キーボード配列の誕生

タイプライターから始まった歴史

キーボードの配列がどのように決まったのか、その答えは遠く19世紀のアメリカへと遡ります。実は、現代のパソコンキーボードの原型は、タイプライターという装置から始まったのです。1873年にアメリカで特許を取得した「ショールズ&グリドン・タイプライター」が、現在のキーボード配列の起源と言えるでしょう。

QWERTY配列の登場

今でこそ私たちはQWERTY配列という名前をよく耳にしますが、これはキーボードの上段に配置される「Q」「W」「E」「R」「T」「Y」という文字から取られた名称です。この配列が一般的になった背景には、タイプライターの機構が大きく関わっていました。初期のタイプライターは機械的に活字を打つ方式だったため、頻繁に使用する文字が近くに集まっていると、機構が絡まってしまう欠点がありました。これを解消するため、敢えて頻繁に使う文字をバラバラに配置したのが、QWERTY配列の始まりでした。

キーボード配列の多様化

効率を追求したDvorak配列

一方で、打鍵効率を追求するために生まれた配列も存在します。その代表的なものがDvorak配列で、アメリカの教育者オーガスト・ドヴォラックが開発したものです。この配列では、よく使う文字を中心に配置し、左右の手の負担を分散させるという理念のもとに設計されています。一部のユーザーからは高評価を得ているものの、学習コストの高さから一般的にはあまり広まっていないのが現状です。

日本独自の配列:JIS配列

日本でも、英語圏とは異なる文字体系を持つ我々独自の配列が開発されました。それがJIS配列で、日本工業規格に基づく配列です。アルファベットだけでなく、ひらがな、カタカナ、記号といった日本語入力に必要な文字を網羅しており、現在の日本で一般的に使われている配列となっています。

キーボード配列の未来

パーソナライズされた配列

現在では、個々の利用者のパーソナライズが求められる時代となり、それがキーボード配列にも影響を与えています。特定の作業を頻繁に行うユーザーや、特殊なニーズを持つユーザーのために、カスタマイズ可能なキーボードが増えています。個々のキーの配置を自由に変更でき、自分だけの最適な配列を作り出すことが可能となっているのです。

キーボードそのものの進化

また、キーボードそのものの形状が進化していることも見逃せません。従来の平面的なキーボードから、立体的にキーが配置されることで手の形状に合わせた配列、さらには仮想的なキーボードを映し出すプロジェクター型のものまで、さまざまな形状のキーボードが生まれています。これらの新しい形状のキーボードは、従来の配列を踏襲することなく、新たな配列を生み出す可能性を秘めています。