リモートデスクトップ接続でリモート先のプリンターを使おうとしたとき、プリンター転送が有効にならず、ローカルのプリンターが表示されないケースがよくあります。この問題は、接続元の設定、接続先のポリシー、あるいはプリンタードライバーの互換性など、いくつかの要因が絡んで発生します。本記事では、会社のWindows PCでリモートデスクトップを利用する際にプリンター転送が表示されない原因を切り分けるための具体的な確認手順を解説します。管理者によるグループポリシーの影響や、ユーザー自身で変更可能な設定も含めて、実務的に役立つ情報をまとめました。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: リモートデスクトップ接続の「ローカルリソース」タブにある「プリンター」チェックボックスがオンになっているか。
- 切り分けの軸: 端末側のRDP設定、接続先のグループポリシー、プリンタードライバーの互換性の3つで原因を分類する。
- 注意点: 会社PCではグループポリシーにより設定変更が制限されている場合がある。管理者に確認せずにレジストリを編集しないこと。
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目次
1. リモートデスクトップのプリンター転送が機能しない理由
リモートデスクトップ接続では、接続元のローカルプリンターをリモートセッションで利用できるようにする「プリンターリダイレクト」機能が標準で備わっています。しかし、この機能が正しく動作しない原因は多岐にわたります。代表的な原因としては、RDPクライアントの設定ミス、接続先のグループポリシーによる転送の無効化、プリンタードライバーの互換性やバージョンの不一致が挙げられます。また、リモートデスクトップのバージョンやWindows Updateの影響で一時的に機能しなくなることもあります。まずは、これらの原因を一つひとつ確認していくことが重要です。
2. 接続元(クライアント)側の設定確認
最初に確認すべきは、リモートデスクトップ接続を起動する側のPC(クライアント)の設定です。多くの場合、ユーザー自身で変更できる項目ですので、以下の手順で設定が有効になっているか確認してください。
2-1. RDPクライアントの「ローカルリソース」タブを確認
- リモートデスクトップ接続(mstsc.exe)を起動します。
- 「オプションの表示」をクリックして詳細設定を開きます。
- 「ローカルリソース」タブをクリックします。
- 「ローカルデバイスとリソース」セクションにある「プリンター」チェックボックスがオンになっていることを確認します。オフの場合はオンに変更します。
- さらに「詳細」ボタンをクリックし、転送したいプリンターが一覧に表示されているか確認します。一覧にない場合は、ドライブや他のリソースと同様にプリンターが追加されていない可能性があります。
チェックボックスがオンになっていて、プリンター一覧に目的のプリンターが表示されているにもかかわらずリモート先で使えない場合は、接続先の設定やドライバーに問題がある可能性が高いです。
2-2. 管理者権限でRDPを実行してみる
まれに、ユーザー権限ではプリンターリダイレクトが制限されることがあります。その場合は、リモートデスクトップ接続を管理者として実行してみてください。アイコンを右クリックして「管理者として実行」を選び、再度接続してプリンターが表示されるか確認します。特に、接続先がドメイン参加済みPCの場合に効果があることがあります。
3. 接続先(リモートPC)側の設定確認
接続先のリモートPC側でプリンターリダイレクトが許可されていないと、クライアント側でどんなに設定しても反映されません。ここでは、リモートPC側で確認すべきポイントを説明します。
3-1. リモートデスクトップセッションホストの設定
- リモートPCで「サーバーマネージャー」または「設定」アプリを開きます。
- 「システム」→「リモートデスクトップ」を開き、「リモートデスクトップを有効にする」がオンになっていることを確認します。
- さらに「詳細設定」で、「プリンターのリダイレクトを許可する」オプション(Windowsのバージョンによって表記が異なります)が有効になっているか確認します。この設定はグループポリシーで管理されている場合もあるため、後述のポリシー確認も行ってください。
Windows 10/11 Pro以上のエディションでは、ローカルグループポリシーエディター(gpedit.msc)を使用して詳細な制御が可能です。以下のパスを確認してみてください。
- コンピューターの構成 → 管理用テンプレート → Windows コンポーネント → リモートデスクトップサービス → リモートデスクトップセッションホスト → プリンターリダイレクト
- 「プリンターリダイレクトを許可しない」のポリシーが「未構成」または「無効」になっていることを確認します。もし「有効」になっていると、プリンター転送はブロックされます。
3-2. グループポリシーの影響(ドメイン環境)
会社のドメインに参加しているPCでは、Active Directoryのグループポリシーによってプリンターリダイレクトが一律で無効化されている可能性があります。この場合、ユーザー側で変更することはできません。管理者に以下のポリシー設定を確認してもらってください。
- コンピューターの構成 → 管理用テンプレート → Windows コンポーネント → リモートデスクトップサービス → リモートデスクトップセッションホスト → プリンターリダイレクト → 「プリンターリダイレクトを許可しない」が「有効」になっていないか。
- 同様に、ユーザーの構成配下にも同名のポリシーが存在するため、両方を確認する必要があります。
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4. プリンタードライバーとリモートデスクトップの互換性
接続元と接続先の両方の設定が正しくても、プリンタードライバーがリモートデスクトップ環境に対応していないとプリンターが表示されません。特に、ベンダー独自のドライバーや古いドライバーを使っている場合に問題が発生しやすいです。以下の表を参考に、ドライバーの種類ごとの特徴を確認してください。
| ドライバーの種類 | リモートデスクトップでの挙動 | 推奨される対処 |
|---|---|---|
| Microsoft標準のクラスドライバー | 正常に転送されることが多い | 可能なら標準ドライバーに変更 |
| ベンダー提供のフル機能ドライバー | 転送されない場合や、転送されても印刷できない場合がある | 最新バージョンに更新、または互換モードで試す |
| ユニバーサルプリントドライバー | 比較的安定しているが、一部機能が制限されることがある | ドライバーを再インストール |
また、接続元のPCでプリンターが正しくインストールされ、ローカルで印刷できることも前提です。リモート先でプリンターを追加するのではなく、あくまでローカルのプリンターがリモートセッションに転送される仕組みであることを理解しておきましょう。
5. よくある失敗パターンと対処法
実際の現場でよく見られる失敗パターンをいくつか紹介します。自身の状況と照らし合わせて確認してみてください。
失敗パターン1: 「プリンター」チェックボックスがグレーアウトしている
これはグループポリシーによってRDPクライアント側でプリンターリダイレクトが強制的に無効にされていることを示します。管理者権限がないと解除できないため、IT管理者に連絡してください。自分でレジストリを編集する方法もありますが、会社PCでは推奨しません。
失敗パターン2: プリンター一覧にプリンターが表示されない
接続元のPCにプリンターが複数ある場合、特定のプリンターだけが一覧に表示されないことがあります。これは、そのプリンターのドライバーがリモートデスクトップのリダイレクトに対応していないか、または接続元でプリンターがオフラインになっている可能性があります。まずは接続元でプリンターの電源が入っていて、ローカルで印刷できることを確認してください。
失敗パターン3: 接続し直すと解消するが、毎回発生する
リモートデスクトップを切断して再接続すると一時的にプリンターが表示されるが、しばらく使わないと再び表示されなくなるケースがあります。これはセッションのアイドルタイムアウトやネットワークの切断が原因でリダイレクトがリセットされる可能性があります。この場合は、リモートデスクトップのセッション設定でアイドルタイムアウトを長くする、または定期的に操作を行うことで回避できることがあります。
6. 管理者に確認すべきポイント
上記の手順を試しても解決しない場合、最終的に管理者に問い合わせる必要があります。その際、以下の情報を整理して伝えるとスムーズです。
- 接続元のOSバージョンとエディション(例:Windows 10 Pro 22H2)
- 接続先のOSバージョンとエディション(例:Windows 11 Enterprise 23H2)
- 使用しているプリンターの機種とドライバーバージョン
- RDPクライアントの設定画面のスクリーンショット(特にローカルリソースタブ)
- イベントビューアーにエラーが記録されているか(アプリケーションとシステムログ)
管理者は、グループポリシーの結果セット(rsop.msc)を取得してプリンターリダイレクトに関連するポリシーが適用されているかを確認できます。また、リモートデスクトップサービスのライセンスやバージョンも影響する場合があるため、合わせて確認してもらいましょう。
7. よくある質問(FAQ)
Q. リモートデスクトップでプリンター転送を使うために、接続先にプリンタードライバーをインストールする必要はありますか?
原則として、接続元のプリンタードライバーがリモートセッションに転送されるため、接続先にドライバーをインストールする必要はありません。ただし、一部のベンダー製ドライバーでは転送がうまくいかない場合があり、その場合は接続先にドライバーをインストールすることで解決することもあります。ただし、これは推奨される方法ではなく、まずは標準ドライバーでの動作確認を優先してください。
Q. プリンター転送はすべてのエディションで使えますか?
リモートデスクトップのプリンターリダイレクト機能は、Windows Pro、Enterprise、Educationエディションで利用可能です。Windows Homeエディションではリモートデスクトップのホスト機能が制限されているため、接続先として使う場合は注意が必要です。接続元(クライアント)としてはHomeエディションでも利用できます。
Q. プリンター転送が表示されないとき、レジストリを編集しても安全ですか?
グループポリシーで制御されている場合、レジストリを直接編集することで回避できることがあります。しかし、会社のPCではポリシーに違反する可能性があり、また意図しない副作用が発生するリスクがあります。必ず管理者に相談してから行ってください。管理者が許可した場合のレジストリパスは「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows NT\Terminal Services」で、キー「fEnablePrintRDR」の値を1にすると有効になります。
8. まとめ
リモートデスクトップでプリンター転送が表示されない問題は、クライアント設定、接続先のポリシー、プリンタードライバーの3つの観点から切り分けることが大切です。まずはRDPクライアントの「プリンター」チェックボックスを確認し、次に接続先のグループポリシー、最後にドライバーの互換性をチェックする順序で進めてください。会社のPCでは管理者の設定が優先されるため、自分で変更できない設定については素直に管理者に依頼しましょう。適切な切り分けにより、無駄な作業を減らし、迅速に問題を解決できるようになります。
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超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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