目次

「KDPセレクト」のメリット

1. Kindle UnlimitedとKindle Owners’ Lending Libraryでの配信

KDPセレクトに登録すると、あなたの本はKindle Unlimited(KU)とKindle Owners’ Lending Library(KOLL)で利用可能になります。これらのプログラムを通じて、読者は月額定額で本を読むことができます。そして、それらの読者からあなたの本が読まれるたびに、KDPセレクトのグローバルファンドから報酬が支払われます。

2. 無料または割引価格でのプロモーション

KDPセレクトに参加すると、90日間で最大5日間、あなたの本を無料で提供することができます。これにより、本の露出を増やし、レビューを得ることが可能になります。また、カウントダウンディールも利用でき、一定期間限定で割引価格を設定することが可能です。

3. 広範な読者層へのアクセス

KDPセレクトは、Kindleの利用者が多い国である米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ブラジル、メキシコ、カナダ、インド、オーストラリア、日本で利用可能です。これにより、自分の本がより広範な読者層に到達する可能性があります。

「KDPセレクト」のデメリット

1. 独占要件

KDPセレクトに参加すると、あなたの電子書籍はAmazonでのみ販売することが要求されます。つまり、その期間中に他の電子書籍プラットフォーム(Apple iBooks、Google Playなど)で本を販売することはできません。この独占要件は、自分の本をより多くのプラットフォームで販売したいと考えている著者にとっては制約となります。

2. 報酬の不確実性

KDPセレクトの報酬は、月々変動するグローバルファンドに基づいています。つまり、あなたがどれだけの報酬を得られるかは、その月に読まれたページ数、他の著者との競争状況、そしてAmazonがその月にグローバルファンドに割り当てる金額によります。

3. プロモーションの制限

無料プロモーションやカウントダウンディールは、強力なマーケティングツールである一方、それらは一定の制限付きで提供されます。無料プロモーションは90日間で最大5日間のみ、カウントダウンディールは1回の契約期間中に1度だけ使用可能で、しかも割引期間は最長7日間となっています。

KDPセレクトとKindle Unlimitedの影響

KDPセレクトを選択することで、あなたの本はKindle Unlimited(KU)のプログラムで読者に提供されます。KUはAmazonが提供する月額料金制の読書サービスで、登録者は追加料金なしで多数の本を読むことが可能です。このプログラムは読者にとっては魅力的ですが、著者にとっては有料購入の減少という一面があります。

1. Kindle Unlimitedと有料購入の関係

KU登録者があなたの本を読む場合、その本を直接購入する必要はありません。そのため、あなたの本がKUで大量に読まれても、それが直接的な本の売上にはつながりません。著者はKUからの読者に対して、読まれたページ数に基づく報酬を受け取りますが、これは通常、本を直接購入した場合に得られる利益よりも少ない可能性があります。

2. 価値の見えない読者層

KUの登録者は、多数の本を無制限に読むことができます。このため、KUの登録者は一般的に多くの本を読み、各本に対するコミットメントが低い可能性があります。つまり、KUを通じて本を読む読者が、同じ本を直接購入する読者と同じようにあなたの本に価値を見出すとは限らないということです。

3. 長期的な影響

KUでの読書が普及することで、読者の本に対する価値認識が変わる可能性があります。読者が一度定額制の読書サービスに慣れてしまうと、個々の本に対して直接お金を支払うことに抵抗を感じるようになるかもしれません。この結果、長期的には有料購入自体が減少するという問題が生じる可能性があります。

4. 独自の販売戦略の制限

KUを利用することで、あなた自身の販売戦略も制約を受けることがあります。たとえば、価格設定や販売プラットフォームの選択、特定のプロモーション活動などについて、自由度が失われるかもしれません。これは、あなたの本を最大限に活用したいと考えている場合には大きなデメリットとなります。

以上がKindle Unlimitedによる有料購入減少の問題と、それがKDPセレクト著者にもたらす可能性のある影響についての解説です。これらの情報を参考に、自身の出版戦略を見直す際の一助としていただければ幸いです。