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サインアウトの呪縛から解放され、複数組織の情報をリアルタイムに並行処理する
社外プロジェクトへの参加や、グループ会社間でのコミュニケーション。これまでのTeams(クラシック)では、別の『テナント(組織)』に切り替えるたびにサインアウトとサインインを繰り返したり、通知を受け取るためにブラウザ版を併用したりといった、多大なオーバーヘッドが発生していました。しかし、『新しいTeams』ではアーキテクチャが刷新され、複数のアカウントやテナントを同時にアクティブな状態で保持できるようになりました。
これは技術的には、ElectronからWebView2(Edgeエンジン)へと移行したことで実現した『MTMA(Multi-Tenant, Multi-Account)』機能です。各組織の認証トークンを独立したサンドボックスで並列管理し、一つのアプリウィンドウ内でシームレスに表示を切り替え、かつバックグラウンドですべての組織の通知をリアルタイムに受信し続けることが可能です。本記事では、複数テナントを登録する手順から、通知のカスタマイズ、そして切り替えをさらに高速化するための運用術について詳説します。
結論:マルチテナント環境を最適化する3つの技術的ステップ
- MTMA機能の有効化:「新しいTeams」に切り替え、プロフィールメニューからアカウントを追加して組織間の壁を撤廃する。
- 通知の「集約管理」:別テナントにいる間も、他組織のメンションをリアルタイムのバナーとして受け取る。
- サイドバー(Switcher)の活用:組織名横のバッジ(未読数)を確認し、ワンクリックでコンテキストを切り替える。
目次
1. 技術仕様:MTMAアーキテクチャによるリソース分離
新しいTeamsは、メモリ消費を大幅に削減しつつ、複数組織の同時接続を可能にする設計へと進化しました。
内部的なデータ処理プロトコル
・共有モデルの刷新:クラシック版では組織ごとに新しいプロセスを立ち上げていたため、メモリ消費量は組織数 $n$ に対して指数関数的に増大していました。新版ではコアプロセスを共有し、表示レイヤーのみを分離するため、理論上のリソース消費は以下のように効率化されています。
$$Memory_{Usage} \approx Base_{App} + \sum_{i=1}^{n} Tenant_{Data(i)}$$
・リアルタイム通知の多重化:すべての登録済みテナントに対してWebSocket接続を維持。自分がどの組織を表示していても、他組織で発生した $Event_{Mention}$ などのシグナリングを常に傍受できる構造(プッシュ通知の統合)になっています。
・認証トークンの独立管理:各組織のAzure AD(Microsoft Entra ID)認証は独立したCookieコンテナで保持されるため、一方の組織でパスワード変更が発生しても他方には干渉しません。
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2. 実践:別の組織(テナント)を追加して表示する手順
サインアウトせず、別の仕事用アカウントや外部組織を追加する具体的な操作ステップです。
具体的な設定手順
- Teamsアプリ右上のプロフィール画像をクリックします。
- 「別のアカウントを追加」を選択し、追加したい組織のメールアドレスとパスワードでサインインします。
- サインイン完了後、プロフィールメニュー内に複数のアカウントと、それぞれに紐づくテナント(組織)がリストアップされます。
- 切り替えたい組織名をクリックするだけで、再ロードなしで表示が切り替わります。
※複数のウィンドウで別々の組織を開くことはできませんが、一つのウィンドウ内で瞬時に行き来できるため、作業のコンテキストスイッチが劇的に速くなります。
3. 技術的洞察:別テナントからの通知をどう受け取るか
現在表示していない組織の動きを、見落とさないための通知プロトコルです。
・サイドバーの「赤いバッジ」:新しいTeamsでは、組織名の横に未読数やメンションを示す赤いドットが常時表示されます。これにより、切り替える前に「あっちの組織で何か起きている」ことを視覚的に検知できます。
・クロス・テナント通知:別の組織で作業していても、他組織のメンションはデスクトップ通知(バナー)として届きます。通知をクリックすると、自動的にその組織へと表示が切り替わり、該当のメッセージまでジャンプします。
4. 高度な修復:サインインがループする・切り替わらない時の対処
キャッシュの不整合により、組織の切り替えに失敗する場合のデバッグ手順です。
不具合解消のプロトコル
- サインアウトの一括実行:一度すべてのアカウントからサインアウトし、アプリを完全に終了させます。
- キャッシュディレクトリのパージ:
%localappdata%\Packages\MSTeams_8wekyb3d8bbwe\LocalCache\Microsoft\MSTeams内のファイルを削除します。これは「新しいTeams」特有のキャッシュ保存場所です。 - OSの資格情報マネージャー:Windowsの「資格情報マネージャー」を開き、古い `MicrosoftTeams` 関連の資格情報を削除してから再試行することで、認証のループを技術的に解消できます。
5. 運用の知恵:「組織の壁」を意識させないシームレスな設計思想
マルチテナント機能を最大限に活用し、業務のスピードを落とさないためのエンジニアリング思考を提示します。
・「お気に入り」チャネルのピン留め:よく使う他組織のチャネルを「お気に入り」として最上部に配置します。組織を切り替えた直後に、どのチャネルをチェックすべきかを固定化(ハードコード)しておくことで、探索コストを最小化します。
・ステータスの一貫性管理:一つの組織で「取り込み中」に設定しても、他組織では「連絡可能」に見える場合があります。重要な会議中は、メイン組織だけでなく全体のステータスを意識的にコントロールする、あるいは「自動応答不可」設定を同期させる運用を推奨します。
・ゲストアクセスの集約:自社アカウントが外部組織の「ゲスト」として登録されている場合、それらは一つのアカウントの下にぶら下がります。アカウントそのものを分けるのではなく、一つの強力なIDにゲスト権限を集約させることで、MTMAの恩恵を最大化できます。
このように、新しいTeamsでのマルチテナント管理を制御することは、物理的な所属組織という境界線を越えて、自身のプレゼンスと情報を一つのハブに統合し、知的生産のスループットを最大化するための高度なインフラ最適化です。
まとめ:クラシック版 vs 新しいTeams(マルチテナント比較)
| 項目 | クラシックTeams | 新しいTeams(MTMA) |
|---|---|---|
| 切り替え速度 | 遅い(サインアウトが必要) | 爆速(クリックのみ) |
| 他組織の通知 | 届かない(切り替え時のみ) | リアルタイムで全局受信 |
| メモリ消費 | 膨大(組織数分増える) | 効率的(プロセス共有) |
| アカウント追加数 | 制限あり | 多数の並列保持が可能 |
Teamsの「新しいTeams」による複数テナントの同時表示は、ハイブリッドワーク時代のマルチタスクを支える最強の武器です。組織の壁による情報の分断を、技術によって透過的にすること。この一工夫が、あなたのレスポンス性能を劇的に向上させ、複数のプロジェクトを同時に、かつ正確にリードしていくための確固たる基盤となります。まずはプロフィールアイコンをクリックし、今までサインアウトして使っていた「あのアカウント」を追加することから、ストレスフリーな多組織連携を始めてみてください。
この記事の監修者
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
