【確定申告】個人事業主から会社員になった年の確定申告で迷いがちなポイント

【確定申告】個人事業主から会社員になった年の確定申告で迷いがちなポイント
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年の途中で個人事業を廃業し、会社員として再就職した場合、その年の所得は「事業所得」と「給与所得」が混在する複雑な構成となります。会社員であれば通常は「年末調整」で納税が完結しますが、事業所得が少しでも存在する場合、年末調整だけでは全ての所得を網羅したことにはなりません。納税者自身の手で、事業による収支と会社からの給与を合算し、正確な年税額を算出する確定申告が必要になります。本記事では、事業から給与への切り替え時期に発生する論理的な疑問点と、申告における具体的な注意点を解説します。

【要点】事業主から会社員へ転じた年の申告で確認すべき3つの項目

  • 「所得の合算」の義務: 会社で行った年末調整は、あくまで「給与所得」のみを対象としたもの。事業所得がある場合は、その結果を再度確定申告に組み込む必要がある。
  • 事業廃業に伴う経費の処理: 廃業日までに発生した売上と経費を確定させ、減価償却費については月割りで計算する。
  • 社会保険料控除の集約: 個人事業主として自分で支払った国民健康保険・国民年金と、会社で天引きされた厚生年金等の全てを合算して申告する。

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1. なぜ会社員になったのに確定申告が必要なのか

日本の所得税は、1月1日から12月31日までの「全ての所得」を合計して税率を決定する「合算課税」が原則です。会社があなたの過去の事業所得まで把握して計算することはないため、最終的な精算は本人が行う必要があります。

1-1. 年末調整と確定申告の論理的関係

会社での年末調整は、その会社からの給与をベースにした暫定的な精算です。確定申告では、会社から発行される「給与所得の源泉徴収票」の数値をそのまま確定申告書の給与所得欄へ転記し、そこに事業所得を加えて、年間の総所得に対する正しい税額を再計算します。この際、年末調整で済ませたはずの控除も、確定申告によって「上書き」される形で処理されます。


2. 徹底比較:個人事業時代と会社員時代の控除管理

所得区分が変わることによる、支出の扱い方の違いを以下の表にまとめました。

項目 個人事業所得(1月〜廃業) 給与所得(入社〜12月)
必要経費の扱い 実費を積み上げ計上(青色申告可) 一律の「給与所得控除」を適用
社会保険料 自分で支払い(国民健康保険等) 会社が天引き(健康保険・厚生年金等)
源泉徴収の有無 報酬支払時に引かれる場合あり 毎月の給与から必ず引かれる

3. 事業廃業時における「減価償却」の月割り計算

事業で使用していたPCや車両などの固定資産がある場合、廃業した年の減価償却費は「12ヶ月分」全額を計上することはできません。

算出ルール: 廃業した月までの月数で「月割り計算」を行います。例えば、6月末に事業を畳んだのであれば、年間の減価償却費の 6/12 がその年の経費となります。残った未償却残高は、事業用資産を廃棄した場合は「資産の取り壊し損」として処理するか、私用として使い続ける場合は単に帳簿から除外する処理(事業主貸)を行います。


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4. 社会保険料控除を「二重」に忘れないための手順

このパターンの申告で最も多いミスは、会社での年末調整に含まれていない「国民年金・国民健康保険料」の入力を失念することです。

  • 給与天引き分: 源泉徴収票に記載されているため、そのまま入力すれば反映されます。
  • 個人支払い分: 1月から入社前までに自分で納付した保険料は、源泉徴収票には載っていません。控除証明書などを基に、手動で社会保険料控除欄に追加合算する必要があります。これを忘れると、本来払わなくてよい税金を余計に支払うことになります。

5. 意外な落とし穴:予定納税の精算

前年の所得が大きかった場合、その年の「予定納税」を既に支払っている可能性があります。会社員になったとしても、過去に支払った予定納税額は確定申告を通じて精算(差し引き)しなければなりません。申告書の「予定納税額」欄に記載することで、最終的な納付額が減少、あるいは還付を受けることができます。


6. 結論:二つの所得を「一つの申告書」で統合する

個人事業主から会社員への転身は、納税方法が「自分」から「組織」へ移る大きな変化ですが、その過渡期の1年間だけは両方のルールを併用しなければなりません。年末調整の結果に満足せず、必ず源泉徴収票を手元に置き、事業時代の帳簿と突き合わせる作業を行ってください。

e-Taxを利用すれば、給与所得は源泉徴収票を読み取るだけで入力が完了し、事業所得は決算書データを取り込むことでスムーズに合算が可能です。異なる性質の所得を論理的に一つの申告書にまとめ上げることで、過不足のない適正な納税を完結させることができます。

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この記事の監修者
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超解決 第一編集部

疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。