Dropbox Passwordsは、2024年5月10日をもってサービスを終了しました。そのため、これまで同サービスに保存していた会社の資格情報(社内システムやVPNのログイン情報など)を、別のパスワードマネージャーに移行する必要が生じています。移行作業は単純なデータコピーではなく、セキュリティや業務継続の観点でいくつかの注意点があります。本記事では、会社の資格情報を安全かつ確実に移行するための手順と、よくある失敗パターンについて解説します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: Dropbox Passwordsの「エクスポート」機能で、データをCSVまたはJSON形式で書き出します。また、管理者から会社のパスワードポリシーを確認しておきましょう。
- 切り分けの軸: 個人用のパスワードと会社用のパスワードは必ず分離して管理しましょう。移行先のパスワードマネージャーが会社のセキュリティ基準を満たしているかも重要な判断基準です。
- 注意点: 会社PCには管理者が導入したパスワード管理ツールが存在する場合があります。勝手に別のツールを導入すると社内規程に違反する恐れがあるため、事前にIT部門へ確認してください。
ADVERTISEMENT
目次
Dropbox Passwordsのサービス終了と移行の必要性
Dropbox Passwordsは、2024年5月10日をもって新規登録・機能の利用が停止されました。すでに保存済みのデータはしばらく参照可能でしたが、2024年8月以降は完全に利用できなくなっています。そのため、会社の資格情報をDropbox Passwordsに残したままにしておくと、必要なときにログインできなくなるリスクがあります。特に複数の社内システムをまたぐパスワードが一斉に使えなくなる事態は、業務に深刻な影響を与えるでしょう。早急に他のパスワードマネージャーへ移行し、安全に管理を引き継ぐ必要があります。
会社資格情報を移行する前に確認すべきこと
会社のパスワード管理ポリシーを確認する
多くの企業では、パスワードマネージャーの使用に関する明確なルールが定められています。特に会社の資格情報を外部のクラウドサービスに保存する場合、情報漏洩のリスクを防ぐために制限がかけられていることがあります。移行を始める前に、まずは自社のIT部門や就業規則で許可されているパスワード管理ツールの一覧を確認してください。許可されていないツールを使うと、セキュリティ監査で問題になる可能性があります。
移行先のパスワードマネージャーを選定する
移行先の候補としては、1Password、Bitwarden、Keeper、LastPass、ブラウザ内蔵のパスワードマネージャーなどが挙げられます。会社で統一して使っているツールがあれば、それに合わせるのが最も安全です。個人用のツールをそのまま流用するのではなく、会社用の資格情報は専用の「会社用ボールト」や「フォルダ」に分けて管理できるものを選びましょう。以下の比較表を参考に、自社の環境に合ったものを選んでください。
| サービス名 | 料金(個人/ビジネス) | 会社管理機能 | インポート対応形式 | セキュリティ評価 |
|---|---|---|---|---|
| 1Password | 個人$2.99/月、ビジネス$7.99/ユーザー/月 | 強固(SSO連携、監査ログ) | CSV、1PUX(独自形式) | 非常に高い |
| Bitwarden | 個人無料、ビジネス$3/ユーザー/月 | 充実(自己ホスト可能) | CSV、JSON | 高い(オープンソース) |
| Keeper | 個人$2.92/月、ビジネス$3.75/ユーザー/月 | 強固(コンプライアンス対応) | CSV、Keeper独自形式 | 非常に高い |
| ブラウザ内蔵(Chrome等) | 無料 | 低い(管理機能なし) | CSVインポート可能 | 中程度 |
資格情報のエクスポート手順(失敗しないためのポイント)
Dropbox Passwordsからのエクスポートは、Webブラウザから行います。以下の手順で実施してください。この作業はパスワードの漏洩リスクを伴うため、必ず社内の安全なPCとネットワーク環境で行ってください。
- DropboxのWebサイト(www.dropbox.com)にサインインします。
- 画面右上のアカウントアイコンをクリックし、「設定」を選択します。
- 左側メニューから「パスワード」タブをクリックします。
- ページ下部にある「すべてのパスワードをエクスポート」ボタンをクリックします。ボタンが見つからない場合は、Dropbox Passwordsのサービス終了に伴い、機能が削除されている可能性があります。その場合は、Dropboxの「データエクスポート」機能から「Passwords」を選択します。
- パスワードの確認を求められるので、Dropboxアカウントのマスターパスワードを入力します。このマスターパスワードは、Dropbox Passwordsにアクセスするための特別なパスワードです(通常のDropboxログインパスワードとは異なります)。
- ダウンロードされたCSVファイルを開き、内容を確認します。各エントリに「タイトル」「ユーザー名」「パスワード」「URL」「メモ」が含まれていることを確認してください。不正な文字化けや件数の不足がないかチェックしましょう。
- エクスポートが完了したら、すぐにCSVファイルを暗号化フォルダに移動するか、USBメモリなどにコピーしてPC本体からは削除します。このファイルにはすべてのパスワードが平文で含まれているため、取り扱いには細心の注意が必要です。
エクスポート時のよくある失敗パターン
まず、エクスポートボタンが表示されない問題が発生することがあります。この場合、Dropbox Passwordsのサービス終了により、一部のユーザーでエクスポート機能が無効化されている可能性があります。解決策として、Dropboxの「ヘルプセンター」から「データエクスポートリクエスト」を送信し、サポート経由でデータを受け取る方法を試してください。次に、エクスポートしたCSVファイルが文字化けしているケースがあります。これはUTF-8形式で保存されていないことが原因です。メモ帳で開く際は「名前を付けて保存」でUTF-8を選択するか、Excelで開く場合は「データ」タブから「テキスト/CSVファイル」を選択してインポートしましょう。最後に、エクスポートしたパスワードの一部が空欄になっている場合です。Dropbox Passwords上でパスワードが正しく保存されていなかった可能性があるため、手動で確認して補完する必要があります。
新しいパスワードマネージャーへのインポート手順
エクスポートしたCSVファイルを、新しいパスワードマネージャーにインポートします。ここでは、Bitwardenを例に手順を示します。他のツールでも基本的な流れは同じです。
- BitwardenのWebアプリまたはデスクトップアプリにログインします。
- 左側メニューから「ツール」→「データのインポート」を選択します。
- インポート元として「Dropbox Passwords (CSV)」を選択します。リストにない場合は「汎用CSV」を選び、形式を確認してください。
- 先ほどエクスポートしたCSVファイルをアップロードします。
- インポートが完了したら、Bitwarden内のボールトを確認し、すべてのデータが正しく移行されているか検証します。特に、会社用の資格情報が個人用のボールトに混ざっていないか注意してください。必要に応じてフォルダやコレクションで分類します。
- インポート後、元のCSVファイルは完全に削除します。また、新しいパスワードマネージャーでマスターパスワードを強固なものに変更し、二要素認証を有効にしてください。
インポート後の整合性チェック
インポートしたパスワードが実際に使えるか、いくつかの重要なサイトでテストログインを行ってください。特に会社のメールシステムやVPN、社内ポータルなどは、移行後すぐにアクセスできなくなるリスクがあります。テストの結果、ログインできない場合は、手動でパスワードを再設定する必要があります。また、パスワードマネージャーによっては、CSVの列名が異なるため、データが正しくマッピングされずに「ユーザー名」と「パスワード」が逆に入ってしまうことがあります。インポート後に必ず数件を開いて内容を確認しましょう。
移行後に発生しがちなトラブルと対策
会社のITポリシー違反
最も深刻なトラブルは、許可されていないパスワードマネージャーを使ったことで社内規程に違反してしまうケースです。特に、会社支給のPCではグループポリシーで特定のソフトウェアのインストールが制限されている場合があります。移行先として選んだツールが社内で承認されているか、事前にIT部門に確認してください。もし承認されていない場合は、社内で推奨されているツールに統一するか、個人用のツールを使う場合でも会社用のボールトを分けるなどの対策を講じます。
パスワードの重複や漏れ
エクスポートしたCSVファイルには、個人用と会社用のパスワードが混在しています。そのままインポートすると、個人用のデータも一緒に移行されてしまい、プライバシー上の問題が生じます。また、重複したエントリが登録されることもあります。移行前にCSVファイルを編集し、会社の資格情報だけを抽出するか、新しいパスワードマネージャーに「会社用ボールト」を作成してそこだけにインポートしましょう。Bitwardenでは「フォルダ」機能、1Passwordでは「ボールト」機能を使って分離できます。
サービス終了によるエクスポート不能
Dropbox Passwordsのエクスポート機能は、2024年9月以降、一部のユーザーで利用できなくなっているという報告があります。もしエクスポートができない場合は、Dropboxサポートに直接問い合わせて、データのエクスポートを依頼する必要があります。その際、アカウント情報と本人確認書類を求められることがあります。また、ブラウザの自動入力にキャッシュされたパスワードがあれば、それを手動で控えておくことも緊急避難的な手段です。
よくある質問
Q: Dropbox Passwordsはもう使えないのですか?
A: はい、2024年5月10日をもって新規利用は終了し、同年8月以降は完全にサービスが停止しています。現在はデータのエクスポートのみ可能ですが、エクスポート機能も順次削除される可能性があります。できるだけ早くデータを救出してください。
Q: 会社の資格情報を個人のパスワードマネージャーに保存しても問題ありませんか?
A: 会社のセキュリティポリシーによります。多くの企業では、会社の資格情報を個人のクラウドサービスに保存することを禁止しています。必ず会社が許可したツールを使用するか、会社用の専用ボールトを作成して分離してください。もし不明な場合は、IT部門に確認を取ってから移行しましょう。
Q: 移行先のパスワードマネージャーが会社で導入されている場合、自分でインストールしてもよいですか?
A: 会社でライセンスを一括管理している場合は、IT部門から提供される正規のインストーラを使用してください。個人でダウンロードしたものとバージョンが異なると、互換性の問題が生じることがあります。また、会社の管理下にないソフトウェアをインストールすると、セキュリティ違反になる可能性があります。
Q: エクスポートしたCSVファイルを安全に保管する方法は?
A: CSVファイルには平文のパスワードが含まれているため、暗号化されたUSBメモリや、社内の暗号化ストレージに保管してください。クラウドストレージに保存する場合は、パスワード保護されたZIPファイルにするか、Bitwarden Sendのような安全なファイル共有サービスを利用しましょう。移行が完了したら、ファイルは完全に削除することをおすすめします。
まとめ
Dropbox Passwordsの終了に伴い、会社の資格情報を他のパスワードマネージャーへ移行する作業は、早急かつ慎重に行う必要があります。まずは会社のポリシーを確認し、許可されたツールを選んだ上で、エクスポート・インポートの手順を丁寧に進めてください。特に、データの漏洩防止と、個人用・会社用の情報を分離することが重要です。移行後は必ずテストログインを行い、すべてのパスワードが正しく使えることを確認しましょう。計画的な移行で、業務に支障をきたさないようにしてください。
ADVERTISEMENT
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
Office・仕事術の人気記事ランキング
- 【Word】差し込み印刷で数字の桁を整える!金額にカンマ(桁区切り)を入れる設定
- 【Teams】メッセージを「保存済み」にして後で読む!重要なチャットをブックマークして整理する技
- 【Outlook】添付ファイルが「Winmail.dat」に化ける!受信側が困らない送信設定
- 【Copilot】「サービスに接続できません」エラーの原因切り分けと対処法
- 【PDF】PDFのサムネイルプレビューが表示されない!エクスプローラーの設定とAcrobat環境設定
- 【PDF】PDFに入力した文字の「フォント・サイズ・色」を変更するプロパティ設定
- 【Excel】文字がセルの枠からはみ出す・隠れる!「折り返して表示」と「縮小して全体を表示」の使い分け
- 【Word】校閲機能の基本!赤字(変更履歴)とコメントで修正を見える化する
- 【神技】保存せずに閉じたExcel・Wordファイルを復元する!消えたデータを復活させる4つの救出法
- 【Teams】会議の「参加者リスト」を出席後にダウンロードする!誰が参加したか確認する手順
