Salesforceの承認プロセスは、申請から承認までのフローを自動化できる便利な機能です。しかし、代理承認者を設定しても期待通りに動作しないケースが少なくありません。本番環境に反映する前に、原因を切り分けるための手順をしっかり押さえておくことが重要です。この記事では、代理承認者に関するトラブルを未然に防ぐための具体的な確認ポイントを解説します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: 承認プロセスの詳細設定(承認ステップの「代理承認者」項目)と、ユーザの代理承認者設定。
- 切り分けの軸: 端末側の問題かアカウント権限の問題か、管理設定側の承認プロセス定義やキュー設定かを段階的に確認する。
- 注意点: 会社PCでプロセス定義や権限を勝手に変更すると本番環境に影響を与えるため、必ず管理者の協力を得てテスト環境で検証すること。
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目次
承認プロセスと代理承認者の基本
承認プロセスでは、申請者がレコードを送信すると、設定された承認者に承認依頼が届きます。代理承認者は、本来の承認者が不在のときに代わりに承認作業を行えるユーザを指します。この機能は、承認者が休暇中でも承認フローを止めないために利用されます。
代理承認者の種類
Salesforceには、代理承認者を設定する方法がいくつかあります。主な種類は次の通りです。
- ユーザレコードの「代理承認者」項目: 各ユーザの詳細ページで、自分が承認者になるレコードの代理承認者を指定できます。この設定は、ユーザ自身が自分で変更できる場合があります。
- 承認ステップの「代理承認者」オプション: 承認プロセスの各ステップで、どのユーザが代理承認者になれるかを定義します。ここで指定したユーザだけが代理承認者として機能します。
- 自動割り当てルール: 承認ステップに「代理承認者に自動的に割り当て」オプションを有効にすると、本来の承認者が不在と判断された場合に自動で代理承認者に回ります。このルールはキューやロール階層と組み合わせて使うことも可能です。
これらの設定が正しく連動していないと、代理承認者に依頼が届かないという問題が発生します。まずは、どの種類の代理承認設定を使っているのかを明確にしましょう。
代理承認者が機能しない主な原因
実際にトラブルシューティングを行う前に、よくある原因を把握しておくと効率的です。
よくある原因と事例
| 原因 | 具体例 | 影響 |
|---|---|---|
| ユーザの「代理承認者」項目が未設定 | 承認者がユーザAで、Aの「代理承認者」項目にユーザBを入れていない | 承認ステップに「代理承認者を使用」が設定されていてもBに依頼が届かない |
| 承認ステップで「代理承認者を許可」が無効 | 承認プロセス編集画面で、承認ステップの「代理承認者」チェックボックスがオフ | ユーザに代理承認者が設定されていても無視される |
| 代理承認者にレコードへのアクセス権がない | 承認ステップでキュー割り当ての場合、代理承認者がキューの共有設定でアクセス権を持っていない | 代理承認者はレコードを開けず承認できない |
| 承認ステップの割り当てがキューで、代理承認者設定が「ユーザ指定」のみ | 承認ステップで「割り当て先:キュー」を選択しているが、代理承認者に「ユーザ」しか指定できない | キュー割り当ての場合は代理承認者機能が使えない |
これらの原因は、本番環境に反映する前にテスト環境で確認しておきたいポイントです。次の章では、具体的な切り分け手順を解説します。
本番反映前の切り分け手順
ここでは、代理承認者が期待通りに動作しない場合の調査手順を順を追って説明します。テスト環境で実施することを前提としています。
- テスト環境で同一条件の承認プロセスを作成する。 本番とまったく同じ設定で、承認プロセスをサンドボックスなどのテスト組織にコピーしてください。できればフルサンドボックスを使うと、データも含めた検証が可能です。
- 承認者のユーザレコードを確認する。 承認者となるユーザ(例:ユーザA)の詳細ページで「代理承認者」項目に正しいユーザ(例:ユーザB)が設定されているか確認します。標準オブジェクトでは、プロファイル設定で「代理承認者」項目が表示される権限が必要です。
- 承認プロセスのステップ編集画面を開く。 [設定] > [プロセス自動化] > [承認プロセス] から該当プロセスを選択し、各ステップの [編集] をクリックします。ステップ詳細にある「代理承認者」のチェックボックスがオンになっているか、また「選択された代理承認者から」で正しいユーザが選択されているかを確認します。
- 「自動割り当てルール」の設定を確認する。 ステップ編集画面で「代理承認者に自動的に割り当て」のオプションを有効にすると、本来の承認者(例:承認者A)がレコードを一定期間承認しない場合に自動で代理承認者に割り当てられます。この動作を期待している場合は、経過時間(デフォルトは1日)とアクション設定が適切か確認します。
- 代理承認者のプロファイル権限を確認する。 代理承認者となるユーザに、承認プロセスが対象とするオブジェクトの「読み取り」「編集」権限があるか確認します。また、承認プロセス自体の割り当てを受ける権限(例:「承認者」としての権限)がプロファイルや権限セットに含まれている必要があります。
- レコード所有者とキュー設定を確認する。 承認ステップの割り当て先がキューになっている場合、代理承認者機能は利用できません。その場合は、キューそのものにメンバーを追加するか、別の承認ステップでユーザ指定に変更する必要があります。
- テストレコードを送信して動作を検証する。 実際に申請役のユーザからレコードを送信し、承認者と代理承認者に通知が届くか、代理承認者が承認操作を行えるかを確認します。テストケースとして、承認者がログインしていない状況や、承認者が「不在」ステータスの場合も含めるとよいでしょう。
この手順を踏むことで、設定の不備がどこにあるのかを特定できます。
設定ミスの失敗パターンと確認ポイント
実際によくある失敗パターンをさらに掘り下げて解説します。これらの事例を知っておくことで、問題の早期発見につながります。
パターン1:ユーザの代理承認者設定が空
承認者自身が自分の「代理承認者」項目を空にしていると、承認ステップで代理承認機能を有効にしても依頼が飛びません。この項目はユーザ自身が自力で設定できる場合が多いため、事前に全ユーザに通知して設定を促すか、管理者が一括更新することを検討してください。
パターン2:キューと代理承認者の混同
「キューに割り当てる承認ステップ」で「代理承認者に自動的に割り当て」を設定しても、キューには代理承認者という概念がありません。代理承認者はあくまでユーザ単位で機能するため、キュー割り当ての場合は別の方法(たとえばキュー内の担当者を変更する)を検討する必要があります。この誤解は非常によく見られます。
パターン3:プロファイル権限の不足
代理承認者には、承認プロセスの対象オブジェクトに対する「編集」権限だけでなく、「承認申請の表示」権限や「承認」権限が必要な場合があります。特にカスタムオブジェクトの承認プロセスでは、権限セットで明示的に「承認者」権限を付与しなければならないケースがあります。管理者は、代理承認者が操作テストを行ったときにエラーが出るかどうかを確認してください。
管理者に確認すべき項目
もし上記の手順でも原因がわからない場合、管理者に以下の情報を伝えて協力を仰ぎましょう。
- 承認プロセス定義のバージョン: 複数バージョンが存在する場合、有効なバージョンで正しい設定が行われているか確認します。たまに旧バージョンが有効になったまま新バージョンに設定が反映されていないことがあります。
- 共有設定と組織の共有モデル: 代理承認者がレコードを参照できるように、共有ルールや明示的な共有が行われているか確認します。特に、オブジェクトが「公開・参照のみ」や「非公開」の場合は、キューから代理承認者に割り当てられたレコードに対してアクセス権が適切に設定されているかが重要です。
- 自動割り当てルールのトリガ条件: 「代理承認者に自動的に割り当て」の条件として、承認者が一定期間承認しない場合など、デフォルト設定が適切か確認します。状況によっては即座に代理承認者に割り振りたいこともあるため、時間設定を確認してください。
- 監査ログ: 問題が発生したタイミングで、どのユーザがどのような操作をしたかのログを確認します。承認依頼が正しく作成されたか、誰がリジェクトしたかなどを追跡できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 代理承認者を設定しても承認依頼が届きません。どこを確認すればよいですか?
まず、承認者となるユーザの「代理承認者」項目が設定されているか確認してください。次に、承認プロセスの各ステップで「代理承認者」チェックボックスがオンになっているか、また「選択された代理承認者から」に正しいユーザが選ばれているかを確認します。さらに、代理承認者にレコードへのアクセス権があるか、プロファイル権限を確認してください。それでも解決しない場合は、自動割り当てルールの設定やキュー割り当ての有無を調べましょう。
Q2. 承認ステップでキューを割り当てていますが、代理承認者を使うことはできますか?
承認ステップの割り当て先がキューの場合、代理承認者機能は使用できません。キューには「代理承認者」を設定できないためです。代替案としては、キュー自体のメンバーを増やす、または承認ステップをユーザ割り当てに変更することをご検討ください。また、承認ステップを分割して、最初のステップをキュー、後続のステップをユーザ指定にして代理承認者を設定する方法も可能です。
Q3. 代理承認者自身が承認者になることはできますか?
はい、可能です。代理承認者は、本来の承認者の代わりに承認操作を行いますが、その代理承認者が自身の担当として別のレコードの承認者になることもできます。ただし、同一の承認プロセス内で、同じユーザが代理承認者と次ステップの承認者になるなど、循環が発生しないように注意してください。また、代理承認者として承認した場合、そのレコードに対しては通常の承認者と同じ権限が必要です。
まとめ
代理承認者のトラブルシューティングでは、ユーザ設定と承認プロセス設定の両方を確認する必要があります。特に、承認ステップの「代理承認者」オプションとユーザ個人の「代理承認者」項目が連動していることを理解しておくことが重要です。本番反映前には必ずテスト環境で動作検証を行い、キュー割り当ての場合は代理承認者機能が使えない点に留意してください。設定の漏れを防ぐために、チェックリストを作成して組織内で共有することをおすすめします。以上を踏まえて、スムーズな承認プロセス運用を目指しましょう。
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超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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