業務中に大切なファイルを誤って削除してしまい、焦る経験は少なくありません。ごみ箱からも消えてしまったファイルは、通常の方法では復元できません。
しかし、Windowsには「Windows File Recovery」という標準ツールが提供されており、コマンドラインインターフェースを介して削除済みファイルを救出できます。
この記事では、Windows File Recoveryのインストールから、状況に応じた具体的な復元コマンドまでを詳しく解説します。
【要点】Windows File Recoveryで削除済みファイルを復元するポイント
- Windows File Recoveryのインストール: Microsoft Storeからツールをダウンロードして導入します。
- 復元モードの選択: ファイルシステムの種類や削除からの経過時間に応じて適切なモードを選びます。
- コマンドの実行: コマンドプロンプトやPowerShellで正確なオプションを指定し、復元コマンドを実行します。
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目次
Windows File Recoveryの概要とファイル復元の前提条件
Windows File Recoveryは、Microsoftが提供するコマンドラインベースのデータ復旧ツールです。誤って削除したファイルや、破損したドライブからファイルを復元する際に役立ちます。
このツールは、NTFS、FAT32、exFAT、ReFSといった主要なファイルシステムに対応しています。ただし、ファイルが上書きされてしまうと復元は困難になるため、削除に気づいたらすぐにPCの使用を停止することが重要です。
また、復元先のドライブは、ファイルを削除した元のドライブとは異なる物理ドライブまたはパーティションである必要があります。これは、復元作業中に元のドライブへの新たなデータ書き込みを防ぐためです。
Windows File Recoveryが利用できる環境
Windows File RecoveryはWindows 10バージョン2004以降、およびWindows 11で利用できます。Microsoft Storeから無料で入手可能です。
このツールはCUIツールであるため、コマンドプロンプトまたはPowerShellから操作します。グラフィカルなユーザーインターフェースはありません。
Windows File Recoveryのインストールと基本的な使い方
Windows File Recoveryを使用するには、まずMicrosoft Storeからインストールする必要があります。インストール後は、コマンドプロンプトまたはPowerShellから実行します。
Windows File Recoveryのインストール手順
- Microsoft Storeを開く
スタートメニューから「Microsoft Store」を検索し、起動します。 - Windows File Recoveryを検索する
Microsoft Storeの検索バーに「Windows File Recovery」と入力し、検索します。 - ツールを入手する
検索結果から「Windows File Recovery」を選択し、「入手」ボタンをクリックしてインストールします。 - コマンドプロンプトまたはPowerShellを管理者として実行する
スタートメニューを右クリックし、「ターミナル 管理者」または「Windows PowerShell 管理者」を選択します。Windows 10の場合は「コマンドプロンプト 管理者」を選択します。
復元モードの選択とコマンドの準備
Windows File Recoveryには、ファイルの削除状況やドライブのファイルシステムに応じて、いくつかの復元モードがあります。適切なモードを選択することで、復元成功率が高まります。
基本的なコマンド構文は以下の通りです。
winfr ソースドライブ: 復元先ドライブ: /モード [/オプション]
各モードの概要は以下の通りです。
- Defaultモード: NTFSドライブで最近削除されたファイルを復元する場合に最適です。ファイルレコードセグメントを使用してファイルを検索します。
- Segmentモード: NTFSドライブでDefaultモードで復元できない場合や、削除から少し時間が経過した場合に使用します。ファイルセグメントを検索して復元を試みます。
- Signatureモード: FAT32、exFAT、ReFSドライブからの復元や、NTFSドライブでもDefault/Segmentモードでうまくいかない場合に使用します。特定のファイルタイプ(JPEG、PDFなど)のヘッダーとフッターを検索して復元します。このモードでは、復元したいファイルの種類を
/y:オプションで指定する必要があります。 - Extensiveモード: 最も包括的なモードで、すべてのファイルシステムタイプに対応します。時間がかかりますが、最も深いスキャンを実行します。
特定のファイルを復元する具体的なコマンド手順
ここでは、具体的な状況に応じたWindows File Recoveryのコマンド例を紹介します。コマンドプロンプトまたはPowerShellを管理者として実行した状態で操作してください。
Defaultモードでのファイル復元
NTFSドライブで最近削除されたファイルを復元する場合にこのモードを使用します。
- 特定のファイルを復元する
Cドライブから「レポート.docx」というファイルをDドライブに復元する場合のコマンドです。winfr C: D: /n "\Users\<ユーザー名>\Documents\レポート.docx"
(<ユーザー名>は実際のWindowsユーザー名に置き換えてください。) - 特定のフォルダ全体を復元する
Cドライブの「Documents」フォルダ全体をDドライブに復元する場合のコマンドです。winfr C: D: /n "\Users\<ユーザー名>\Documents\" - 特定の拡張子のファイルを復元する
CドライブからすべてのJPGファイルをDドライブに復元する場合のコマンドです。winfr C: D: /n "*.jpg" - 複数の拡張子のファイルを復元する
CドライブからJPGとPNGファイルをDドライブに復元する場合のコマンドです。winfr C: D: /n "*.jpg" /n "*.png"
Segmentモードでのファイル復元
Defaultモードで復元できないNTFSドライブのファイルや、削除から時間が経過したファイルに試します。/rオプションを追加します。
- 特定の拡張子のファイルを復元する
CドライブからすべてのXLSXファイルをDドライブにSegmentモードで復元する場合のコマンドです。winfr C: D: /r /n "*.xlsx" - 特定のフォルダ内のファイルを復元する
Cドライブの「Projects」フォルダ内のPDFファイルをDドライブにSegmentモードで復元する場合のコマンドです。winfr C: D: /r /n "\Users\<ユーザー名>\Projects\*.pdf"
Signatureモードでのファイル復元
FAT32、exFAT、ReFSドライブや、NTFSドライブで他のモードで復元できない場合に試します。/xオプションと、復元したいファイルタイプを/y:オプションで指定します。
- 複数のファイルタイプを復元する
CドライブからPDF、DOCX、JPGファイルをDドライブにSignatureモードで復元する場合のコマンドです。winfr C: D: /x /y:PDF,DOCX,JPG
(対応するファイルタイプはwinfr /?コマンドで確認できます。) - SDカードから特定のファイルタイプを復元する
Eドライブ(SDカード)からJPGとMP4ファイルをFドライブにSignatureモードで復元する場合のコマンドです。winfr E: F: /x /y:JPG,MP4
Extensiveモードでのファイル復元
最も包括的なスキャンを実行します。他のモードで復元できない場合に試します。/eオプションを使用します。
- ドライブ全体からすべてのファイルを復元する
Cドライブから可能な限り多くのファイルをDドライブにExtensiveモードで復元する場合のコマンドです。winfr C: D: /e
コマンド実行後、復元されたファイルは復元先ドライブに「Recovery_日付時刻」というフォルダ内に保存されます。
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ファイル復元時の注意点とトラブルシューティング
Windows File Recoveryでのファイル復元は強力ですが、いくつかの注意点やよくある問題があります。これらを理解しておくことで、復元作業をスムーズに進められます。
復元先ドライブの選択ミス
Windows File Recoveryでは、復元元と同じドライブを復元先に指定できません。これは、復元作業中に元のデータが上書きされるリスクを避けるためです。
対処法: 必ず別の物理ドライブ(外付けHDDやUSBメモリなど)または別のパーティションを指定してください。十分な空き容量があることを確認しましょう。
ファイルの上書きによる復元不可
ファイルが削除された後、その領域に新しいデータが書き込まれてしまうと、元のデータは失われ、復元は極めて困難になります。
対処法: 大切なファイルを誤って削除したことに気づいたら、すぐにPCの使用を停止することが最も重要です。可能であれば、PCをシャットダウンし、復元作業専用の環境(別のPCにドライブを接続するなど)で作業を進めることを検討してください。
「エラー: 復元元のボリュームは読み取り専用でなければなりません」
このエラーは、復元元のドライブが現在使用中であり、Windows File Recoveryがドライブを読み取り専用モードでロックできない場合に発生します。
対処法: 復元元のドライブがシステムドライブ(Cドライブなど)である場合、Windowsが動作している状態では復元が難しいことがあります。以下のいずれかの方法を試してください。
- 別のPCにドライブを接続する: 復元元のドライブを取り外し、別のWindows PCに接続して復元作業を行います。
- Windows回復環境から実行する: Windows回復環境(WinRE)でコマンドプロンプトを起動し、そこからWindows File Recoveryを実行します。回復環境ではシステムドライブが使用されていないため、読み取り専用でアクセスしやすくなります。
対応していないファイルシステムまたはフォーマット
Windows File RecoveryはNTFS、FAT32、exFAT、ReFSのファイルシステムに対応しています。これら以外のファイルシステムでフォーマットされたドライブからの復元はサポートしていません。
対処法: ドライブのファイルシステムを確認してください。対応していない場合は、別のデータ復元ソフトの利用を検討する必要があります。
Windows File Recoveryと一般的なデータ復元ソフトの比較
| 項目 | Windows File Recovery | 一般的なデータ復元ソフト |
|---|---|---|
| UI | コマンドラインインターフェース(CUI) | グラフィカルユーザーインターフェース(GUI) |
| 復元成功率 | 中程度 | 高い(製品による) |
| 対応ファイルシステム | NTFS, FAT32, exFAT, ReFS | 多様(製品による) |
| 機能 | 基本的なファイル復元 | プレビュー、フィルタリング、破損ファイル修復など高機能 |
| 入手方法 | Microsoft Storeから無料 | 各ベンダーのサイトから購入(無料版あり) |
まとめ
この記事では、Windows File Recoveryを使って削除済みファイルを復元する具体的な手順を解説しました。コマンドラインツールであるため、正確なコマンド入力が復元成功の鍵を握ります。
適切な復元モードとオプションを選択し、焦らず慎重に作業を進めることで、大切なデータを救出できる可能性が高まります。
万が一のデータ損失に備え、Windows File Recoveryの操作方法を習得し、定期的なバックアップも習慣づけることをお勧めします。
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超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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