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数字の起源

古代の記録と最初の計数システム

数字の誕生について深掘りする前に、物事を計数するための必要性について考えてみましょう。古代の人々は、日々の生活で得た資源を管理し、交換するために数字が必要となったのであります。牛や穀物の数を把握するため、最初の数字が生まれました。

さて、世界最古の数学的記録として知られるのは、紀元前20,000年頃のフランス、リスキュー洞窟に描かれたマークたちです。これらのマークは数を表すものと考えられています。しかし、これが現代の数字と呼べるかと問われれば、答えは否でしょう。なぜなら、これらのマークはまだ一定の記号体系による表現ではなかったからです。

数の記号体系の発展: 古代シュメール人とエジプト人

古代のシュメール人が紀元前3000年頃に発展させた楔形文字は、数字を記述するための初めての体系的な方法だと言われています。シュメール人は60進法を採用し、これは現代の時間計算や角度の表記にも影響を与えています。

一方、エジプト人はヒエログリフを使い、10進法に基づく計数システムを作り出しました。ここから1, 10, 100など、それぞれに固有の記号を用いるという我々の習慣が始まったと言えます。

ヒンドゥー・アラビア数字の登場

そして現代の数字体系へと続く大きな変革は、ヒンドゥー・アラビア数字の登場によってもたらされました。これはインド起源で、ゼロの概念を取り入れた最初の計数システムであり、紀元前7世紀頃には存在していたとされています。

ゼロの力

ゼロの概念の導入は数学の革新でありました。それは数字体系に「無」の概念を加えることで、計算の幅を広げ、数学の複雑な概念を理解しやすくする助けとなったのです。

これらの数字はアラビアを経由してヨーロッパにもたらされ、13世紀のイタリアの数学者フィボナッチの著作「算術の書」によって広く普及しました。フィボナッチは、ヒンドゥー・アラビア数字がローマ数字よりも優れていると認識し、それを強く推奨しました。彼の努力が実を結び、現代の数字体系が確立されたのです。