社内の抽選会の当選番号を決めたり、シミュレーション用のダミーデータを作成したりする際、適当な数字を自分で考えるのは意外と骨が折れるものです。人間が考える「適当」にはどうしても偏りが出てしまいますが、エクセルの『乱数(らんすう)関数』を使えば、完全に公平でランダムな数値を一瞬で生成できます。0から1までの細かい小数を出す『RAND(ランド)関数』と、指定した範囲の整数を出す『RANDBETWEEN(ランドビトウィーン)関数』。これら2つのツールを使い分けることで、エクセルを強力な「抽選機」や「分析シミュレーター」へと変えることができます。本記事では、乱数生成の基本プロトコルと、誰もがハマる「勝手に数字が変わる」仕様への対策を詳しく解説します。
【要点】乱数関数をスマートにデプロイ(適用)する3つのルール
- 『RAND』は「0以上1未満」の小数を出す: 確率の計算や、既存のデータにランダムな優先順位を付けたい時に使用する。
- 『RANDBETWEEN』は「範囲内の整数」を出す: 当選番号の選出や、1から100までのテストスコア生成など、キリの良い数字が必要な時に。
- 『揮発性』という名の自動更新に注意: セルを書き換えるたびに数字が変化する。確定させたい場合は「値への変換」でパージ(固定)する。
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目次
1. 基礎解説:2つの乱数関数の役割分担
エクセルの乱数生成には、用途に合わせて選べる2つの主要な関数があります。
1-1. 繊細な小数を生む「RAND関数」
=RAND() と入力するだけで、0.12345…のような「0以上1未満」の小数を返します。カッコの中に何も入れないのが特徴です。主に、リストをランダムに並べ替えるための「重み付け」や、統計的なシミュレーションのパケット(要素)として利用されます。
1-2. 直感的な整数を生む「RANDBETWEEN関数」
=RANDBETWEEN(1, 100) のように、最小値と最大値を指定して使います。「1から100までの間でどれか一つ整数を出せ」という命令です。日常業務で「適当な数字のサンプルが欲しい」という場合は、こちらの関数の方が直感的に扱えます。
2. 実践:乱数を生成・制御する手順
実際に数値を生成し、その動作をコントロールする操作フローを確認しましょう。
2-1. 【操作】特定の範囲の整数を生成する
- 数値を表示したいセルに
=RANDBETWEEN(1, 1000)と入力します。 - Enterキーを叩くと、1から1000の間のどれかの数字が表示されます。
- フィルハンドル(セルの右下の■)をドラッグして、必要な分だけ乱数をデプロイ(展開)します。
2-2. 【応用】生成された数値を「固定」する
乱数は、エクセル内で何か(文字入力や削除など)をするたびに再計算され、別の数字に変わってしまいます。これをパージ(固定)する手順が実務では必須です。
- 生成された乱数の範囲をコピー(Ctrl + C)します。
- そのまま右クリックし、「値として貼り付け(123のアイコン)」を選択します。
- 結果: 数式が消え、ただの数値に変換されます。これで抽選結果が勝手に変わるバグを防げます。
3. 比較検証:『RAND』 vs 『RANDBETWEEN』
どちらの関数がどのようなシナリオに適しているか、論理的に比較します。
| 比較項目 | RAND関数 | RANDBETWEEN関数 |
|---|---|---|
| 出力結果の型 | 小数(0.000…〜0.999…) | 整数(指定範囲内) |
| 引数の指定 | 不要(カッコ内は空) | 必要(最小値と最大値) |
| 主な用途 | リストのランダム並べ替え | 抽選、サンプルデータ作成 |
| 重複の可能性 | 極めて低い(桁数が多いため) | あり(範囲が狭い場合) |
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4. 秘技:F9キーで「振り直し」をシミュレートする
「値の貼り付け」をする前であれば、キーボードの F9 キー を叩くことで、何度でも乱数を「再計算」させることができます。これは、抽選会で「もう一度やり直し!」となった際に、数式を打ち直すことなく新しい当選番号をデプロイできる、現場で役立つクイックコマンドです。
5. 注意点:乱数の「重複」という名のロジックバグ
RANDBETWEEN関数で「1から10の範囲で10人分」の数字を作ると、同じ数字が複数回出てしまうことがあります。
注意点: 乱数は各セルで独立して生成されるため、他のセルと「被らないように出す」という機能は標準ではありません。もし「重複のない当選番号」が必要な場合は、まずRAND関数で全員に小数を割り当て、その数値を基準に
SORT機能やRANK関数を使って順位付けを行うという、ワンクッション置いたロジック構築が必要になります。
6. まとめ:乱数はエクセルに「公平な偶然」をもたらす
エクセルでランダムな数値を生成することは、単なる遊びではありません。それは、人間心理という名のバイアス(偏り)をパージし、論理的で公平な意思決定や、リアリティのあるテスト環境を構築するための『データ・モデリング』の第一歩です。
RANDとRANDBETWEENの特性を理解し、必要に応じて「値への変換」で結果を確定させること。このプロトコルを習得すれば、あなたのエクセルワークは定型的な計算の枠を超え、予測不能なシナリオにも対応できる柔軟なツールへと進化します。
次に「適当な数字をいくつか用意して」と言われたとき、自分の頭で数字をひねり出すのをやめて、数式一行でエクセルに丸投げしてみてください。その「正確な適当さ」が、あなたの仕事の公平性とスピードを同時に担保してくれるはずです。
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