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「間違えて消した」データはどこへ行くのか?保存場所から逆算する復旧戦略
Teamsで重要なチャットメッセージを削除してしまったり、共有されていたファイルを誤って消してしまったりした際、多くのユーザーは「ゴミ箱」を探しますが、Teamsアプリ内に目に見えるゴミ箱は存在しません。しかし、技術的にはTeamsのデータはMicrosoft 365の堅牢なインフラ(SharePoint、OneDrive、Exchange)に分散保存されており、適切なルートを辿れば復元できる可能性が極めて高いのが実情です。
本記事では、Teamsの「チャット」と「ファイル」で全く異なるデータ保持の仕組みを解明し、一般ユーザーでも可能な復旧手順から、システム管理者の権限が必要な高度な救出方法までを詳説します。万が一の事態に備え、データの所在を論理的に把握するための技術リファレンスとしてご活用ください。
結論:削除済みデータを救出する3つのルート
- チャネルのファイル:裏側の「SharePointサイトのゴミ箱」から、削除後93日以内であれば復元可能。
- チャットのファイル:個人の「OneDriveのゴミ箱」を確認する。送信者・受信者のどちらが消したかにより所在が変わる。
- チャットの本文:ユーザー自身での復元は不可。ただし、管理者が「eDiscovery(電子情報開示)」を実行すれば、サーバーから抽出できる。
目次
1. 技術仕様:Teamsデータが「実体」として存在する場所
Teamsは一見一つのアプリに見えますが、そのデータストレージは用途に応じてMicrosoft 365内の3つのサービスに依存しています。この構造を理解することが、復元ルートを特定するための第一歩です。
ストレージの分散構造
・チャット・チャネルのメッセージ本文:Exchange Onlineの非表示フォルダに「コンプライアンス記録」として保存されます。
・チャネルで共有されたファイル:各チームに紐付いた「SharePoint Online」のドキュメントライブラリに保存されます。
・個人チャットで送ったファイル:送信したユーザーの「OneDrive for Business」に専用フォルダが作成され、そこが実体となります。
エンジニアリングの視点では、Teamsアプリ上で「削除」ボタンを押すことは、これらバックエンドサービスに対して「論理削除(フラグ立て)」を依頼する行為に過ぎません。サーバー側で完全に消去(物理削除)されるまでには、標準設定で一定の猶予期間が設けられています。
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チームのチャネルからファイルが消えた場合、そのチームに関連付けられたSharePointサイトへアクセスすることで、エクスプローラーのような感覚で復元が可能です。
具体的な復旧ステップ
- 該当するチャネルの「ファイル」タブを開き、上部のメニューから「SharePoint で開く」をクリックします。
- ブラウザでSharePointが開いたら、左側のメニューにある「ゴミ箱」を選択します。
- 削除されたファイルの一覧が表示されるので、復元したいファイルにチェックを入れ、画面上部の「復元」をクリックします。
SharePointのゴミ箱には、削除から「93日間」データが保持されます。この期間内であれば、ファイル名や更新日時を維持したまま、元のフォルダ位置へ一瞬で戻すことができます。
3. 技術的洞察:チャットで送ったファイルは「送信者のOneDrive」にある
個人間のチャットで共有されたファイルが消えた場合は、SharePointではなくOneDriveを確認する必要があります。ここで注意が必要なのは、「誰のOneDriveを探すべきか」という点です。
ファイルの所有権と復元ルート
チャットでファイルをアップロードした際、その実体は「送信者のOneDrive > Microsoft Teams チャット ファイル」フォルダに格納されます。もし受信者がチャット画面からファイルを消した場合でも、送信者のOneDrive上には残っているケースが大半です。
・送信者が消した場合:送信者自身のOneDriveのゴミ箱から復元する必要があります。
・ファイルそのものが消えた場合:送信者がOneDriveの設定画面から「ゴミ箱」を確認し、対象のファイルを戻すことで、チャット画面上のリンクも(パスが維持されていれば)復活します。
このように、チャットファイルは「共有」という名の「貸し出し」状態であるため、所有者(送信者)側のストレージ管理が復元の鍵を握ります。
4. 高度な修復:削除された「チャネル」や「チーム」全体の救出
個別のファイルではなく、チャネルそのもの、あるいはチーム全体を誤って削除してしまった場合、一般ユーザーの操作範囲を超えた対応が必要になります。
管理者による30日以内の猶予期間
Microsoft 365の仕様として、削除されたチームやチャネルは「30日間」のソフト削除(Soft Delete)状態に置かれます。この期間内であれば、IT管理者がTeams管理センター、またはMicrosoft Entra ID(旧Azure AD)から、メンバー構成やチャット履歴を丸ごと復元することが可能です。
もし「チャネルを消してしまった」と気づいたら、一刻も早く組織の管理者に連絡してください。30日を過ぎると「ハード削除」へと移行し、Microsoftのサポートを介しても復元が不可能になる技術的なデッドラインとなります。
5. 運用の知恵:チャットメッセージ本文の「復元不可」への対策
最も厄介なのが、チャットの「メッセージ本文」です。Teamsでは一度削除したメッセージをユーザーが「元に戻す」機能は提供されていません。削除ボタンを押した瞬間に、チャットスレッドからは完全に消失します。
コンプライアンス機能による救出(管理者向け)
実務上、どうしても重要な発言を証拠として取り出したい場合は、管理者がMicrosoft 365の「Microsoft Purview(旧コンプライアンスセンター)」を使用します。
・eDiscovery(電子情報開示):サーバー側にアーカイブされているExchangeのログから、特定の期間・ユーザーのチャット履歴を検索し、PSTファイル形式などで出力できます。
・保持ポリシーの確認:組織で「保持ポリシー」が設定されている場合、ユーザーがTeams上で削除操作を行っても、サーバー上には数年間データが保護され続けます。
このように、メッセージは「画面からは消えるが、サーバーの記録(ログ)には残る」という二重構造になっています。トラブル解決のために過去の発言が必要な際は、法務や情報システム部門を通じてこのルートを検討するのが、エンジニアリング的な最終解決策です。
まとめ:削除データの種類別・復元可能性一覧
| データの種類 | 復元できる場所 | 保持期間(標準) |
|---|---|---|
| チャネル内のファイル | SharePointのゴミ箱 | 93日間 |
| 個人チャットのファイル | 送信者のOneDriveのゴミ箱 | 93日間 |
| チーム・チャネル本体 | 管理センター(ソフト削除) | 30日間 |
| チャットのメッセージ | 管理者のeDiscovery検索 | 組織のポリシー次第 |
Teamsでデータを消してしまった際は、パニックにならずに「そのデータがどこに住んでいるか」を特定することが重要です。ファイルであればSharePointやOneDriveという『外のゴミ箱』に必ず残っています。一方でメッセージ本文やチーム全体の削除については、個人の権限では手が出せない領域となるため、迅速な管理者への報告が明暗を分けます。データの救出ルートを論理的に理解しておくことで、ミスによる損害を最小限に抑え、安心感を持って業務に取り組むことができるようになります。
この記事の監修者
超解決 リモートワーク研究班
Microsoft 365の導入・保守を専門とするエンジニアグループ。通信障害やサインイン不具合など、ビジネスインフラのトラブル対応に精通しています。
