Excelでドーナツグラフを作成したものの、中央の穴の大きさが意図した通りにならない経験はありませんか。ドーナツグラフの穴の大きさは、グラフの見た目を調整するだけでなく、KPI(重要業績評価指標)などを効果的に表示する際に重要な要素となります。この記事では、Excelでドーナツグラフの穴の大きさを自在に変更する方法を解説します。さらに、その応用として、KPI達成率などを視覚的に分かりやすく表現するグラフ作成の手順も紹介します。これにより、データ分析の質を高め、より効果的な資料作成が可能になります。
Excelのドーナツグラフは、複数のデータ系列を円状に配置できるため、構成比率や進捗状況を示すのに適しています。しかし、デフォルト設定では中央の穴の大きさが固定されており、デザインの自由度が低いと感じるかもしれません。この穴の大きさを調整することで、グラフの視認性を向上させたり、特定の情報を強調したりすることが可能になります。例えば、目標値に対する実績値をドーナツグラフで表現する際に、穴の大きさを調整して、目標達成度合いを直感的に理解できるように工夫できます。本記事を読めば、これらのカスタマイズが自在に行えるようになります。
ADVERTISEMENT
目次
ドーナツグラフの穴の大きさを変更する仕組み
Excelでドーナツグラフの穴の大きさを変更する仕組みは、実は複数のデータ系列を利用した応用テクニックです。ドーナツグラフは、本来1つのデータ系列で構成されますが、穴の部分を「見えない円グラフ」で表現することで、中央に空白を作り出しています。この「見えない円グラフ」のデータ系列の大きさを調整することで、ドーナツグラフ全体の穴の大きさをコントロールします。具体的には、全体の合計値に対する「見えない円グラフ」のデータ系列の割合を大きくすれば穴は大きくなり、小さくすれば穴は小さくなります。この原理を理解することが、カスタマイズの第一歩となります。
ドーナツグラフの穴の大きさを変更する手順
ドーナツグラフの穴の大きさを変更するには、データ構造の工夫とグラフの書式設定が必要です。ここでは、Excel for Microsoft 365を基準に、具体的な手順を解説します。Excel 2019・2021でも同様の手順で操作できます。
- データを用意する
穴の大きさを調整したいドーナツグラフの元となるデータを用意します。例えば、実績値と目標値の2つのデータ系列が必要です。さらに、穴の大きさを制御するための「見えない円グラフ」用のダミーデータ系列を追加します。このダミーデータ系列の合計値が、グラフ全体の「穴」として機能します。例えば、実績値が100、目標値が150の場合、穴の大きさを調整するために、合計値が200になるようにダミーデータ系列を3つ(例:10、10、10)追加し、合計を30とします。この30という値が、円グラフ全体の合計値に対する穴の割合を決定します。 - グラフを作成する
用意したデータ範囲を選択し、Excelのリボンメニューから「挿入」タブをクリックします。「グラフ」グループにある「円または株価」アイコンをクリックし、表示されるメニューから「ドーナツ」を選択してグラフを作成します。 - データ系列をドーナツグラフに変換する
作成されたグラフは、初期状態では積み上げ棒グラフなどの形式になっている場合があります。グラフエリアを右クリックし、「グラフの種類の変更」を選択します。表示されるダイアログボックスで、「ドーナツ」を選択し、データ系列が正しく割り当てられているか確認して「OK」をクリックします。 - データ系列の順番を調整する
ドーナツグラフは、データ系列の順番によって表示される円の重なり方が決まります。穴として機能させたいダミーデータ系列が、一番外側に表示されるように調整する必要があります。グラフエリアの「データ系列の書式設定」ウィンドウを開き、「系列のオプション」タブで「系列の順番」を確認・変更します。 - 穴の大きさを調整する
穴の大きさを調整するために、ダミーデータ系列の「ドーナツの穴の大きさ」を変更します。グラフエリアのダミーデータ系列のいずれかをクリックして選択します。右クリックメニューから「データ系列の書式設定」を選択し、「系列のオプション」タブを開きます。「ドーナツの穴の大きさ」のスライダーを左右に動かすか、数値を直接入力して調整します。数値を大きくするほど穴は大きくなり、小さくするほど穴は小さくなります。 - ダミーデータ系列を非表示にする
穴として機能させているダミーデータ系列は、グラフの見た目を損なうため非表示にします。ダミーデータ系列を選択した状態で右クリックし、「データ系列の書式設定」を選択します。「塗りつぶしと線」アイコンをクリックし、「塗りつぶし」を「塗りつぶしなし」に、「線」を「線なし」に設定します。これにより、ダミーデータ系列は透明になり、穴だけが残ります。 - グラフ要素を調整する
必要に応じて、グラフタイトル、データラベル、凡例などのグラフ要素を調整します。グラフエリアの「+」アイコンをクリックするか、リボンメニューの「グラフのデザイン」タブから、表示したい要素を追加・削除・書式設定します。
KPI表示のためのドーナツグラフ応用
ドーナツグラフの穴の大きさを調整できるようになったら、次はKPI(重要業績評価指標)の表示に応用してみましょう。ここでは、目標達成率を視覚的に分かりやすく表示するグラフの作成手順を紹介します。
KPI達成率表示グラフのデータ準備
KPI達成率を表示するためには、以下のデータ構造が便利です。ここでは例として、月次売上目標と実績の達成率を表示する場合を想定します。
まず、以下の3つのデータ系列を用意します。
- 目標値: その期間の目標となる数値(例:100,000円)
- 実績値: 実際に達成された数値(例:80,000円)
- 未達成値: 目標値と実績値の差(例:20,000円)
これらのデータ系列を元に、ドーナツグラフを作成します。この時点では、まだ穴の大きさはデフォルトのままです。
KPI達成率表示グラフの作成手順
KPI達成率を表示するドーナツグラフを作成する手順は以下の通りです。
- データ範囲の選択とグラフ作成
上記の「目標値」「実績値」「未達成値」のデータ範囲を選択します。Excelのリボンメニューから「挿入」タブを選び、「グラフ」グループの「円または株価」アイコンから「ドーナツ」を選択してグラフを作成します。 - データ系列の追加と書式設定
このままでは目標達成率が円グラフ全体で表示されてしまうため、穴の大きさを調整して、達成率を強調する工夫が必要です。ここで、先ほどの「ドーナツグラフの穴の大きさを変更する手順」で説明した、ダミーデータ系列を追加するテクニックを応用します。円グラフ全体を「100%」と見立て、その中に「実績値」と「未達成値」を表示させます。具体的には、以下のデータ構造に変更します。- 実績値: (例:80,000)
- 未達成値: (例:20,000)
- ダミーデータ系列1: (例:10)
- ダミーデータ系列2: (例:10)
このデータでドーナツグラフを作成し、「ダミーデータ系列1」「ダミーデータ系列2」のドーナツの穴の大きさを調整して、グラフの見た目を整えます。
- データ系列の順番と表示の調整
ドーナツグラフのデータ系列の順番が重要です。「実績値」が一番外側に表示されるように調整します。また、「未達成値」は、グラフ上で「目標値」の残りの部分として表示されるように、書式設定で色を調整します。例えば、実績値は達成感を出すために明るい色、未達成値は注意を促すために灰色などで表示します。 - データラベルの表示と書式設定
グラフの視認性を高めるために、データラベルを表示します。ドーナツグラフの「実績値」の部分に「達成率(%)」を表示させると効果的です。データラベルを右クリックし、「データラベルの書式設定」を選択します。「ラベルオプション」で「値」のチェックを外し、「値(パーセンテージ)」にチェックを入れます。必要に応じて、ラベルの位置やフォントサイズも調整します。 - 凡例の調整
凡例には、「実績値」「未達成値」といった表示だけでなく、「目標達成率」のような分かりやすい名称に変更します。
KPI表示グラフのカスタマイズ例
作成したKPI表示グラフは、さらにカスタマイズすることで、より効果的な情報伝達が可能になります。
- 目標達成率の強調: 穴の大きさを調整して、「実績値」が円グラフの大部分を占めるように設定すると、達成率の高さを視覚的に強調できます。
- 進捗状況の表示: 複数のKPIを並べて表示することで、各項目の進捗状況を一覧できます。
- 目標値の表示: グラフ内にテキストボックスなどで目標値を明記することで、比較対象を明確にできます。
ADVERTISEMENT
ドーナツグラフの穴の大きさ変更に関する注意点
ドーナツグラフの穴の大きさを変更する際には、いくつかの注意点があります。
穴の大きすぎによる視認性の低下
穴を大きくしすぎると、グラフのデータ部分が小さくなり、情報が伝わりにくくなる可能性があります。特にデータ系列の数が少ない場合や、各系列の値が小さい場合は注意が必要です。穴の大きさは、グラフ全体のバランスを見て、データが十分に表示される範囲で調整しましょう。
ダミーデータ系列の管理ミス
穴の大きさを制御するために使用するダミーデータ系列の値を変更してしまうと、グラフの表示が意図しないものに変わってしまいます。ダミーデータ系列の数値は固定しておき、必要に応じてグラフの書式設定で調整するようにしましょう。また、ダミーデータ系列を誤って削除しないように注意が必要です。
グラフのバージョンによる差異
Excelのバージョンによっては、ドーナツグラフの機能や書式設定の項目名に若干の違いがある場合があります。特に古いバージョンでは、穴の大きさの直接的な数値を指定する機能がない場合があります。その場合は、データ系列の割合を調整することで間接的に穴の大きさをコントロールする必要があります。
まとめ
この記事では、Excelでドーナツグラフの穴の大きさを変更する方法と、その応用としてKPI表示グラフを作成する手順を解説しました。データ構造を工夫し、ダミーデータ系列を利用することで、ドーナツグラフの穴の大きさを自在にコントロールできます。これにより、グラフのデザイン性が向上し、KPI達成率のような数値を視覚的に分かりやすく表現することが可能になります。今回学んだ穴の大きさの調整テクニックとKPI表示の応用を、ぜひ実際の資料作成で活用してください。さらに、他のグラフ種類との組み合わせや、条件付き書式との連携なども試してみると、より高度なデータ可視化が実現できます。
