消齢化社会とは?年齢だけに頼らない顧客分析とマーケティングの考え方

消齢化社会とは、生活者の意識や好みについて、年齢による違いが小さくなる現象に着目した考え方です。「若い人はこう考える」「高齢者にはこの商品」と、年齢だけで顧客像を決めないための視点として役立ちます。

ただし、年齢差がすべてなくなったという意味ではありません。年齢別の集計を廃止するのではなく、利用目的や経験、生活環境も合わせて見ることが、仕事での使い方になります。

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「消齢化」はどこから生まれた言葉か

博報堂生活総合研究所は、長期時系列調査「生活定点」の分析を通じ、意識・好み・価値観の年代差が小さくなる現象を「消齢化」と呼んでいます。研究の内容は、同研究所の書籍『消齢化社会』の紹介でも説明されています。

これは「年齢という情報に価値がない」「全世代が同じ行動をする」という宣言ではありません。ある項目で年代差が縮まっていても、所得、家族構成、健康状態、利用経験などに違いはあります。一つの調査項目を、すべての商品やサービスへ広げて解釈しないことが必要です。

年齢だけの顧客像から、困りごとも見る顧客像へ

例えばオンライン研修なら、「50代は初心者向け」と年齢だけで決めず、経験と困りごとで講座を分けます。初めて使う人には初期設定からの案内、基本操作ができる人には仕事での活用例、日常的に使う人には繰り返し作業を短縮する方法が役立ちます。同じ年代でも、必要な説明は異なります。これは講座を分類するための例で、特定の年代を調査した結果ではありません。

確認の軸 顧客に確かめたいこと
利用目的 何を終えたいのか。どの作業で困っているのか
利用経験 初めてか、使ったことがあるか、日常的に使うか
制約 使える時間、予算、端末、組織のルールは何か
年齢・生活環境 購入条件や説明方法に関係する違いが実際にあるか

年齢は残したまま、別の軸を加えます。こうすれば「同じ年代でも困りごとが違う人」と「違う年代でも同じ解決を求める人」の両方を見つけられます。

自社の顧客データで試す4つの手順

1. 何を改善したいか一つに絞る

申込率を上げたいのか、購入後の問い合わせを減らしたいのか、継続利用を増やしたいのかを決めます。目的が混ざると、年齢別に見るべき差も分からなくなります。

2. 実際の質問や行動から困りごとを分ける

問い合わせ内容やアンケートの自由記述から、「導入前の不安」「初期設定」「使い続ける際の不便」などに分類します。推測で顧客像を完成させず、本人の言葉と実際の利用行動を手掛かりにします。個人情報は必要な範囲だけで扱います。

3. 年代と困りごとを掛け合わせる

年代別の人数だけでなく、その年代の中で各課題がどの程度を占めるかを見ます。全体の人数が少ない区分は、数人の変化で比率が大きく動きます。少数の回答から「この年代には需要がない」と判断しないでください。

4. 説明や商品構成を小さく変えて比較する

「シニア向け」とだけ書いていた案内を、「初期設定を一緒に進める講座」のように具体的な便益へ変える、といった試し方ができます。変更前後では、流入元や価格、募集期間などの違いも確認します。申込率が上がっても、すべてが言い回しの効果とは限りません。

年齢差が小さくても、配慮までなくさない

同じ商品を好むことと、同じ説明で使いこなせることは別です。文字の大きさ、色の見分けやすさ、操作経験、音声の聞き取りやすさなどは、実際の利用者に合わせて点検します。

例えばPC講座であれば、説明を一度に速く進めるより、操作を区切り、戻る方法を示し、確認用の図を添える方が役立つ場面があります。これは高齢者だけに必要な工夫ではなく、初めてその作業をする人にも役立ちます。

年齢制限が法令や契約条件に関係する商品では、その条件を無視できません。「消齢化」を理由に、制度上必要な区分までなくさないようにします。

採用や人事制度へ、そのまま結びつけない

消費意識の研究から、職能給を廃止すべき、全社をジョブ型へ移すべき、と直接結論づけることはできません。人事制度は職務内容や評価方法、雇用条件などを別に検討する必要があります。

職場で応用するなら、まず「年齢だけで研修対象を決めていないか」「経験を確かめずに役割を割り振っていないか」を見直すところから始めます。必要な技能を本人に確認し、学ぶ機会を用意することと、制度全体の変更は分けて考えます。

仕事で使うときの結論

消齢化は、年齢別のデータを捨てる理由ではなく、年齢だけで顧客を説明していないかを点検するきっかけです。年代、困りごと、経験、制約を組み合わせ、自社の商品に関係する違いを実際のデータで確かめてください。

研究者自身の説明は、博報堂生活総合研究所のトークイベント記事、調査の対象や質問は生活定点で確認できます。

この記事の監修者
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超解決 第一編集部

疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。