Power Automate Desktop(PAD)を使用する際、資格情報(ログインIDやパスワードなどの認証情報)の管理に悩むことは珍しくありません。特に会社のPCでは、保存された資格情報が意図せず消えたり、別のアカウントで上書きされたり、管理者ポリシーで制限されたりすることがあります。本記事では、PADの資格情報に関する操作手順と、知っておくべき制限事項を整理します。これらの情報を基に、資格情報関連のトラブルを自分で切り分け、適切な対処を行えるようになることを目指します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: PADの資格情報マネージャー(旧称:Credential Manager)の状態と、Windowsの資格情報マネージャーとの連携
- 切り分けの軸: フロー実行時のエラーメッセージ、資格情報の保存場所(ローカルかクラウドか)、管理者ポリシーの有無
- 注意点: 会社PCでは、グループポリシーや管理者による制限で資格情報の保存や自動入力が制限される場合があります。変更を加える前に管理者へ確認しましょう。
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目次
Power Automate Desktopの資格情報管理の基本
Power Automate Desktopでは、フロー内でWebサイトやアプリケーションにログインするために資格情報を使用します。これらの資格情報は、PAD内の資格情報マネージャーに保存され、フロー実行時に自動的に呼び出されます。資格情報マネージャーは、ユーザー名とパスワードの組み合わせを安全に保管し、Windowsの資格情報マネージャーとも連携可能です。
ただし、保存された資格情報が意図通りに動作しない場合があります。原因として、資格情報の保存場所が複数存在することや、フロー内で使用するアクション(例:「Webフォームにデータを入力」や「ブラウザーの制御」)の設定ミス、または管理者による制限が考えられます。まずは、PADの資格情報マネージャーが正しく設定されているかを確認してください。
資格情報マネージャーの確認方法
PADを起動したら、左側のメニューから「資格情報マネージャー」をクリックします。ここに保存されている資格情報の一覧が表示されます。もし何も表示されなければ、まだ資格情報が追加されていないか、あるいは何らかの理由で削除された可能性があります。また、Windowsの資格情報マネージャー(コントロールパネル→ユーザーアカウント→資格情報マネージャー)にも、PADが使用する資格情報が保存されている場合があります。両方を確認すると良いでしょう。
資格情報の追加・編集・削除の手順
資格情報の管理はPADの資格情報マネージャーから直接行います。以下の手順で追加、編集、削除が可能です。
新しい資格情報を追加する手順
- Power Automate Desktopを起動し、左側の「資格情報マネージャー」をクリックします。
- 画面上部の「追加」ボタンをクリックします。ダイアログが表示されます。
- 「資格情報名」に任意の名前(例:Salesforceログイン)を入力します。この名前はフロー内で呼び出す際に使用します。
- 「ユーザー名」と「パスワード」を入力します。パスワードはマスク表示され、保存後は編集時に再度入力が必要です。
- 必要に応じて「ドメイン」を入力します(Windows認証の場合)。通常は空欄で構いません。
- 「保存」ボタンをクリックして完了です。追加された資格情報が一覧に表示されます。
既存の資格情報を編集する手順
- 資格情報マネージャーで編集したい資格情報を選択します。
- 「編集」ボタンをクリックします。パスワードは表示されず、再入力が必要です。
- 新しいユーザー名やパスワードを入力し、「保存」をクリックします。
資格情報を削除する手順
- 削除したい資格情報を選択し、「削除」ボタンをクリックします。
- 確認ダイアログで「はい」をクリックすると、完全に削除されます。
これらの操作は、PADがインストールされたローカルPCに対してのみ反映されます。フローを別のPCで実行する場合は、そちらでも同様に資格情報を設定する必要があります。
よくあるエラーとその対処法
資格情報に関するエラーは、フローの実行時に発生することが多いです。代表的なエラーメッセージとその対処法を以下に示します。
| エラーメッセージ | 考えられる原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 資格情報が見つかりません | フローで指定した資格情報名が存在しない、または誤っている | 資格情報マネージャーで正しい名前が登録されているか確認し、フロー内のアクションで参照している名前と一致させてください。 |
| ログインに失敗しました | ユーザー名またはパスワードが間違っている、あるいはアカウントがロックされている | 資格情報を編集して正しい情報に更新するか、手動でログインできるか確認してください。 |
| この操作には管理者権限が必要です | グループポリシーで資格情報の保存や使用が制限されている | 管理者に連絡し、ポリシーの緩和を依頼するか、別の方法(例:環境変数)を検討してください。 |
| 資格情報が保存できません | ディスク容量不足、またはファイルの書き込み権限がない | PCの空き容量を確認し、PADを管理者として実行してみてください。 |
上記以外にも、フロー内で「資格情報を入力」アクションを使用している場合、そのアクションの設定によってはエラーが発生することがあります。アクションのプロパティで、正しい資格情報名が選択されているかを再確認してください。
制限事項と管理者に確認すべき項目
Power Automate Desktopの資格情報機能には、いくつかの制限事項があります。また、会社のITポリシーによっては、さらに制限が課される場合があります。以下に代表的な制限を挙げます。
PADの資格情報機能の制限
- 資格情報はローカルPCに保存されるため、別のPCでは自動的に利用できません。フローを複数PCで実行する場合は、それぞれ設定が必要です。
- パスワードは暗号化されて保存されますが、同じPCにログインしている他のユーザーからはアクセスできません(ユーザーごとに管理されます)。
- 資格情報の有効期限を設定する機能はありません。パスワードを定期的に変更する場合は、手動で更新する必要があります。
- クラウドフロー(Power Automate クラウド版)と直接連携することはできません。クラウドフローで資格情報を使用する場合は、別途「クラウドフローの資格情報」を設定する必要があります。
管理者に確認すべき項目
会社のPCでは、グループポリシーによって資格情報の保存や自動入力が制限されていることがあります。次の点を管理者に確認してください。
- Windowsの資格情報マネージャーが無効化されていないか(特に「資格情報の保存を禁止する」ポリシー)。
- Power Automate Desktopが管理者権限で実行されていないと、資格情報の保存に失敗する場合があるため、実行ポリシーを確認する。
- 社内システムのログインに多要素認証が必要な場合、資格情報だけでは認証が完了せず、フローが停止することがあります。その場合は、多要素認証を回避する方法(APIキーなど)を検討する必要があります。
管理者に問い合わせる際は、上記の項目を具体的に伝えると、スムーズに回答が得られるでしょう。
資格情報の移行やバックアップの方法
PCの交換やチーム内での共有のために、資格情報を移行したい場合があります。残念ながら、PADには資格情報をエクスポートする標準機能はありません。そのため、手動で再設定するか、以下の方法を検討してください。
バックアップと復元の代替手段
- PADの資格情報はWindowsの資格情報マネージャーに保存されることもあります。Windowsの資格情報マネージャーは「管理者として実行」したコマンドプロンプトから「cmdkey /list」で一覧表示でき、「credwiz」ツールでバックアップ可能です(ただし、すべての資格情報が対象)。
- PADの資格情報マネージャーに保存された情報は、レジストリの「HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Power Automate Desktop\Credentials」に暗号化されて格納されています。このキーをエクスポートしても、別のPCでは復元できないため、実用的ではありません。
- 最も確実な方法は、新しいPCでPADをセットアップし、資格情報を手動で再登録することです。その際、フロー内で使用している資格情報名をメモしておくと便利です。
よくある質問
Q1: 資格情報を保存したのに、フロー実行時に「資格情報が見つかりません」と表示されます。なぜですか?
A1: フロー内で指定している資格情報名と、資格情報マネージャーに登録した名前が完全に一致しているか確認してください。大文字小文字も区別されます。また、フローを開き直すと資格情報が再読み込みされる場合があります。
Q2: パスワードを変更したのですが、古いパスワードが使われ続けます。どうすればいいですか?
A2: 資格情報マネージャーで該当の資格情報を編集し、新しいパスワードを入力して保存してください。フローを実行する前に、必ず保存ボタンをクリックしてください。
Q3: 資格情報を削除したのに、フローが動作しません。なぜですか?
A3: フロー内でその資格情報を参照しているアクションが残っている場合、削除後はエラーになります。アクションのプロパティで資格情報名を変更するか、アクション自体を削除してください。
Q4: 複数のPCで同じ資格情報を使いたいのですが、簡単な方法はありますか?
A4: PADの標準機能では一元的な管理はできません。各PCで手動設定するか、スクリプトを使って設定を自動化する方法を検討してください。ただし、スクリプトでパスワードを平文で扱うことはセキュリティ上推奨しません。
まとめ
Power Automate Desktopの資格情報管理は、ローカルPCに依存するため、複数環境での共有やバックアップが容易ではありません。しかし、資格情報マネージャーの正しい操作と、エラーメッセージの意味を理解することで、多くのトラブルは解決できます。また、会社のポリシーによって制限がある場合は、管理者と連携して対応方法を検討してください。本記事の手順を参考に、資格情報に関する問題をスムーズに解決していただければ幸いです。
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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