Windows Updateは、セキュリティを維持するために重要な機能です。しかし、既定の設定では、更新プログラムがネットワーク上の他のPCに共有される「配信の最適化」が有効になっている場合があります。
この機能が有効なままだと、意図せず会社のネットワーク帯域を消費したり、機密性の高い環境で望ましくないデータ通信が発生したりする可能性があります。
この記事では、Windows 11およびWindows 10でこの「配信の最適化」を完全にオフにし、他PCへのデータ提供を停止させる具体的な手順を解説します。
【要点】配信の最適化を完全に停止させる方法
- 設定アプリからの操作: 一般ユーザー向けに、配信の最適化による他PCへの更新プログラム提供を停止できます。
- グループポリシーエディターからの操作: WindowsのPro版以上で、配信の最適化の動作をより詳細に制御し、P2P通信を完全に無効化できます。
- レジストリエディターからの操作: WindowsのHome版など、グループポリシーが利用できない環境で、配信の最適化のP2P通信を停止できます。
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配信の最適化とは:更新プログラムの取得と共有の仕組み
配信の最適化は、Windows Updateの更新プログラムを効率的に配布するための機能です。Microsoftのサーバーから直接ダウンロードするだけでなく、ネットワーク上の他のPCやインターネット上のPCから更新プログラムの一部を取得したり、自身のPCがダウンロードした更新プログラムを他のPCに提供したりします。
更新プログラムの取得と共有のメリット
この機能の主な目的は、ネットワーク帯域の負荷軽減とダウンロード時間の短縮です。特に大規模な組織やインターネット接続が不安定な環境で効果を発揮します。更新プログラムを複数台のPCで共有することで、Microsoftのサーバーへのアクセス集中を避け、全体的なダウンロード速度を向上させます。
データ提供を停止すべき理由
配信の最適化は便利な機能ですが、ビジネス環境では問題となる場合があります。社内ネットワークの帯域を占有したり、外部のPCと通信することでセキュリティ上の懸念が生じたりする可能性も考えられます。また、企業ポリシーとして、PCが勝手にデータを共有することを禁止しているケースもあります。これらの理由から、多くの企業で配信の最適化の停止が推奨されています。
配信の最適化を完全にオフにする手順
配信の最適化をオフにするには、設定アプリからの操作が最も簡単です。より厳密に制御したい場合や、設定アプリからの変更ができない場合は、グループポリシーエディターまたはレジストリエディターを使用します。Windows 11を基準に説明しますが、Windows 10での違いも補足します。
設定アプリから配信の最適化をオフにする手順
この方法は、一般ユーザーが手動で設定を変更する際に適しています。Windows 11とWindows 10で一部メニューの名称が異なります。
- 設定を開く
スタートボタンを右クリックし、表示されたメニューから「設定」を選択します。 - Windows Updateに進む
設定ウィンドウの左側メニューで「Windows Update」を選択します。
※Windows 10の場合は「更新とセキュリティ」を選択します。 - 配信の最適化を開く
右側のウィンドウで「配信の最適化」をクリックします。
※Windows 10の場合は「配信の最適化」をクリックします。 - 他PCからのダウンロードを停止する
「ほかのPCからのダウンロードを許可する」のトグルスイッチを「オフ」に切り替えます。これにより、ネットワーク上の他のPCやインターネット上のPCとの間で更新プログラムの送受信が停止されます。
グループポリシーエディターから配信の最適化をオフにする手順
この方法は、WindowsのPro版、Enterprise版、Education版で利用できます。設定アプリからの変更よりも詳細な制御が可能で、企業環境での一括管理にも適しています。
- グループポリシーエディターを開く
WindowsキーとRキーを同時に押し、「ファイル名を指定して実行」ダイアログを開きます。「gpedit.msc」と入力し、「OK」をクリックします。 - 配信の最適化の設定項目に移動する
左側のナビゲーションペインで、以下のパスをたどります。
「コンピューターの構成」 > 「管理用テンプレート」 > 「Windows コンポーネント」 > 「配信の最適化」 - 配信の最適化を許可する を構成する
右側のペインで「配信の最適化を許可する」をダブルクリックします。表示されたウィンドウで「無効」を選択し、「OK」をクリックします。 - ダウンロードモード を構成する
右側のペインで「ダウンロードモード」をダブルクリックします。表示されたウィンドウで「有効」を選択し、「ダウンロードモード」ドロップダウンリストから「シンプル ダウンロード(0)」を選択します。「OK」をクリックします。 - ピアのキャッシュを許可する を構成する
右側のペインで「ピアのキャッシュを許可する」をダブルクリックします。表示されたウィンドウで「無効」を選択し、「OK」をクリックします。 - 変更を適用する
グループポリシーエディターを閉じ、PCを再起動するか、コマンドプロンプトを管理者として実行し「gpupdate /force」と入力してEnterキーを押すことで、設定が即座に適用されます。
レジストリエディターから配信の最適化をオフにする手順
この方法は、WindowsのHome版など、グループポリシーエディターが利用できない環境で、配信の最適化を詳細に制御したい場合に有効です。レジストリの編集はシステムに影響を与える可能性があるため、慎重に操作し、必ずバックアップを取ってから実行してください。
- レジストリのバックアップを作成する
レジストリエディターを開く前に、現在のレジストリの状態をバックアップします。スタートメニューで「regedit」と検索し、「レジストリエディター」を起動します。左側のナビゲーションペインで「コンピューター」を選択し、「ファイル」メニューから「エクスポート」を選択します。任意の場所にバックアップファイルを保存します。 - レジストリエディターを開く
WindowsキーとRキーを同時に押し、「ファイル名を指定して実行」ダイアログを開きます。「regedit」と入力し、「OK」をクリックします。 - 配信の最適化のキーに移動する
左側のナビゲーションペインで、以下のパスをたどります。
「HKEY_LOCAL_MACHINE」 > 「SOFTWARE」 > 「Policies」 > 「Microsoft」 > 「Windows」 > 「DeliveryOptimization」
もし「DeliveryOptimization」キーが存在しない場合は、「Windows」キーを右クリックし、「新規」 > 「キー」を選択して「DeliveryOptimization」という名前で新しいキーを作成します。 - 配信の最適化を無効にする設定を作成する
「DeliveryOptimization」キーを選択した状態で、右側のペインの空白部分を右クリックし、「新規」 > 「DWORD 32ビット値」を選択します。新しい値の名前を「DoAllowDeliveryOptimization」と入力し、Enterキーを押します。作成した「DoAllowDeliveryOptimization」をダブルクリックし、値のデータを「0」に設定して「OK」をクリックします。 - ダウンロードモードをシンプルに設定する
右側のペインの空白部分を右クリックし、「新規」 > 「DWORD 32ビット値」を選択します。新しい値の名前を「DODownloadMode」と入力し、Enterキーを押します。作成した「DODownloadMode」をダブルクリックし、値のデータを「0」に設定して「OK」をクリックします。 - ピアのキャッシュを許可しない設定を作成する
右側のペインの空白部分を右クリックし、「新規」 > 「DWORD 32ビット値」を選択します。新しい値の名前を「DoAllowPeerCaching」と入力し、Enterキーを押します。作成した「DoAllowPeerCaching」をダブルクリックし、値のデータを「0」に設定して「OK」をクリックします。 - PCを再起動する
レジストリエディターを閉じ、PCを再起動することで設定が適用されます。
配信の最適化をオフにしてもデータ通信が止まらない場合の確認点
上記の手順で配信の最適化をオフにしても、まだデータ通信が気になる場合は、以下の点を確認してください。他の原因でネットワーク帯域が消費されている可能性があります。
Windows Updateサービスの活動状況
配信の最適化をオフにしても、Windows Update自体は更新プログラムをダウンロードします。大量の更新プログラムがリリースされた場合、Microsoftのサーバーから直接ダウンロードするため、一時的にネットワーク帯域を使用します。この通信は配信の最適化とは異なります。
バックグラウンドアプリのネットワーク使用
WindowsストアアプリやOneDrive、Edgeなどのブラウザ、その他のバックグラウンドで動作するアプリケーションがネットワーク帯域を使用している可能性があります。タスクマネージャーを開き、「プロセス」タブの「ネットワーク」列を確認することで、どのアプリケーションが通信しているかを確認できます。
ネットワーク設定の確認
ネットワークプロファイルが「プライベートネットワーク」に設定されているか確認してください。「パブリックネットワーク」の場合、セキュリティが強化され、一部のネットワーク機能が制限されることがあります。また、ネットワークドライバーが最新であるかどうかも確認しましょう。
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Windows 11とWindows 10の配信の最適化設定の違い
配信の最適化の基本的な機能はWindows 11とWindows 10で共通していますが、設定画面へのアクセス方法や一部の表現に違いがあります。主に設定アプリ内のメニュー階層が変更されています。
| 項目 | Windows 11 | Windows 10 |
|---|---|---|
| 設定アプリでのパス | 設定 > Windows Update > 配信の最適化 | 設定 > 更新とセキュリティ > 配信の最適化 |
| 主な設定項目 | ほかのPCからのダウンロードを許可する | ほかのPCからのダウンロードを許可する |
| 詳細オプション | 帯域幅の制限設定が可能 | 帯域幅の制限設定が可能 |
Windows 11では、「設定」メニューが再設計され、「Windows Update」項目の中に配信の最適化の設定が統合されました。Windows 10では、「更新とセキュリティ」という項目の中に存在します。グループポリシーやレジストリの設定パスに変更はありません。
この記事で解説した手順により、Windowsの配信の最適化機能を完全にオフにできたはずです。これにより、意図しない更新プログラムの共有が停止され、ネットワーク帯域の不要な消費を抑えられます。
特にビジネス環境では、ネットワークの安定性とセキュリティを確保するために、この設定の確認と調整が重要です。今回設定した内容を定期的に見直し、常に最適な運用状態を保ってください。
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超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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