なぜヘルペスになったときにステロイドを使ってはいけないのか

ステロイドとヘルペスの関係性

ステロイドは、広範な抗炎症作用を有する薬剤で、アレルギー反応や慢性炎症疾患の治療に用いられます。しかし、ステロイドの使用は免疫抑制効果ももたらすため、特定の病状下での使用には注意が必要とされています。その一つが、ヘルペスウイルスによる感染症です。

ヘルペスウイルスは、口唇ヘルペスや性器ヘルペスなど人体を侵すことで様々な症状を引き起こすウイルスです。感染者の体内では、このウイルスは一度感染すると完全には排除されず、体内に潜伏し続けます。

ステロイドによる免疫抑制作用とヘルペスの活動

ステロイドによる免疫抑制作用は、体内の免疫応答を弱め、それにより炎症反応を抑える役割を果たします。これは、慢性疾患や自己免疫疾患の治療に有益な効果を持つ一方で、体内に潜伏しているウイルスに対する抵抗力を低下させる結果をもたらす可能性があります。

この免疫抑制の効果がヘルペスウイルスに対して何を意味するかというと、ウイルスが再活動しやすくなり、体内でのウイルスの増殖が促進される可能性があるということです。したがって、ステロイドを使用している間、または使用後しばらくは、ヘルペスウイルスによる症状が悪化する可能性が高まると考えられています。

ヘルペス眼炎とステロイドのリスク

特に注意すべきは、ヘルペス眼炎の場合です。この症状はヘルペスウイルスが眼を侵すことで引き起こされ、痛み、充血、視力低下などの症状が現れます。ここでも、ステロイドの使用は強く注意されています。

ステロイドが抗炎症作用を持つため、初めて症状が見られた際には、一時的な症状緩和をもたらすかもしれません。しかしながら、ステロイドの使用によってヘルペスウイルスが活性化し、増殖する可能性があるため、長期的には症状の悪化を引き起こす恐れがあります。さらに、ステロイドの免疫抑制作用により、自然にヘルペス眼炎を治すための体内の免疫応答が弱まるというリスクもあります。

ステロイド使用の安全性とヘルペス

ヘルペス感染症の患者においてステロイドを使用する際は、その利益とリスクを慎重に比較検討することが求められます。例えば、重篤な自己免疫疾患の治療においては、ステロイドによる免疫抑制の利益が、ヘルペスウイルス活性化のリスクを上回る場合があります。しかし、その場合でも、ヘルペスウイルスに対する予防策や早期治療法を用意することが不可欠となります。

まとめ

ステロイドは強力な抗炎症作用を持つ薬剤であり、多くの病状の治療に有用です。しかしながら、その免疫抑制作用はヘルペスウイルスに対する体内の抵抗力を低下させ、ウイルスの再活動や増殖を促す可能性があります。特にヘルペス眼炎の場合、ステロイドの使用は慎重に考えられるべきです。医師とよく話し合い、適切な治療方針を決めることが重要です。

(監修/薬剤師・佐々木真弓)