の正確な時刻を取得する。
- タイムゾーンの設定が「大阪、札幌、東京」か確認する: 時刻そのものが合っていても、地域設定(タイムゾーン)が異なると絶対時刻の計算が狂い、認証に失敗する。
- ハードウェアの不具合(CMOS電池)を疑う: 電源を切るたびに時計が大幅にずれる場合は、マザーボード上のバックアップ電池の寿命を検討する。
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目次
1. 確定申告のシステムが「数分のずれ」も許容しない理由
e-Taxやマイナポータルで行われるすべての通信は、電子証明書を用いた高度な暗号化によって守られています。この電子証明書には「有効期間(開始日時から終了日時)」が厳格に定められており、サーバー側とクライアント側(あなたのパソコン)の時刻が一致していることが、通信の正当性を証明する大前提となります。
もしパソコンの時計が数分遅れていると、サーバーから送られてきた「今発行されたばかりの証明書」が、パソコン側では「未来に発行される予定のまだ無効な証明書」と認識されてしまいます。逆に進みすぎていると「すでに期限が切れた証明書」と見なされます。この時刻の不整合による認証失敗を防ぐため、システムはログインを拒否し、「時刻設定を確認してください」という警告を出す仕様になっています。これは、なりすましやリプレイ攻撃(過去の通信を再利用する攻撃)を防ぐための、電子署名技術における基本的な防御策です。
2. Windows 10 / 11 での時刻同期手順
WindowsOSでは、手動で時計を合わせるのではなく、インターネット経由で「日本標準時」に同期させるのが最も確実な方法です。
2-1. 「今すぐ同期」を実行する
- 画面右下のタスクバーにある「時計」を右クリックし、「日時を調整する」を選択します。
- 「時刻を自動的に設定する」がオンになっていることを確認します。
- 「時刻を今すぐ同期させる」というセクションにある「今すぐ同期」ボタンをクリックします。
- チェックマークが表示され、「最後に正常に時刻が同期された日時」が現在の時刻になれば成功です。
2-2. タイムゾーンが正しいか点検する
「時刻を自動的に設定する」をオンにしてもエラーが出る場合、タイムゾーン(地域設定)が日本以外になっている可能性があります。
- 同じ設定画面内の「タイムゾーン」が「(UTC+09:00) 大阪、札幌、東京」になっているか確認してください。
- 海外出張などで別の地域に設定されていると、表示上の時間は合っていても、世界標準時(UTC)との計算が合わず、認証エラーの原因となります。
3. Macでの時刻同期手順
macOSでも同様に、Appleの時刻サーバーと同期させる設定を確認します。
3-1. システム設定の変更
- 画面左上のリンゴマークから「システム設定(またはシステム環境設定)」を開きます。
- 「一般」 > 「日付と時刻」 の順に進みます。
- 「日付と時刻を自動的に設定」の右側にあるスイッチがオンになっていることを確認します。
- もしオフの場合は、鍵アイコンを解除してからオンに切り替えてください。
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4. 徹底比較:時刻エラーの症状と判定基準
時刻の不整合が通信に与える影響を整理しました。
| 状態 | 許容範囲 | 発生する主なエラー |
|---|---|---|
| 30秒以内のずれ | 正常範囲内 | なし。問題なくログイン可能。 |
| 1分〜5分のずれ | 境界域 | 「セッションが切れました」や原因不明の通信切断。 |
| 5分以上のずれ | 許容範囲外 | 「時刻設定が正しくありません」と明示的なエラー。 |
| 日付が異なる | 致命的 | 「証明書の期限が切れています」等のセキュリティ警告。 |
5. 意外な落とし穴:CMOS電池(内蔵電池)の消耗
設定を正しく同期させても、パソコンの電源を切るたびに時刻が大きく(例:数時間や数日)ずれる場合は、ソフトウェアの設定ではなくハードウェアの物理的な寿命が疑われます。
パソコンのマザーボード(基板)には、電源が切れている間も時計を動かし続けるための「CMOS電池」と呼ばれる小さなボタン電池が搭載されています。この電池が切れると、パソコンを起動するたびに時計が工場出荷時の日付(数年前など)にリセットされてしまいます。
対処法: デスクトップPCの場合は市販のボタン電池(CR2032等)を交換することで解決しますが、ノートPCの場合は修理が必要になることがあります。根本解決までは、起動するたびに上述の「手動同期」を行う必要があります。
6. 同期が失敗する場合のネットワーク設定
「今すぐ同期」を押してもエラーで失敗する場合、インターネットの接続環境そのものに制限がかかっています。
- ファイアウォールの制限: 会社内などのネットワークでは、時刻同期に使う通信ポート(NTPポート:123)が閉じられていることがあります。この場合は、スマートフォンのテザリングに切り替えて同期を試みてください。
- セキュリティソフトの干渉: セキュリティソフトの監視が強すぎると、外部サーバーとの時刻同期を「不審な外部通信」として遮断することがあります。同期の瞬間だけ一時的に保護機能をオフにしてください。
7. ブラウザのキャッシュクリアを併用する
時刻を正確に直しても、まだブラウザに「古い時刻で失敗した時の記憶」が残っていると、エラー画面が出続けることがあります。同期完了後は以下の操作をセットで行ってください。
- ブラウザ(Edge/Chrome等)の設定から「閲覧履歴データの削除」を開きます。
- 「Cookieと他のサイトデータ」および「キャッシュされた画像とファイル」を選択して削除します。
- ブラウザを一度完全に閉じてから、再度e-Taxサイトを開き直します。
8. まとめ:正確な時刻は電子署名の信頼性を担保する基盤
確定申告における時刻設定エラーは、単なる利便性の問題ではなく、あなたの申告データが「いつ、誰によって正当に送られたか」という信頼性を守るための重要なセキュリティチェックの結果です。ミリ秒単位の正確な世界標準時との同期は、高度な暗号化通信を成立させるための不可欠な要素となります。
まずはOSの同期機能を活用し、必要であればハードウェアの電池寿命やネットワークの制限を見直してください。土台となる「時間」を正確に整えることで、システム側の拒絶反応を解消し、スムーズな申告手続きへと進むことができます。正確な時刻へと調整を終えたら、自信を持って最後の送信プロセスへ取り組んでください。
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超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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