エクセルの解説サイトや書籍を見ているときに、「最新版の機能を使います」という記述や「32ビット版は非対応です」といった注意書きを目にしたことはありませんか?自分の使っているエクセルがどの製品で、システム的にどのような仕様(ビット数)なのかを正しく把握することは、トラブル解決や新機能の導入において極めて重要です。本記事では、初心者の方でも迷わずに自分のエクセルの『正体』を突き止める方法を、技術的な背景を含めて詳しく解説します。
結論:エクセルのバージョン情報を知っておくべき3つの理由
- 新機能の利用可否:「スピル」や「IMAGE関数」など、最新の機能が自分の環境で動くかどうかを判断できる。
- アドインの互換性:外部ツールを導入する際、32bit用か64bit用かを間違えるとインストールエラーが発生する。
- セキュリティとサポート:古いエクセル(買い切り版)の場合、公式サポート終了によるセキュリティリスクを把握できる。
ADVERTISEMENT
目次
1. 技術解説:エクセルの『バージョン』と『ビット数』とは何か?
エクセルの情報を確認する前に、まずは「何を確認しようとしているのか」という用語の定義を整理しましょう。ここを理解することで、単なる数字の羅列が意味を持つデータに変わります。
製品名(プロダクト名)の違い
現在主流のエクセルには、大きく分けて2つの系統があります。
- Microsoft 365(旧称:Office 365):サブスクリプション型(月額・年額制)のエクセルです。インターネットを通じて常に最新機能がデプロイ(追加)されるのが特徴です。
- 買い切り版(Excel 2021, 2019など):一度購入すれば永続的に使えますが、購入後に新機能が追加されることはありません。
32ビット(32-bit)と64ビット(64-bit)の違い
これはエクセルが一度に扱えるデータの「通り道の広さ(アドレス空間)」の違いです。かつては32ビット版が標準でしたが、パソコンの性能向上に伴い、現在は64ビット版が推奨されています。主な違いはメモリ管理能力にあり、64ビット版は数ギガバイトを超える巨大なデータファイルを扱う際にもフリーズしにくいという堅牢な特性を持っています。
2. 実践:エクセルのバージョンを確認する確実な手順
どのバージョンのエクセルでも、入り口は同じです。以下の手順に従って、隠れた設定画面を開きましょう。
操作ステップ
- エクセルを起動し、何でも良いのでブックを開きます(新規の「空白のブック」で構いません)。
- 画面左上の隅にある「ファイル」タブをクリックします。
- 左側のメニュー列を一番下まで辿り、「アカウント」をクリックします。
- 「製品情報」という見出しのエリアに注目してください。ここに大きな文字で製品名が表示されています。
- さらに詳細を見る:右側にある「Excelのバージョン情報」(クエスチョンマークの付いた大きな四角いボタン)をクリックします。
すると、ポップアップウィンドウが表示されます。この一番上の行に、「Microsoft Excel 2024 … 64ビット」といった形式で、ビット数まで含めた完全なスペックが記載されています。
3. エンジニアの知恵:なぜ「32bit/64bit」を使い分けるのか
「最新なら全部64ビットで良いのでは?」と思うかもしれませんが、ビジネスの現場ではあえて古い仕様を残す論理的な理由が存在する場合があります。
レガシーシステムとの互換性
10年以上前に開発された古いアドインや、エクセルを制御する外部ソフト(マクロを含むVBAプロジェクトなど)の中には、32ビット版でしか動作しないようにコードが組まれているものがあります。もしあなたが特定の社内ツールを使っていて、64ビット版に変えた途端に動かなくなった場合は、このビット数の違い(ポインタのサイズ不一致)が原因である可能性が非常に高いです。
メモリ消費の最適化
64ビット版はパワフルな反面、システム上のオーバーヘッド(管理用の負荷)がわずかに大きくなります。極めてスペックの低い古いパソコンで小さな表だけを作る場合は、32ビット版の方が軽快に動作することもあります。ただし、現代の標準的なパソコンであれば、将来性を考えて64ビット版を導入するのが定石です。
ADVERTISEMENT
4. 比較検証:エクセルの世代別・仕様別 特徴一覧表
| 項目 | Microsoft 365 | Excel 2021 (買い切り) | 古いExcel (2016以前) |
|---|---|---|---|
| アップデート | 常に最新機能が追加 | セキュリティ更新のみ | サポート終了または間近 |
| 主な新機能 | Python, IMAGE関数など | XLOOKUP, LET関数など | 基本的な関数のみ |
| 推奨ビット数 | 64ビット (標準) | 64ビット推奨 | 32ビットが多い |
| 推奨メモリ容量 | 8GB以上 | 4GB~8GB以上 | 2GB~4GB |
5. 深掘り:バージョン確認後にチェックすべき『更新オプション』
自分のバージョンが分かったら、次に確認すべきは「最新の状態に保たれているか」です。エクセルには自動更新機能がありますが、会社の環境などによっては更新が止まっていることがあります。
「今すぐ更新」の実行
先ほどの「アカウント」画面にある「更新オプション」ボタンをクリックし、「今すぐ更新」を選択してみてください。これにより、Microsoftのサーバーにある最新のパッチがチェックされます。最新のバグ修正やパフォーマンス改善が適用されるため、動作が重いと感じている方は、バージョン確認のついでにこの操作を行うことを論理的に推奨します。
6. まとめ:自分のツールを知ることで作業効率は変わる
エクセルのバージョンを確認する行為は、いわば自分が持っている武器の性能を点検するようなものです。Microsoft 365を使っているなら最新の便利な関数を積極的に学び、古いエクセルなら互換性を考慮したシート設計を心がけるといった、環境に合わせた戦略を立てることができるようになります。また、32bit/64bitの知識があれば、将来的に大きなデータを扱う際のアドバンテージにもなります。この機会に、職場の同僚や家族のパソコンでもバージョンを確認し、最適な設定でエクセルを使いこなせるようサポートしてあげてはいかがでしょうか。
ADVERTISEMENT
この記事の監修者
超解決 Excel研究班
企業のDX支援や業務効率化を専門とする技術者チーム。20年以上のExcel運用改善実績に基づき、不具合の根本原因と最短の解決策を監修しています。
