外付けHDDや古いパソコンからデータを移そうとしたら、プログレスバーが途中で止まり、「場所が利用できません。データエラー(巡回冗長検査(CRC)エラー)です」という無慈悲なメッセージが表示される……。
何度やり直しても同じ場所で止まる場合、残念ながらそのHDDには「物理的な傷(不良セクタ)」が発生しており、寿命が尽きる寸前です。
Windowsの通常のコピー機能は、1箇所でもエラーがあると「安全のため」にコピー作業全体を中止してしまいます。これでは、無事なデータまで道連れになってしまいます。
この記事では、チェックディスクによる修復と、無料のコピー支援ソフトを使って「読めない部分だけを切り捨てて、残りを強引に救出する」最終手段を解説します。
目次
警告:異音がする場合は「即中止」
作業を始める前に、HDDに耳を当ててみてください。
「カコン、カコン」「ジジジ…」という周期的な異音がしていませんか?
🚫 異音=物理崩壊の合図
異音がする場合、磁気ヘッドがディスクを削り取っている最中です。
これ以上通電すると、データ復旧業者でも復元不可能になります。直ちにケーブルを抜いて、専門業者に相談してください。
異音がなく、ただエラーが出るだけの場合は、以下の手順を試す価値があります。
手順1:CHKDSKで「軽微な傷」を修復する
まずはWindows標準の修復コマンドを試します。運が良ければ、傷ついたセクタを回避するように修正され、普通にコピーできるようになります。
- スタートボタンを右クリックし、[ターミナル (管理者)] または [コマンドプロンプト (管理者)] を開きます。
- 以下のコマンドを入力します。
chkdsk (ドライブ文字): /f /r
(例:Eドライブならchkdsk e: /f /r)/f:ファイルシステムの修復/r:不良セクタの検出と回復(重要!)
- 「時間がかかります」と出ますが、実行します。
修復完了後に、もう一度ファイルをコピーしてみてください。
これでも「CRCエラー」が出る場合、傷が深すぎます。次の手順へ進みます。
手順2:【最強ツール】「FastCopy」で強引に吸い出す
Windows標準のエクスプローラーは融通が利きませんが、日本製の無料ソフト「FastCopy」を使えば、「エラーが出ても無視して次へ進む」という設定が可能です。
FastCopyの設定と実行
- 公式サイト(窓の杜など)から FastCopy をダウンロードしてインストールします。
- ソフトを起動し、以下のように設定します。
- Source(元): CRCエラーが出るHDDのフォルダ
- DestDir(先): 救出先のPCや新しいHDD
- 画面右側にある [設定] ボタン(またはメニュー)を開き、[一般設定] > [コピー・移動時] に進みます。
- 「エラー時も続行する」(または「予測できないエラーは無視」)といった趣旨のオプションにチェックを入れます。
- メイン画面に戻り、[実行] をクリックします。
これでコピーが始まります。
不良セクタ(CRCエラー部分)に差し掛かると、FastCopyはその部分を諦めてログに記録し、止まらずに次のファイルのコピーを続けます。
結果として、「完全に壊れた数ファイル」以外はすべて救出できます。
手順3:ケーブルや接続ポートを変えてみる
HDD自体は壊れていないのに、ケーブルの劣化や電力不足で「通信エラー(CRCエラー)」が出ているケースも稀にあります。
- USBケーブルを交換する: 断線しかかっている可能性があります。
- PC背面のポートに挿す: デスクトップPCの前面ポートやUSBハブは電力が弱いため、通信が不安定になりがちです。マザーボード直結の背面ポートを使ってください。
- 冷やす: HDDが異常に熱くなっているとエラーが出ます。扇風機を当てながら作業してみてください。
まとめ:救出できたらそのHDDは「廃棄」
CRCエラー発生時の生存戦略です。
| 方法 | 目的 | 成功率 |
|---|---|---|
| CHKDSK /r | 不良セクタの修復 | △ 軽症なら直る |
| FastCopy | エラー無視で強行突破 | ◎ データ救出の要 |
| 復旧業者 | 分解・プラッタ移植 | ◎ 高額だが確実 |
「CRCエラー」が出たHDDは、人間で言えば「余命宣告」をされた状態です。
今回なんとかデータを救出できたとしても、二度と保存用には使わないでください。明日にでも完全に動かなくなる可能性があります。
