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「相撲」と「モンゴル相撲」
日本の相撲:神々への奉納
日本の相撲の起源は、神々への奉納として行われる神事といわれています。これは古代の神道の中に見られる影響で、強靱な身体を使って神々の喜びを祈り、五穀豊穣や無病息災を願ったのです。奈良時代の『日本書紀』には、神々自身が相撲を取ったとの記述があり、相撲の古さと重みを物語っています。
この神事の中で行われる相撲は、次第に民間へと広がり、一般の人々の間でも楽しまれるようになりました。その後、江戸時代に入ると相撲は庶民の娯楽として、さらには力士を職業とする「大相撲」の形が成立し、現在に至っています。日本の相撲は、土俵の上で力士が互いに体をぶつけ合い、相手を土俵から出すか土につくようにすることで勝利を決定する、力と技術を要するスポーツです。
モンゴル相撲:勇士の証
一方、モンゴルの相撲は「ブフ」と呼ばれ、その歴史は数千年にまで遡るとされています。遊牧民の間で、戦士の訓練や力量を試すためのものとして行われてきました。このモンゴル相撲は、日本の相撲と比べてルールが異なります。
ボフでは、競技者が地面に触れても試合は終了しないという点が特徴的です。試合は競技者が膝または肘を地面につくか、体全体で地面に倒れるまで続きます。また、体型に制限はなく、上半身は裸で、下半身には伝統的な衣装「ジョドガ」と呼ばれるズボンをはいて試合に臨みます。
相撲のスタイルと技:日本とモンゴルの違い
日本の相撲:力と技術の融合
日本の相撲は、力と技術を駆使して相手を土俵から出したり、土につけることを目指します。そのため、力士たちはさまざまな技を学び、それを用いて試合を制します。また、力士の体型には一定の制約があり、特に重量が勝敗を左右することもしばしばです。
また、相撲の取組前に行われる様々な儀式、例えば塩をまく行為や手を叩く行為は、神聖なる土俵を清め、また自身を精神的に高める意味合いが含まれています。これらは日本の相撲が神事の名残を色濃く残していることを示しています。
モンゴル相撲:持久力と策略の競い合い
モンゴルの相撲では、体型の制約がなく、小柄ながらも敏捷性と技術を活かした力士も多く見られます。また、競技者が地面に触れても試合が続くため、試合の長期化がもたらす持久力の試練や、勝つための策略が重要となります。
また、モンゴル相撲では試合前に「デーゼ」という伝統的な舞踊が行われます。これは鷲の翼を広げるような動きで、力士の力と勇気を象徴します。
結論
「相撲」と「モンゴル相撲」は、それぞれの文化や歴史を反映した形で発展してきました。日本の相撲は、神々への奉納としての始まりから庶民の娯楽へと変遷し、技術と体重を駆使した勝負が特徴です。一方、モンゴルの相撲は遊牧民の間での戦士の訓練として始まり、体格に関係なく敏捷性と持久力を活かした勝負となったのです。