Salesforceを利用していると、APIの使用量が想定以上に早く消費されたり、制限に引っかかってデータ連携が停止するといった問題に直面することがあります。特に、組織で複数の外部システムと連携している場合、どのAPIリクエストが制限を消費しているのか特定できず、原因の切り分けに苦労するケースが少なくありません。この記事では、API制限の表示条件と、それに関わる権限設定の見直し手順を具体的に解説します。実際に管理画面で確認すべき項目や、よくある勘違いのパターンも取り上げますので、ぜひトラブルシューティングの参考にしてください。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: 設定メニューの「会社の設定」→「API制限」画面。ここで組織全体の使用状況と制限値が表示されます。
- 切り分けの軸: ユーザのライセンスタイプ、プロファイル・権限セットでの「API有効」設定、統合アプリケーション(接続アプリ)のOAuthスコープなど。
- 注意点: 「API制限」画面に表示される数値は24時間スライディングウィンドウの集計であり、リセット時刻が固定ではない点を理解しておく必要があります。
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目次
想定と異なるAPI制限が発生する原因
API制限が想定よりも早く到達する背景には、主に以下の3つの要因が考えられます。いずれも、組織の設定や権限の見落としが原因であることが多いです。
- ライセンスタイプごとのAPI枠の違い
Salesforceのエディション(Enterprise、Unlimited、Developerなど)やユーザライセンス(Salesforce Platform、Chatter Plusなど)によって、1ユーザあたりのAPIリクエスト上限が異なります。たとえば、CRMユーザライセンスとプラットフォームライセンスではAPI枠が異なるため、組織全体の制限を超えてしまうことがあります。 - APIリクエストの内訳と表示条件の誤解
「API制限」画面には、すべてのAPIリクエストが一覧表示されるわけではありません。REST APIやSOAP APIの他に、Bulk API、Streaming API、Metadata APIなども個別の制限が存在します。また、特定の時間帯に一斉に呼び出されるバッチ処理や、統合アプリからの定期的なポーリングなど、計画的でないリクエストが制限を圧迫することもあります。 - 権限設定による意図しないAPI利用
ユーザプロファイルや権限セットで「API 有効」がオンになっているユーザは、全員がAPIを利用可能です。たとえば、管理目的でしかアクセスしないシステム管理者に不要なAPI権限が付与されていたり、外部アプリケーションとの連携に使用していないユーザまでAPI枠を消費しているケースがあります。
API制限の表示条件を確認する手順
まずは組織全体のAPI使用状況と制限値を正確に把握します。以下の手順で確認してください。
- Salesforceに管理者としてログインし、画面右上の歯車アイコンから「設定」を開きます。
- 左側のナビゲーションメニューで「会社の設定」を展開し、「API制限」をクリックします。
- 表示される画面で、「APIリクエストの合計」と「APIの制限」の値を確認します。制限値に対する使用率がパーセンテージで示されます。
- さらに「API使用状況の詳細」リンクをクリックすると、各APIタイプ(REST、SOAP、Bulkなど)ごとの使用量を確認できます。
- 注意点として、この画面の数値は過去24時間のスライディングウィンドウで集計されており、特定の時刻にリセットされるわけではありません。そのため、時間帯によって表示が変わることを理解しておきましょう。
権限の見直し:API利用者とアクセス範囲の絞り込み
API制限の原因が特定のユーザや統合アプリにある場合、以下の手順で権限を調整します。
ユーザのAPIアクセス権限を確認する
- 「設定」→「ユーザ」→「ユーザ」の一覧から、該当ユーザのレコードを開きます。
- 「ユーザの詳細」セクションで「API 有効」チェックボックスがオンになっているかを確認します。ただし、このチェックはプロファイルや権限セットで制御されるため、直接変更できない場合があります。
- プロファイルの場合、「設定」→「ユーザ」→「プロファイル」で該当プロファイルを選択し、「システム管理者権限」の「API 有効」をオフにすることで、そのプロファイルに割り当てられた全ユーザのAPIアクセスを無効化できます。
- 権限セットの場合は、「設定」→「ユーザ」→「権限セット」から該当権限セットを開き、「システム」セクションの「API 有効」を無効にします。
統合アプリケーションのOAuth設定を確認する
外部システムとの連携に使用する接続アプリケーション(Connected App)の設定を確認しましょう。
- 「設定」→「アプリケーション」→「接続アプリケーション」の管理画面を開きます。
- 該当の接続アプリを選択し、「OAuthのスコープ」を確認します。必要以上に広いスコープ(例:fullアクセス)が設定されている場合、不要なAPIコールが発生している可能性があります。
- 「アクセスポリシー」で「許可されたユーザ」が「すべてのユーザ」になっていないか確認します。不要なユーザがAPI経由でアクセスできる状態になっていないか見直します。
- また、接続アプリケーションごとに「発行されたトークン」の管理も重要です。期限切れでないアクティブなトークンが多いと、それらすべてがAPIリクエストを発行する可能性があります。
よくある失敗パターンと対処法
以下の表に、よく発生する誤解や設定ミスと、その正しい対処法をまとめました。
| 失敗パターン | 実際の原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 「API制限」画面の数値が想定より低い | 表示が24時間スライディングウィンドウであるため、時間帯によってカウントが変動する | 特定の時間帯のピークを把握するには、イベント監視(Event Monitoring)を使用するか、API使用状況の詳細レポートを出力する |
| 「API 有効」をオフにしたのにAPI呼び出しが継続する | プロファイルと権限セットの両方で権限が設定されている場合、一方をオフにしても他方が有効だとAPIアクセスが残る | ユーザに割り当てられたすべてのプロファイル・権限セットを確認し、すべての「API 有効」を無効にする |
| 接続アプリのアクセストークンを取り消したが、API制限が減らない | トークンの取り消しが反映されるまでに時間差がある、または別の接続アプリやユーザがAPIを使用している | トークン取り消し後、数分待ってから「API制限」画面を更新する。それでも減らない場合は、他の接続アプリやユーザのアクセスログを確認する |
管理者に確認すべき情報リスト
API制限の問題が発生したときに、管理者に報告・確認すべき情報を整理します。これにより、原因特定がスムーズになります。
- 組織のエディションと購入しているユーザライセンスの種類・数
- 「API制限」画面のスクリーンショット(使用率と期限)
- 問題の発生時刻と、同時期に稼働していたバッチジョブやデータ連携の一覧
- 「API使用状況の詳細」画面で確認できる各APIタイプの使用量
- ユーザ別のAPIアクセスログ(イベント監査証跡があれば)
- 接続アプリケーションの一覧と、それぞれのOAuthスコープ・許可ユーザ設定
よくある質問(FAQ)
Q1: API制限を引き上げることはできますか?
A: エディションによっては、追加購入やアップグレードで制限を拡大できる場合があります。また、一定期間だけ制限を一時的に緩和する「API Request Overage」プログラムが適用されることもあります。詳細はSalesforceの担当者またはパートナーに問い合わせてください。
Q2: ユーザごとのAPI使用量を確認する方法は?
A: 標準の設定画面ではユーザ単位の使用量は表示されませんが、イベント監視(Event Monitoring)機能を利用すると、各ユーザや接続アプリのAPIリクエスト履歴を分析できます。別途有料ライセンスが必要となる場合があります。
Q3: 「API制限」画面に表示される数字が実際の使用量と合わないのはなぜですか?
A: 画面に表示されるのはロールアップされた集計値であり、リアルタイムではありません。また、REST、SOAP、BulkなどAPIの種類ごとに表示が異なる場合があります。正確な使用量を把握するには、イベント監視レポートを参照することをお勧めします。
まとめ
API制限が想定と異なる場合、まずは組織の「API制限」画面で全体像を把握し、同時にユーザ権限と接続アプリケーションの設定を見直すことが基本です。表示条件の誤解(24時間スライディングウィンドウ)や権限の二重設定など、見落としがちなポイントを押さえることで、原因を特定しやすくなります。適切な権限設定と定期的なモニタリングにより、API制限の超過を予防し、安定したシステム連携を維持しましょう。
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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