Salesforceのナレッジ機能を導入している企業では、社内のナレッジ記事を取引先や顧客などの外部ユーザーにも公開したいという要望が少なくありません。しかし、単にナレッジオブジェクトを有効化しただけでは外部ユーザーは記事を参照できず、適切な共有設定と権限の付与が必要です。この記事では、Salesforceで外部ユーザーに対してナレッジを公開するための具体的な設定手順と、よくあるトラブルの原因切り分け方法を解説します。設定前に知っておくべき基本概念から、実際の操作、失敗例までを網羅し、管理者の方でも迷わず対応できる内容を目指します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: ナレッジオブジェクトの共有設定(公開グループやロール)と、外部ユーザーに割り当てられている権限セット・プロファイルです。
- 切り分けの軸: 外部ユーザーのライセンスタイプ(Customer Community, Partner Communityなど)、ナレッジのデータカテゴリ設定、Experience Cloud(旧Community Cloud)のサイト設定の3点で問題を分類します。
- 注意点: 外部ユーザーへのナレッジ公開は、共有設定の変更や権限セットの割り当てにより組織全体のセキュリティに影響を与える可能性があります。変更前には必ずSandboxでテストし、管理者の承認を得てから本番環境に適用してください。
ADVERTISEMENT
目次
1. 外部ユーザーにナレッジを公開するための基本概念
Salesforceのナレッジは標準オブジェクトですが、デフォルトでは内部ユーザーのみが参照できます。外部ユーザーに公開するためには、ナレッジオブジェクトの共有設定、権限セット、そしてExperience Cloudサイト(ポータル)の設定を組み合わせる必要があります。まずはこれらの要素を整理します。
1-1. 外部ユーザーとは
Salesforceにおける外部ユーザーとは、主にパートナーコミュニティライセンスやカスタマーコミュニティライセンスを持つユーザーを指します。これらのユーザーは組織の内部ユーザーとは別のライセンス体系で管理され、通常はExperience Cloudサイトを通じてSalesforceにアクセスします。外部ユーザーがナレッジを参照するには、まずサイトへのログインが可能であること、そして参照権限が適切に付与されていることが条件です。
1-2. ナレッジの公開範囲の選択肢
ナレッジの公開範囲には主に3つのオプションがあります。1つ目は「公開 – すべてのユーザーに表示」で、ログインの有無に関わらず全員が参照できます。2つ目は「公開 – 特定の権限セットに表示」で、権限セットを持つユーザーのみが参照できます。3つ目は「非公開」で、内部ユーザーのみが参照できます。外部ユーザーに公開する場合は、注意すべき点として、1つ目の「公開 – すべてのユーザーに表示」は外部ユーザーも含めて誰でも見える設定であり、情報漏洩のリスクがあるため、通常は2つ目の「特定の権限セット」を推奨します。
1-3. 必要なライセンスと機能
外部ユーザーにナレッジを公開するためには、組織がExperience Cloudライセンスを保有し、外部ユーザー向けのサイトが作成されている必要があります。また、ナレッジ機能自体が有効化されていることも大前提です。ライセンスによって利用可能な機能が異なりますので、下表を参照してください。
| ライセンスタイプ | 外部ユーザー数 | ナレッジアクセス | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| Customer Community | 無制限 | 権限セットで制御可能 | 顧客向けポータル |
| Partner Community | 無制限 | 権限セットで制御可能 | パートナー向けポータル |
| Customer Community Plus | 有料 | 権限セット+共有ルール | 高度な共有設定が必要な場合 |
2. ナレッジの共有設定と権限セットの設定手順
ここでは、外部ユーザー向けにナレッジを公開するための具体的な設定手順を説明します。手順は「共有設定の変更」「権限セットの作成と割り当て」「Experience Cloudサイトでの表示設定」の順で進めます。
2-1. 共有設定の変更
- 「設定」→「共有設定」→「共有ルール」に移動します。
- 「新規」をクリックし、共有ルールの種類を「ナレッジ」に選択します。
- ルール名を入力し、共有先を「公開グループ」または「ロール」に指定します。
- 「共有するレコード」で「すべてのレコード」または条件に応じてフィルタを設定します。
- 「アクセス権」を「読み取り」に設定し、「保存」します。
- このルールを有効にするには、組織の共有設定のデフォルトが「非公開」である必要があります。「設定」→「共有設定」で、ナレッジオブジェクトのデフォルトアクセスが「非公開」になっていることを確認してください。
2-2. 権限セットの作成と割り当て
- 「設定」→「権限セット」→「新規」で権限セットを作成します。ラベルとAPI参照名を入力します。
- 作成した権限セットを開き、「システム権限」で「ナレッジの参照」を有効にします。
- 「オブジェクト設定」→「ナレッジ」で「読み取り」権限を付与します。
- 外部ユーザーがアクセスできるナレッジ記事を限定する場合は、データカテゴリの参照権限も設定します。「データカテゴリの表示」で必要なカテゴリを追加します。
- 権限セットを保存し、「割り当て」→「割り当ての追加」で対象の外部ユーザーを検索して追加します。
2-3. Experience Cloudサイトでの表示設定
- 「設定」→「すべてのサイト」→該当のサイトを開きます。
- 「サイト設定」→「サイトの種類」で「カスタマーサービス」または「パートナー」を選択します(外部ユーザーの種類により異なります)。
- 「ナレッジの設定」で「ナレッジ記事の表示」を有効にします。
- 必要に応じて、サイトにナレッジ検索コンポーネントを追加します。「サイトビルダー」でページを編集し、「ナレッ�検索」コンポーネントを配置します。
- 保存して公開します。サイトの公開設定が「公開 – すべてのユーザー」になっていると、未ログインのユーザーも見えてしまうため「公開 – コミュニティユーザーのみ」を推奨します。
3. 公開設定で失敗しやすいパターン
外部ユーザーにナレッジを公開する設定でよく発生する問題とその解決方法を紹介します。以下の失敗例を参考に、設定を見直してください。
3-1. 権限セットに「ナレッジの参照」がない
権限セットで「ナレッジの参照」システム権限を有効にしていない場合、外部ユーザーはナレッジタブ自体を表示できません。また、オブジェクト権限でナレッジの読み取り権限が欠けている場合も同様です。権限セットの設定画面で両方の権限が付与されていることを確認してください。
3-2. 共有ルールで対象ユーザーが含まれていない
外部ユーザーをメンバーに含む公開グループを作成し、そのグループに対して共有ルールを設定する必要があります。よくある誤りとして、公開グループに外部ユーザーが追加されていなかったり、ルールの対象がロールになっていて外部ユーザーがロールに属していないケースがあります。外部ユーザーは通常ロールを持たないため、公開グループを使用するほうが確実です。
3-3. データカテゴリのアクセス権が不足
ナレッジ記事にはデータカテゴリが設定されている場合があります。権限セットで該当するデータカテゴリの「表示」権限が付与されていないと、記事が表示されません。権限セットの「データカテゴリの表示」で、公開したい記事のカテゴリが選択されているか確認しましょう。
4. 管理者に確認すべき情報
外部ユーザーにナレッジを公開する設定を行う前に、管理者に以下の点を確認してください。これらを事前に把握しておくことで、設定の抜け漏れを防げます。
- 組織のナレッジ設定: ナレッジ機能が有効か、またデータカテゴリが使用されているか。
- 外部ユーザーのライセンス数: 現在のライセンス数と追加の可否。特にCustomer Community Plusは有償のため予算確認が必要です。
- Experience Cloudサイトの有無: 既存のサイトがあるか、新規作成が必要か。サイトの公開範囲設定(ログイン要求の有無)も確認します。
- 既存の共有ルールや権限セット: すでに外部ユーザー向けの設定がある場合は、重複や競合を避けるために統合を検討します。
5. よくある質問(FAQ)
Q1. 外部ユーザーがナレッジタブをクリックしても何も表示されません
権限セットに「ナレッジの参照」システム権限が不足している可能性があります。また、共有設定でナレッジがデフォルト「非公開」の場合、共有ルールが適用されているか確認してください。
Q2. Experience Cloudサイトなしでナレッジを公開できますか?
組織によっては「サイト」を使わずに外部ユーザーに直接Salesforceへログインさせる方法も可能ですが、通常はExperience Cloudサイトが必要です。セキュリティの観点からもサイト経由を推奨します。
Q3. 一部の外部ユーザーのみに特定の記事だけを見せたい
データカテゴリと権限セットを組み合わせて制御します。まず記事にカテゴリを割り当て、権限セットでそのカテゴリの表示権限を付与した後、その権限セットを特定の外部ユーザーのみに割り当てます。
Q4. 外部ユーザーはロールを持てませんか?
外部ユーザーは標準のロール階層に配置できませんが、「コミュニティロール」という概念があります。ただし、共有設定には公開グループを使用するほうが管理が容易です。
6. まとめ
Salesforceで外部ユーザーにナレッジを公開するには、共有設定、権限セット、Experience Cloudサイトの3つの要素を正しく連携させる必要があります。最も重要なのは、権限セットで「ナレッジの参照」権限とナレッジオブジェクトの読み取り権限、さらにデータカテゴリ権限を漏れなく設定することです。また、共有ルールで公開グループを利用すると管理が容易になります。設定後は必ず外部ユーザーとしてログインし、実際にナレッジが表示されるかテストしてください。問題が発生した場合は、権限セットと共有設定を優先的に見直すことで、多くのトラブルを解決できます。
ADVERTISEMENT
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
Office・仕事術の人気記事ランキング
- 【Outlook】添付ファイルが「Winmail.dat」に化ける!受信側が困らない送信設定
- 【Teams】メッセージを「保存済み」にして後で読む!重要なチャットをブックマークして整理する技
- 【神技】保存せずに閉じたExcel・Wordファイルを復元する!消えたデータを復活させる4つの救出法
- 【Word】差し込み印刷で数字の桁を整える!金額にカンマ(桁区切り)を入れる設定
- 【Copilot】「サービスに接続できません」エラーの原因切り分けと対処法
- 【Word】校閲機能の基本!赤字(変更履歴)とコメントで修正を見える化する
- 【PDF】PDFに入力した文字の「フォント・サイズ・色」を変更するプロパティ設定
- 【PDF】PDFのサムネイルプレビューが表示されない!エクスプローラーの設定とAcrobat環境設定
- 【Teams】会議の「参加者リスト」を出席後にダウンロードする!誰が参加したか確認する手順
- 【PDF】結合するPDFの「用紙サイズ」がバラバラな時、すべてを「A4サイズ」に強制リサイズしてから結合する
