事業の業績変動やプロジェクトの予算推移など、段階的な増減とその内訳を視覚的に把握したいと考えるビジネスマンは多いでしょう。
ウォーターフォールグラフは、初期値から最終値までの段階的な変化を明示し、何が増え何が減ったかを一目で理解できる効果的なツールです。
この記事では、Excelでウォーターフォールグラフを正確に作成し、具体的なデータ分析に活用するための詳細な手順とポイントを解説します。
【要点】ウォーターフォールグラフで段階的な増減を視覚化する
- ウォーターフォールグラフの挿入: 初期値から最終値までの増減の内訳を視覚的に表示できます。
- 「合計として設定」の活用: 中間合計や最終合計を正確に示し、分析の精度を高めます。
- 増減色のカスタマイズ: 視覚的な識別性を高め、データの変化を直感的に理解できるようになります。
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目次
ウォーターフォールグラフの概要とビジネスでの活用
ウォーターフォールグラフは、初期値から始まり、複数の段階的な増減を経て最終値に到達するまでのプロセスを視覚的に表現するグラフです。
各要素の増減が積み重なる様子を滝のように表現するため、この名前が付けられています。
特に財務分析やプロジェクト管理、販売実績の分析など、ある時点からの変化を追跡する際に非常に有効です。
ウォーターフォールグラフが提供する視覚的利点
このグラフは、全体の変化に対する個々の要素の貢献度を明確に示します。
例えば、売上総額が減少した際に、どの製品カテゴリの売上減少が最も影響したのか、あるいはどの費用増加が利益を圧迫したのかといった具体的な内訳を容易に把握できます。
積み上げ棒グラフでは難しい、初期値からの「変化」の視覚化に優れている点が大きな利点です。
対応するExcelバージョンと前提条件
ウォーターフォールグラフは、Excel 2016以降のバージョンで標準機能として利用できます。
Excel for Microsoft 365はもちろん、Excel 2019やExcel 2021でも同様の操作で作成可能です。
グラフ作成の前提として、連続するデータ項目とそれに対応する数値データが必要です。
増減の内訳を示す項目は文字列、数値は金額や数量などの増減量を使用します。
ウォーターフォールグラフを作成する手順
ここでは、具体的な売上推移データを例に、ウォーターフォールグラフを作成する手順を解説します。
データ範囲の選択からグラフの挿入、さらに表示の調整までを順を追って見ていきましょう。
- データ範囲の準備
まず、グラフ化したいデータをExcelシートに準備します。例えば、項目名と増減額を含む2列のデータ範囲を用意してください。最初の項目は初期値、最後の項目は最終合計とすることが一般的です。 - グラフの挿入
作成したいデータ範囲全体を選択します。「挿入」タブをクリックし、「グラフ」グループ内にある「ウォーターフォールグラフの挿入」アイコンをクリックします。ドロップダウンメニューから「ウォーターフォール」を選択してください。 - 合計項目を「合計として設定」
初期値や中間合計、最終合計など、増減結果として表示したい項目がある場合は、その系列を調整します。グラフ上の合計値として表示したい棒をダブルクリックし、「データ要素の書式設定」作業ウィンドウを開きます。「系列のオプション」タブをクリックし、「合計として設定」にチェックを入れます。これにより、その棒は基準線からではなく、ゼロラインから描画され、合計値として明確に表示されます。 - 増減色のカスタマイズ
ウォーターフォールグラフでは、通常、増加、減少、合計の3つの色で表示されます。これらの色を変更して、より見やすいグラフにカスタマイズできます。増加の棒を右クリックし、「データ系列の書式設定」を選択します。「塗りつぶしと線」タブから「塗りつぶし」セクションを開き、任意の色に変更してください。同様に減少の棒、合計の棒についても色を調整します。 - データラベルの追加と書式設定
各棒の具体的な数値を示すデータラベルを追加することで、グラフの理解度を深められます。グラフ全体を選択し、グラフ右側の「+」ボタンをクリックします。「データラベル」にチェックを入れ、必要に応じて「その他のオプション」から表示形式や位置を調整してください。 - グラフタイトルの設定
グラフに適切なタイトルを設定し、内容を明確に伝えます。グラフタイトルをクリックし、直接入力するか、数式バーに「=」を入力してセル参照を設定することもできます。 - 軸の書式設定
縦軸(値軸)の表示範囲や目盛り間隔を調整することで、グラフの視認性を高められます。縦軸をダブルクリックし、「軸の書式設定」作業ウィンドウで「軸のオプション」を展開し、表示される「境界」や「単位」を変更してください。
ウォーターフォールグラフ作成時の注意点と失敗例
ウォーターフォールグラフは強力なツールですが、適切な設定を行わないと意図した結果が得られない場合があります。
ここでは、よくある失敗例とその対処法、およびExcel2019/2021での補足事項を解説します。
合計項目が正しく表示されない場合
合計として表示したい項目が、増減の棒と同じようにゼロラインから積み上がって表示されてしまうことがあります。
これは、「合計として設定」オプションが適用されていないことが原因です。
- 対処法: グラフ上で合計として扱いたい棒をダブルクリックします。「データ要素の書式設定」作業ウィンドウの「系列のオプション」タブで、「合計として設定」チェックボックスがオンになっていることを確認してください。中間合計を設定したい場合も同様の操作を行います。
データ順序がグラフ表示に影響する場合
ウォーターフォールグラフは、元のデータ範囲の順序に基づいて増減を表示します。
データが意図しない順序で並んでいると、グラフの増減の連なりが不自然に見えることがあります。
特に、初期値から最終値に至るまでの論理的な流れが重要です。
- 対処法: グラフの元となるデータ範囲を、表示したい増減の時系列や論理的な順序に合わせて並べ替えてください。例えば、月ごとの変化であれば1月から12月へ、費用項目であれば固定費から変動費へといった並び順が考えられます。
Excel2019/2021での機能の補足
Excel for Microsoft 365のウォーターフォールグラフ機能は、Excel 2019やExcel 2021でも基本的な操作は共通しています。
しかし、細部のUIデザインや一部の高度な書式設定オプションが異なる可能性があります。
例えば、新しいテーマや配色パレットの選択肢が少ない、あるいは一部のグラフ要素の配置オプションが異なる場合があります。
- 対処法: もし操作に迷う場合は、対象のExcelバージョンのヘルプドキュメントを参照してください。基本的なグラフの挿入と「合計として設定」は共通機能として利用できます。
データの空白行や非表示行がグラフに影響する場合
ウォーターフォールグラフは、選択されたデータ範囲内の全ての行を処理します。
データ範囲内に空白行やフィルタリングで非表示にした行が含まれていると、グラフに予期せぬ空白や欠損データが表示されることがあります。
- 対処法: グラフを作成する前に、必ずデータ範囲に不要な空白行がないか、または必要なデータが全て表示されているかを確認してください。不必要な行は削除するか、グラフのデータソース範囲から除外します。
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ウォーターフォールグラフと他のグラフの使い分け
増減を表現するグラフはウォーターフォールグラフだけではありません。
ここでは、積み上げ棒グラフや折れ線グラフとの違いを比較し、それぞれのグラフが適している場面について解説します。
| 項目 | ウォーターフォールグラフ | 積み上げ棒グラフ | 折れ線グラフ |
|---|---|---|---|
| 主要な用途 | 初期値から最終値への段階的な増減の内訳と影響要因の分析 | 複数のカテゴリが全体に占める割合や、時系列での構成比の変化 | 時系列でのトレンド、変化の推移、複数の系列間の比較 |
| 増減の表現 | 明確に増加・減少を色で区別し、各要素が前の要素からどのように変化したかを示す | 積み上げられた棒の高さで各カテゴリの貢献度を示す。増減そのものではない | 線の傾きで変化の方向と大きさを表現する。個々の増減要因の内訳は表現しない |
| 合計値の表示 | 中間合計や最終合計を独立した棒として表示でき、途中の累積値も明確に示せる | 棒の最上部が常に合計値となる。中間合計を視覚的に捉えにくい | 各時点の合計値は点で表示される。途中の内訳が不明瞭 |
| 適したデータ | 収益計算、予算差異分析、在庫変動、要因分解分析など、増減の内訳が重要なデータ | 市場シェア、製品構成、費用内訳など、全体に対する部分の割合を示すデータ | 株価推移、気温変化、売上高の成長率など、連続的な変化のトレンドを見るデータ |
ウォーターフォールグラフは、特に財務報告や事業計画の進捗状況など、増減の背景にある要因を深掘りしたい場合に最も力を発揮します。
データの性質と伝えたいメッセージに応じて、最適なグラフを選択することが重要です。
まとめ
この記事では、Excelでウォーターフォールグラフを作成し、データの増減とその内訳を効果的に表示する手順を詳しく解説しました。
「合計として設定」オプションの活用や色のカスタマイズにより、視覚的にわかりやすいグラフを作成できます。
ウォーターフォールグラフをマスターし、日々の業務における複雑なデータ分析や報告にぜひ活用してください。
次に、別の種類のグラフと組み合わせることで、さらに多角的なデータ分析に挑戦してみましょう。
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