Excelで売上や費用の増減を時系列で可視化したい場面は多いでしょう。
特に、前期からの変化額とその合計値を把握するために、ウォーターフォールグラフは非常に有効です。
しかし、ウォーターフォールグラフの基本的な使い方だけでは、累計値を正確に把握するのが難しい場合があります。
この記事では、Excelのウォーターフォールグラフを使って、増減を累計表示させるための詳細な手順と、その際に役立つ設定方法を解説します。
読めば、複雑なデータも分かりやすく伝えられるグラフを作成できるようになります。
【要点】ウォーターフォールグラフで増減を累計表示する基本
- ウォーターフォールグラフの作成: 元データからグラフを作成する基本的な手順を理解する。
- 中間値の表示設定: グラフの「合計」や「中間値」を正しく表示させる設定を行う。
- データの並び替えと調整: グラフで累計値を正確に表現するために、元のデータを適切に準備する。
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目次
ウォーターフォールグラフの機能と可能性
ウォーターフォールグラフは、ある値から始まり、段階的に増減を繰り返しながら最終的な値に至るまでの過程を視覚化するのに適したグラフです。
売上集計、予算実績管理、在庫変動の分析など、ビジネスシーンで頻繁に利用されます。
このグラフの最大の特徴は、各要素の増減額と、それらが積み重なった結果としての累計値を直感的に把握できる点にあります。
Excel 2016以降で標準搭載されている機能であり、特別なアドインは不要です。
データ系列ごとに「増加」「減少」「合計」といった種類を設定できるため、複雑な数値の推移も分かりやすく表現できます。
ウォーターフォールグラフで増減を累計表示する手順
ウォーターフォールグラフで増減を累計表示するには、データの準備とグラフ作成後の調整が重要です。
ここでは、Excel for Microsoft 365を基準に、具体的な手順を解説します。
1. データの準備
ウォーターフォールグラフを作成する上で、データの形式が非常に重要になります。
一般的に、最初の値、増加額、減少額、そして必要に応じて中間項目や合計値の列を用意します。
累計表示を正確に行うためには、増減額をプラス・マイナスの値として明確に区別して入力する必要があります。
例えば、以下のようなデータ構造が考えられます。
A列:項目名(例:期首残高、売上増加、仕入減少、期末残高)
B列:金額(例:100,000, 50,000, -30,000, 120,000)
「期末残高」のような最終的な合計値は、グラフ作成後に「合計」として設定します。
2. ウォーターフォールグラフの作成
- グラフ化したいデータ範囲を選択する
準備したデータ範囲(項目名と金額の列)をドラッグして選択します。 - 「挿入」タブを選択する
Excelのリボンメニューから「挿入」タブをクリックします。 - 「グラフ」グループから「挿入」をクリックする
「グラフ」グループ内にある「挿入」ボタンをクリックします。 - 「ウォーターフォール」を選択する
表示されるグラフの種類一覧から、「ウォーターフォール」グラフを選択します。 - グラフが挿入される
選択したデータに基づいて、ウォーターフォールグラフがシート上に作成されます。
3. 合計などの数値を累計として表示する設定
グラフを作成しただけでは、増減額は表示されても、累計値や中間項目が正しく表現されないことがあります。
特に、最終的な合計値や、途中の集計値を「合計」として表示させるための設定が必要です。
- グラフ内のデータ系列を右クリックする
グラフ上で、合計として表示したいデータ系列(通常は最後の項目)を右クリックします。 - 「データ系列の書式設定」を選択する
表示されるコンテキストメニューから「データ系列の書式設定」を選択します。 - 「系列のオプション」を開く
画面右側に表示される「データ系列の書式設定」ウィンドウで、「系列のオプション」アイコン(棒グラフのようなアイコン)をクリックします。 - 「合計として表示」にチェックを入れる
「系列のオプション」の中に「合計として表示」という項目があります。これにチェックを入れます。 - グラフの表示を確認する
チェックを入れると、そのデータ系列が浮き上がるように表示され、累計値として扱われます。
この操作により、例えば「期末残高」が、それまでの増減をすべて加味した最終的な累計値としてグラフ上に示されます。
また、グラフの要素をダブルクリックして「データ系列の書式設定」を開き、「系列のオプション」で「開始値」や「終了値」を調整することも可能です。
例えば、期首残高をグラフの出発点とする場合、期首残高のデータ系列を右クリックし、「データ系列の書式設定」から「合計として表示」にチェックを入れることで、その値がベースとなります。
4. 中間関連の累計を表示する方法
単に期首と期末の合計だけでなく、途中の段階での累計値もグラフで示したい場合があります。
例えば、「売上増加」と「仕入減少」の後に、その時点での「中間収支」を示したい場合などです。
この場合、元のデータに中間合計の行を追加し、その項目を「合計」として設定します。
- 中間合計用の行を追加する
元のデータ表に、中間合計を表示したい項目名(例:「中間収支」)と、その計算結果の金額を入力します。 - グラフを更新する
データ範囲に新しい行を追加したら、グラフを選択し、「グラフのデザイン」タブの「データの選択」から、データ範囲を更新します。 - 中間項目のデータ系列を「合計」に設定する
追加した中間項目のデータ系列を右クリックし、「データ系列の書式設定」を開きます。 - 「合計として表示」にチェックを入れる
「系列のオプション」で「合計として表示」にチェックを入れます。 - グラフの表示を確認する
これで、中間項目がそれまでの増減を累計した値としてグラフに表示されます。
この方法で、複数の段階における累計値をグラフ上に表現できます。
Excel 2016以降では、この「合計として表示」機能が標準で提供されているため、比較的容易に設定できます。
Excel 2013以前のバージョンでは、この機能がないため、別途計算フィールドを作成するなどの工夫が必要になります。
しかし、Excel 2016以降を利用している場合は、この「合計として表示」設定が最も簡単で確実な方法です。
ウォーターフォールグラフで悩みがちな入力ミスと対処法
ウォーターフォールグラフを作成する際、特に累計表示を意図通りに行えない原因として、データ入力のミスが挙げられます。
ここでは、よくある入力ミスとその対処法について解説します。
1. 同じ項目で増加と減少の両方を入力してしまう
一つの項目に対して、売上増加と仕入減少のような、相反する増減を同じ行に入力しようとすると、グラフが意図しない表示になります。
ウォーターフォールグラフでは、各データ系列が単一の増減値として扱われます。
対処法:
- 項目を分ける
「売上増加」と「仕入減少」のように、増減の種類ごとに項目を分け、別々の行に入力してください。 - 増減額を正確に設定する
増加はプラスの値、減少はマイナスの値として、それぞれの項目列に正確に入力します。
2. 連続する値が給与されない
グラフ作成後、ある項目が浮き上がらず、前の項目から直接伸びているように見える場合、その項目のデータ系列が「合計」として設定されていない可能性があります。
累計表示にするためには、その項目を「合計」として明示する必要があります。
対処法:
- データ系列を右クリックする
グラフ上で、連続の値を正しく表示させたいデータ系列を右クリックします。 - 「データ系列の書式設定」を選択する
コンテキストメニューから「データ系列の書式設定」を選びます。 - 「系列のオプション」で「合計として表示」を有効にする
「系列のオプション」タブで、「合計として表示」にチェックを入れます。
この設定で、そのデータ系列が前の値からの増減ではなく、ベースとなる値からの累計として描画されます。
3. グラフの基本が歪んでいる
グラフの棒が意図しない位置から始まったり、長さが不正確だったりする場合、元のデータの数値や、データ系列の種類設定に問題がある可能性が高いです。
特に、増減額が正しくプラス・マイナスで入力されているか、そして「合計として表示」の設定が正しく行われているかを確認する必要があります。
対処法:
- 元のデータを確認する
各項目の金額が、増加はプラス、減少はマイナスで正しく入力されているか再確認します。 - データ系列の種類を確認する
グラフ上で各データ系列を右クリックし、「データ系列の書式設定」で「系列のオプション」を確認します。 - 「合計として表示」設定を見直す
累計値として表示したい項目が、「合計として表示」にチェックされているか確認します。 - 「開始値」と「終了値」の確認
必要に応じて、グラフの「開始値」や「終了値」が意図した通りに設定されているか確認します。
これらの項目を一つずつ確認していくことで、グラフの歪みを解消し、正確な累計表示を実現できます。
Excel 2016以降であれば、これらの設定は比較的容易に行えます。
Excel 2019やExcel 2021でも、基本的な操作は同じです。
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ウォーターフォールとチャートの比較
| 項目 | ウォーターフォールグラフ | 積み上げ棒グラフ |
|---|---|---|
| 主な用途 | 段階的な増減とその累計値の可視化 | 複数系列の合計値とその内訳の可視化 |
| 増減の表現 | 各項目の増減額を独立した棒で表示 | 各系列の値を積み上げて合計値を表現 |
| 累計値の把握 | 「合計」設定により容易に累計値を表現可能 | 各系列の合計値は棒の最上部で把握 |
| データ系列の種類 | 増加、減少、合計を設定可能 | 各系列は独立した値として扱われる |
| 作成の手間 | データ準備と「合計」設定が必要 | データ範囲の選択で容易に作成可能 |
ウォーターフォールグラフは、ある値から始まり、増減を繰り返しながら最終値に至るまでの過程を可視化するのに特化しています。
特に、各段階での増減額とその影響を、累計値として分かりやすく表示したい場合に強力なツールとなります。
一方、積み上げ棒グラフは、複数のカテゴリにわたる合計値とその内訳(構成比)を比較するのに適しています。
ウォーターフォールグラフで「合計」として設定する項目は、グラフ上で浮き上がって表示され、累計値であることを示します。
この「合計」設定が、ウォーターフォールグラフを累計表示させるための鍵となります。
データ準備の段階で、増減額をプラス・マイナスで明確に区別しておくことが、正確なグラフ作成の第一歩です。
Excel 2016以降であれば、これらの機能は標準で搭載されており、複雑な設定なしに利用できます。
Excel 2019やExcel 2021でも、操作方法は同様に利用可能です。
作成したグラフは、さらにデータラベルを追加したり、色を調整したりすることで、より分かりやすくすることもできます。
この記事で解説した手順と注意点を参考に、ぜひウォーターフォールグラフを活用して、データの増減と累計値を効果的に可視化してください。
次回は、さらに応用的なグラフ作成テクニックとして、条件付き書式を使ったグラフの自動色分けについて解説します。
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