Windows 11のアップデートに伴い、タスクバーの右端(システムトレイ付近)に「Copilot」のアイコンが強制的に表示されるようになりました。Microsoftが進めるAI戦略の象徴とも言えるこのボタンですが、作業中に誤ってクリックしてサイドバーが立ち上がってしまう、あるいはタスクバーの貴重なスペースが占領されることに不満を感じているユーザーは少なくありません。
特に、Windowsの「デスクトップの表示(右端の細い領域)」と位置が重なっているため、これまでの操作慣習が阻害されるという技術的な課題も浮き彫りになっています。本記事では、設定画面からの基本的な非表示手順に加え、設定が反映されない場合のレジストリ操作、さらには「デスクトップの表示」機能を復活させるための調整方法について詳しく解説します。
結論:Copilotボタンを消去する最短手順
- タスクバーの設定を変更する:タスクバーを右クリック > 「タスクバーの設定」を開き、項目のスイッチをオフにします。
- システムトレイの設定を見直す:Copilotが「システムトレイ」側に移動している場合は、「システムトレイのアイコン」設定からオフにします。
- レジストリで恒久的に無効化する:Pro/Enterprise版以外でも、レジストリ値を書き換えることで完全に非表示化が可能です。
目次
1. Copilotボタンの配置が「右下」に変更された理由
以前のWindows 11では、Copilotボタンは「スタートボタン」の横(検索バーの付近)に配置されていました。しかし、2024年後半から2025年にかけてのアップデートにより、画面右下のシステムトレイ領域へと移動しました。
Microsoftの意図と仕様変更の背景
この変更の狙いは、Copilotを「単なるアプリ」ではなく「OSの通知や設定と連動するアシスタント」として定着させることにあります。カレンダーや通知センターの隣に配置することで、常にユーザーの視界に入れ、AI利用率を向上させるというプラットフォーム戦略が見え隠れします。しかし、この変更により、Windows 95以来の伝統であった「画面右端をクリックしてデスクトップを表示する」という操作がCopilotボタンに上書きされ、多くのビジネスユーザーの利便性を損なう結果となりました。
2. 手順①:設定画面からの標準的な非表示化
最も基本となる手順です。Windows 11のバージョンによって項目の場所が微妙に異なるため、自身の環境に合わせて確認してください。
- タスクバーの何もない場所を右クリックし、「タスクバーの設定」を選択します。
- 「タスクバー項目」の一覧にある「Copilot (プレビュー)」(または単にCopilot)のスイッチをオフにします。
もし上記メニューにCopilotが存在しない場合は、さらに下の「システム トレイ アイコン」または「その他のシステム トレイ アイコン」のセクションを確認してください。最新のビルドでは、こちら側にCopilotのオン・オフスイッチが移動しているケースがあります。
3. 手順②:レジストリ編集による強制削除
設定画面でスイッチを操作しても再起動後に復活してしまう場合や、設定項目自体がグレーアウトしている場合に有効な技術的手段です。
レジストリ書き換えのステップ
- 「Win + R」キーを押し、
regeditと入力して実行します。 - 以下のパスに移動します:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Explorer\Advanced - 右側のパネルで 「ShowCopilotButton」 という名前のDWORD(32ビット)値を探します。
- 存在しない場合は、右クリック > 新規 > DWORD(32ビット)値 で作成します。
- 値を
0に設定します。 - 即座に反映されない場合は、タスクマネージャーから「エクスプローラー」を再起動するか、PCを再起動してください。
4. 「デスクトップの表示」機能を復活させる方法
Copilotボタンを非表示にしても、画面右端の「デスクトップの表示(クリックするとすべてのウィンドウが最小化される機能)」が戻らないことがあります。これはCopilot導入時にこの領域自体がデフォルトで無効化されたためです。
再有効化の手順
- 「タスクバーの設定」画面を再度開きます。
- 一番下にある「タスクバーの動作」をクリックして展開します。
- 「デスクトップを表示するには、タスクバーの隅を選択します」という項目にチェックを入れます。
この設定により、Copilotを排除した上で、Windows本来の操作性を取り戻すことができます。1日に何度もウィンドウを最小化するビジネスワークフローにおいては、Copilotよりもこの「右端クリック」の方が実利が高いと言えます。
5. 無効化手法の比較とメリット・デメリット
環境や権限に応じた最適な無効化方法を以下の表にまとめました。
| 手法 | 難易度 | 効果の持続性 | 推奨環境 |
|---|---|---|---|
| 設定画面からオフ | ★☆☆ | 中(更新で戻る可能性あり) | 個人用PC、一般的なビジネスPC |
| レジストリ操作 | ★★☆ | 高 | 設定が反映されないトラブル環境 |
| グループポリシー | ★★★ | 最高(ユーザー変更不可) | 企業ドメイン管理下の複数PC |
まとめ:作業領域の主導権を取り戻す
MicrosoftによるCopilotの強力なプッシュは、AI時代における必然的な流れではありますが、ユーザーが使い慣れたUIを強制的に書き換える手法には批判も少なくありません。特にタスクバーは、ビジネスパーソンにとって「最も使用頻度の高い道具箱」であり、そこに含まれるアイコン一つ一つに意味があります。
もしCopilotをショートカットキー(Win + C)で呼び出す運用に慣れているのであれば、タスクバーのボタンは物理的に不要な存在です。本稿の手順に従ってボタンを非表示にし、タスクバーのスペースを広げ、「デスクトップの表示」機能を復活させる。こうした細かな環境の最適化が、結果として毎日の業務におけるストレスを軽減し、生産性の向上に寄与します。
