Excelで損益分析を行う際、開始時点から終了時点までの増減要素を視覚的に捉えたい場面があるでしょう。
ウォーターフォールグラフ(滝チャート)は、各要素の積み上げや減少を直感的に表現するのに適しています。
この記事では、Excelでウォーターフォールグラフを作成する手順を解説します。
これにより、損益の変動要因を明確に把握できるようになります。
【要点】Excelでウォーターフォールグラフを作成し損益分析を可視化する
- ウォーターフォールグラフの作成: データの準備からグラフ作成までの手順を解説します。
- 初期値・合計値の設定: グラフの開始値と終了値を正しく表示させる方法を説明します。
- 増減要素の表現: 各項目の増減が視覚的にわかるようにグラフを調整します。
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目次
ウォーターフォールグラフの概要と活用シーン
ウォーターフォールグラフは、ある値から段階的に増減する要素を積み上げていき、最終的な値に到達する過程を示すグラフです。
各要素が全体のどの部分を占めるのか、また、プラス要因とマイナス要因がどのように影響しているのかを直感的に理解できます。
損益分析においては、売上から売上原価、販管費などを差し引いて最終的な利益を算出する過程を示すのに非常に有効です。
その他にも、予算と実績の差異分析、在庫の増減分析、プロジェクトの進捗管理など、様々なビジネスシーンで活用できます。
ウォーターフォールグラフ作成のためのデータ準備
ウォーターフォールグラフを作成するには、特定の形式でデータを整理する必要があります。
グラフの元となるデータは、通常、項目名、開始値、増減額、合計値といった列で構成されます。
Excelのウォーターフォールグラフ機能は、項目が「増減」か「合計」かを自動で判断しますが、初期値や最終合計値は明示的に設定する必要があります。
ここでは、損益分析を例に、具体的なデータ準備方法を説明します。
損益分析データの例
以下の表は、損益分析のためのデータ例です。
「項目」列には、売上、売上原価、売上総利益、販管費、営業利益などの分析対象となる項目を記述します。
「値」列には、各項目の金額を記述します。
この「値」列の金額が、グラフの増減幅となります。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 売上 | 10,000,000 |
| 売上原価 | -4,000,000 |
| 売上総利益 | 6,000,000 |
| 販管費 | -2,500,000 |
| 営業利益 | 3,500,000 |
この表では、「売上」が開始値、「売上原価」と「販管費」が減少要素、「売上総利益」と「営業利益」は結果としての合計値(または中間合計値)となります。
Excelでグラフを作成する際、Excelは「値」列の正負を見て増減を判断しますが、「売上総利益」や「営業利益」のような合計値は、グラフ上で「合計」として表示させる必要があります。
Excelでウォーターフォールグラフを作成する手順
Excelのバージョンによっては、ウォーターフォールグラフが標準で用意されています。
ここでは、Excel for Microsoft 365での作成手順を説明します。他のバージョンでも、基本的な流れは同様です。
- データ範囲の選択
グラフの元となるデータ範囲(項目名と値)を選択します。 - グラフの挿入
「挿入」タブをクリックします。「グラフ」グループにある「挿入するグラフの選択」から、「集合縦棒」または「集合縦棒/集合縦棒」のドロップダウンメニューを開きます。 - ウォーターフォールグラフの選択
「挿入するグラフ」ウィンドウが表示されたら、「すべてのグラフ」タブを選択します。左側のグラフ一覧から「ウォーターフォール」を選択し、「OK」をクリックします。 - 初期設定の確認
選択したデータに基づいて、ウォーターフォールグラフが自動的に作成されます。 - 合計値の表示設定
デフォルトでは、すべての項目が「増減」として扱われる場合があります。特に、売上総利益や営業利益のような最終的な合計値は、「合計」として表示させる必要があります。 - 合計値の項目設定
グラフ内の合計値として表示させたい棒(例:「売上総利益」「営業利益」)をダブルクリックして選択します。右側に「データ系列の書式設定」ウィンドウが表示されます。 - 「合計として表示」のチェック
「データ系列の書式設定」ウィンドウの「系列のオプション」で、「合計として表示」にチェックを入れます。これにより、その棒は開始値からの増減ではなく、前の項目からの合計値として表示されるようになります。 - 初期値の設定
「売上」のような最初の項目も、開始値として正しく表示されているか確認します。通常、最初の項目は自動的に開始値として扱われますが、もし表示がおかしい場合は、その棒を選択し、「合計として表示」ではなく、初期値として表示されるように調整します。 - グラフ要素の調整
必要に応じて、グラフタイトル、軸ラベル、データラベルなどを追加・編集します。グラフを選択した状態で、グラフの右上にある「+」(グラフ要素)アイコンをクリックすると、これらの要素を追加・削除できます。 - 増減要素の色分け
プラスの増減とマイナスの増減で棒の色が自動で分かれますが、必要に応じて「データ系列の書式設定」で色を変更できます。
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グラフのカスタマイズと見やすくする工夫
作成したウォーターフォールグラフは、さらに見やすくするためにカスタマイズできます。
特に、損益分析においては、プラス要因とマイナス要因を明確に区別することが重要です。
増減棒の書式設定
グラフの各棒(データ系列)を選択し、右クリックメニューから「データ系列の書式設定」を選択すると、色や線のスタイルなどを変更できます。
例えば、プラスの増減は緑系、マイナスの増減は赤系に統一すると、視覚的に理解しやすくなります。
中間合計値の表示
売上総利益のように、中間的な合計値がある場合、それをグラフ上で明確に表示させたいことがあります。
前述の「合計として表示」設定で、中間合計値も正しく表示されるように調整します。
もし、中間合計値が正しく表示されない場合は、データ列の並び順や、「合計として表示」の設定が適切か再度確認してください。
データラベルの活用
各棒の終点に金額を表示させるには、「グラフ要素」から「データラベル」を追加します。
「データラベルの書式設定」で、ラベルの位置や表示形式を調整し、グラフ全体の可読性を高めます。
ウォーターフォールグラフ作成時の注意点とよくある失敗
ウォーターフォールグラフを効果的に作成するためには、いくつかの注意点と、よくある失敗パターンを理解しておくことが重要です。
これらの点に留意することで、より正確で分かりやすいグラフを作成できます。
データ列の順序が重要
ウォーターフォールグラフは、データが入力されている順序で積み上げられます。
そのため、損益分析のように、売上から順に費用を差し引いていくような論理的な順序でデータを並べる必要があります。
もし、項目の順序がバラバラだと、グラフの表示が意図したものと異なってしまいます。
グラフ作成前に、必ず分析の流れに沿ってデータが並んでいるか確認しましょう。
「合計として表示」の誤解
「合計として表示」は、その項目が前の項目からの増減ではなく、単独の合計値であることを示します。
例えば、売上から売上原価を引いた「売上総利益」は、売上からの減少額ではなく、売上と売上原価の差額という「合計値」として表示させるべきです。
この設定を誤ると、グラフの最終値が想定と異なる結果になることがあります。
どの項目を「合計として表示」させるべきか、分析の論理に基づいて判断してください。
初期値・最終合計値の正確性
グラフの最初の項目(例:売上)は、開始値として正しく設定される必要があります。
また、最後の項目(例:営業利益)が、すべての増減要素を考慮した最終的な合計値になっているかを確認します。
もし、グラフの開始値や最終値がデータと一致しない場合は、データ入力ミス、あるいは「合計として表示」の設定が間違っている可能性が高いです。
グラフの各棒の終点にデータラベルを表示させ、数値が正しいか確認すると良いでしょう。
Excelのバージョンによる違い
ウォーターフォールグラフは、Excel 2016以降のバージョンで標準機能として利用可能になりました。
Excel 2013以前のバージョンでは、このグラフの種類は提供されていません。
もし古いバージョンを使用している場合は、代替手段として、積み上げ縦棒グラフを工夫して作成するか、アドインを利用する方法が考えられます。
しかし、Microsoft 365やExcel 2016以降をお使いであれば、この機能は非常に便利です。
ウォーターフォールグラフと他のグラフ形式の比較
ウォーターフォールグラフは、増減の過程を視覚化するのに特化していますが、他のグラフ形式と比較することで、その特性がより明確になります。
ここでは、損益分析でよく使われる積み上げ縦棒グラフや円グラフとの違いを説明します。
| グラフ形式 | 特徴 | 損益分析での活用 |
|---|---|---|
| ウォーターフォールグラフ | 開始値からの段階的な増減を視覚化する。各要素の寄与度と流れが分かりやすい。 | 売上から費用を差し引き、最終利益に至るまでの過程を明確に示す。 |
| 積み上げ縦棒グラフ | 複数の項目を積み上げて全体の構成比を示す。各項目単体の増減は分かりにくい。 | 総費用や総利益の内訳を示すには適しているが、損益の増減フローは表現しにくい。 |
| 円グラフ | 全体の構成比を扇形(円)で示す。増減の過程や要素間の関係性は表現できない。 | 特定の時点での費用構成比などを示すには適しているが、損益分析には不向き。 |
損益分析のように、ある値から次の値への変化や、その変化を生み出す要因を時系列または論理的な順序で示したい場合には、ウォーターフォールグラフが最も適しています。
一方、構成比率を重視する場合は円グラフ、複数の構成要素の合計値を示す場合は積み上げ縦棒グラフが有効です。
まとめ
この記事では、Excelでウォーターフォールグラフを作成し、損益分析を可視化する手順を解説しました。
データ準備からグラフ作成、そして「合計として表示」の設定方法までを理解することで、複雑な損益の変動要因を直感的に把握できるようになります。
作成したウォーターフォールグラフは、会議資料や報告書などで、分析結果を効果的に伝えるための強力なツールとなります。
ぜひ、ご自身の業務における損益分析や、その他の増減分析にウォーターフォールグラフを活用してみてください。
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