「何時間もかけて作った資料を、うっかり『保存しない』を押して閉じてしまった」「作業中にパソコンがフリーズして、Excelが強制終了した」……。
血の気が引くような瞬間ですが、まだ諦めないでください。作り直す必要はありません。
Office(Excel / Word / PowerPoint)には、ユーザーのミスに備えて「保存されなかったファイルを一時的に隠し持っておく機能」が存在します。
この記事では、ゴミ箱にも入っていない「未保存ファイル」を深層から掘り起こして復元する手順を解説します。
目次
手順1:【基本】「保存されていないブックの回復」機能を使う
まずはOffice標準の救済機能を確認します。「保存しない」を押して閉じた場合でも、直前のデータがここに退避されている可能性が高いです。
Excelの場合(Wordも同様)
- Excelを新しく開きます(空白のブックでOK)。
- 左上の [ファイル] タブをクリックします。
- 左メニューの [情報] をクリックします。
- 「ブックの管理」という項目の横にある枠の中に、「(保存しないで終了)」と書かれたファイルがありませんか? あればそれをクリックすれば復活します。
- もし表示がない場合、[ブックの管理] ボタンをクリックし、[保存されていないブックの回復] を選びます。
- フォルダウィンドウが開き、中に .asd という拡張子のファイルがあれば、それがあなたの失ったデータです。選択して [開く] を押してください。
開いた後は、上部に表示されるバーの [名前を付けて保存] をすぐに押して確定させてください。
手順2:自動回復用フォルダを「直接」探しに行く
手順1でリストに出てこない場合でも、フォルダの奥底にデータが残骸として残っていることがあります。エクスプローラーで直接見に行きます。
- キーボードの [Windows] + [R] キーを押して、「ファイル名を指定して実行」を開きます。
- 以下のパス(住所)をコピーして貼り付け、[OK] を押します。
%LocalAppData%\Microsoft\Office\UnsavedFiles
- フォルダが開きます。中に .asd ファイルがあれば、それが未保存ファイルです。
- Excel(またはWord)で開いて中身を確認してください。
手順3:【上書きミス】間違って上書き保存した場合の復元
「保存し忘れた」のではなく、「間違った内容で上書き保存してしまった(前の状態に戻したい)」場合は、履歴機能を使います。
ファイルがクラウド上にある場合、自動的に履歴が残っています。
- 開いているExcel/Wordのタイトルバー(一番上のファイル名)をクリックします。
- [バージョン履歴] をクリックします。
- 右側に「日時」と「更新者」のリストが出ます。戻したい日時の「バージョンを開く」をクリックします。
- 過去の状態のファイルが別ウィンドウで開くので、[復元] ボタンを押します。
ローカル(PC内)保存の場合
- ファイルを右クリックして [プロパティ] を開きます。
- [以前のバージョン] タブを開きます。
- もしリストに日付があれば、それを選択して [復元] できます。
(※Windowsのバックアップ設定がオフだと、ここは空欄の場合が多いです)
手順4:フリーズ時の自動回復ファイル(.xbk / .wbk)を探す
アプリがクラッシュ(強制終了)した場合は、次に起動した時に自動的に「ドキュメントの回復」ウィンドウが左側に出るはずです。
もし出なかった場合は、以下の場所を探してみてください。
- [Windows] + [R] キーで実行画面を開きます。
- 以下を貼り付けて [OK] を押します。
%AppData%\Microsoft\Excel(Wordの場合は\Word) - フォルダの中に、名前に「AutoRecovery」などが付いたファイルがないか探します。
二度と泣かないために:自動保存の間隔を短くする
デフォルトの設定では「10分ごと」にしかバックアップされません。これを「1分」に縮めておけば、いつ落ちても被害は最小限で済みます。
- Excel(Word)を開き、[ファイル] > [その他] > [オプション] を開きます。
- 左メニューの [保存] を選びます。
- 「次の間隔で自動回復用データを保存する」の数値を [1分] に変更します。
- [OK] を押して閉じます。
まとめ:諦める前に「UnsavedFiles」を見ろ
データ救出のフローチャートです。
| 状況 | 探す場所 | 可能性 |
|---|---|---|
| 保存しないで閉じた | ファイル > 情報 > ブックの管理 | 高 |
| フリーズ・強制終了 | 再起動時の自動回復パネル | 高 |
| 見つからない場合 | %LocalAppData%\Microsoft\Office\UnsavedFiles | 最後の望み |
「保存しない」ボタンは、「データを消去する」ボタンではありません。Officeは裏でこっそりバックアップを取ってくれています。
深呼吸して、上記の手順で救出に向かってください。
