ビジネスの現場では、顧客獲得プロセスや販売チャネルの段階的な減少を可視化したい場面があります。
しかし、Excelの標準グラフ機能だけでは、その特殊な形状を表現するのが難しいと感じる方もいるでしょう。
この記事では、Excelでファネルグラフを作成し、段階的な減少を効果的に表現する手順を解説します。
読めば、複雑なデータも一目で理解できるファネルグラフを作成できるようになります。
【要点】Excelでファネルグラフを作成し段階的な減少を表現する
- 積み上げ棒グラフの活用: ファネルグラフの土台となる形状を作成するために、積み上げ棒グラフを利用します。
- データの調整と配置: グラフの形状を整えるために、元データの値や配置を工夫します。
- 書式設定による視覚化: グラフの各要素に色や枠線を設定し、ファネル形状を強調します。
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目次
ファネルグラフで段階的な減少を表現する仕組み
ファネルグラフは、漏斗(ろうと)のような形状で、プロセスが進むにつれて段階的に数が減少していく様子を示します。例えば、ウェブサイトへの訪問者数から問い合わせ数、商談数、そして成約数へと、各段階でどれだけのユーザーが次のステップに進んでいるかを視覚的に把握するのに役立ちます。
このグラフを作成するには、Excelの標準的な積み上げ棒グラフ機能を応用します。各段階の数値をそのまま棒グラフにすると通常の棒グラフになってしまうため、グラフの形状を調整するための特殊なデータ準備と設定が必要になります。
ファネルグラフ作成のためのデータ準備
ファネルグラフを作成するには、まず、可視化したい段階ごとの数値データを用意します。このデータは、最も大きい値が最上段に来るように、降順に並べるのが一般的です。
さらに、グラフの漏斗形状を表現するために、「補助データ」を作成します。これは、各段階の数値の差を計算し、それをグラフの「空白部分」として利用するものです。
例えば、以下のようなデータがあったとします。
元のデータ例:
| 段階 | 人数 |
|---|---|
| 訪問者 | 1000 |
| 会員登録者 | 500 |
| 商品購入者 | 200 |
| リピーター | 50 |
このデータを元に、ファネルグラフに適した形式に変換します。具体的には、各段階の「減少量」を計算し、それをグラフの「空白」として配置します。
ファネルグラフ用データ例:
| 段階 | 人数 | 空白 |
|---|---|---|
| 訪問者 | 1000 | 0 |
| 会員登録者 | 500 | 500 |
| 商品購入者 | 200 | 300 |
| リピーター | 50 | 150 |
ここで、「空白」列の値は、上の段階の「人数」から現在の段階の「人数」を引いた値です。例えば、「会員登録者」の空白は 1000 – 500 = 500 となります。
積み上げ棒グラフを使ったファネルグラフの作成手順
データ準備が完了したら、Excelで積み上げ棒グラフを作成し、ファネル形状に整えていきます。
- データ範囲の選択
ファネルグラフ用のデータ(段階、人数、空白)の範囲を選択します。この時、見出し行も含めて選択してください。 - グラフの挿入
「挿入」タブをクリックし、「グラフ」グループにある「棒グラフの挿入」を選択します。「2-D棒グラフ」の中から「積み上げ棒」を選択してください。 - グラフの形状調整(空白部分の非表示)
グラフが作成されたら、「空白」の系列を選択します。選択した状態で右クリックし、「データ系列の書式設定」を選びます。「塗りつぶし」オプションで「塗りつぶしなし」を選択し、「境界線」オプションで「線なし」を選択してください。これにより、「空白」系列は非表示になり、見た目上は「人数」系列のみが表示されるようになります。 - 系列の順序変更
この時点では、棒グラフは左から「人数」「空白」の順で描画されています。ファネル形状にするためには、棒グラフの表示順序を「空白」系列が先にくるように変更する必要があります。グラフ内の「空白」系列を右クリックし、「データ系列の書式設定」を選びます。右側の「データ系列の書式設定」ウィンドウで、「系列のオプション」タブを選択してください。その中の「系列の順序」で、「空白」系列を一番上に移動させます。 - 棒グラフの配置調整
系列の順序を変更すると、棒グラフが右に寄った状態になります。これを中央揃えにするために、棒グラフの「間隔幅」を調整します。グラフ内の「人数」系列を右クリックし、「データ系列の書式設定」を選びます。「系列のオプション」タブで、「間隔幅」の値を大きく設定してください。例えば、300%〜500%程度に設定すると、棒グラフが細くなり、中央に配置されやすくなります。 - 軸ラベルの調整
グラフの横軸(項目軸)には、本来「段階」が表示されるべきですが、この時点では「空白」系列のデータがラベルとして表示されている場合があります。これを修正するために、グラフの「データラベル」を編集します。グラフ内の「人数」系列を右クリックし、「データ系列の書式設定」を選びます。「データ系列の書式設定」ウィンドウで、「データラベルのオプション」タブを選択してください。「ラベルの位置」で「軸ラベル」を選択します。 - 軸の書式設定
縦軸(値軸)の最小値と最大値も調整します。グラフの縦軸を右クリックし、「軸の書式設定」を選びます。「軸のオプション」タブで、「境界値」の「最小値」を「0」に、「最大値」を元のデータ系列の最大値(例:1000)に設定します。これにより、グラフのスケールが統一され、見やすくなります。 - グラフ要素の書式設定
最後に、グラフの見た目を整えます。グラフタイトルを分かりやすいものに変更したり、各系列の色を調整したりします。ファネルグラフでは、各段階の色をグラデーションにしたり、境界線を明確にしたりすると、視覚的な効果が高まります。
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ファネルグラフ作成における注意点と応用
ファネルグラフは、その特殊な形状から、作成時にいくつか注意しておきたい点があります。
データ系列が正しく表示されない場合
グラフを作成した際に、意図した通りに「人数」系列と「空白」系列が表示されないことがあります。これは、データ系列の追加順序やグラフの種類選択が正しくない場合に起こりやすいです。
対処法:
- 系列の再追加
一度グラフを削除し、ファネルグラフ用のデータ範囲(段階、人数、空白)を再度選択して、「挿入」タブから「積み上げ棒グラフ」を挿入し直してください。 - 系列の順序確認
グラフが作成されたら、必ず「系列の順序」を確認し、「空白」系列が一番上に来るように設定し直してください。これは、ファネル形状を表現する上で最も重要な設定の一つです。
段階ごとの数値をグラフ上に表示したい場合
ファネルグラフの各段階の棒の上に、具体的な数値を表示させたい場合もあるでしょう。これは「データラベル」機能を使って簡単に追加できます。
手順:
- データラベルの追加
グラフ内の「人数」系列の棒を右クリックし、「データラベルの追加」を選択します。 - ラベルの書式設定
追加されたデータラベルを右クリックし、「データラベルの書式設定」を選びます。ここで、ラベルの位置(中央、データラベルの内側など)や表示形式を調整できます。
ただし、ファネルグラフの場合、棒が細くなるため、データラベルが重なったり、見えにくくなったりすることがあります。その際は、ラベルの位置を調整したり、フォントサイズを小さくしたりする工夫が必要です。
Excelのバージョンによる違い
Excel 2019やExcel 2021でも、基本的なグラフ作成機能はMicrosoft 365版とほぼ同じです。積み上げ棒グラフの作成や書式設定の方法に大きな違いはありません。
ただし、Microsoft 365版では、より多くのグラフの種類が追加されたり、デザインオプションが豊富になったりする場合があります。しかし、ファネルグラフのようなカスタムグラフを作成する上では、どのバージョンでも今回解説した方法で対応可能です。
応用:ステップごとの割合を表示する
ファネルグラフの各段階の「人数」だけでなく、全体の何パーセントにあたるのか、あるいは前の段階からどれだけ減少したかの割合を併記すると、より詳細な分析が可能になります。
この場合、データ準備の段階で「割合」の列を追加し、それをデータラベルとして表示させるなどの工夫が考えられます。例えば、各段階の人数を最初の段階の人数で割ることで、全体の割合を算出できます。
ファネルグラフと他のグラフ形式の比較
ファネルグラフと積み上げ棒グラフの機能比較
| 項目 | ファネルグラフ(応用) | 標準の積み上げ棒グラフ |
|---|---|---|
| 主な用途 | 段階的な減少プロセスの可視化(例:顧客獲得、販売チャネル) | 複数のカテゴリにおける複数系列の比較、構成比の表示 |
| 形状 | 漏斗(ろうと)型、中央揃え | 標準的な棒グラフ形式、左揃え |
| データ準備 | 「人数」と「空白」系列の作成が必要 | 直接的な数値データで作成可能 |
| 作成難易度 | やや高め(データ調整と書式設定が必要) | 容易 |
| 表現力 | プロセスの「流れ」と「減少率」を直感的に表現 | 各段階の絶対値や相対的な比較を表現 |
ファネルグラフは、標準の積み上げ棒グラフを応用した特殊なグラフです。プロセスの各段階における「損失」や「離脱」を視覚的に強調したい場合に特に有効です。一方、標準の積み上げ棒グラフは、単純に各カテゴリの数値を比較したり、全体の構成比を示したりするのに適しています。
ファネルグラフを作成するには、グラフの見た目を整えるために、データの準備や書式設定に一手間加える必要があります。しかし、一度作成してしまえば、ビジネスプロセスにおける課題発見や改善点の特定に役立つ強力なツールとなります。
顧客管理やマーケティング分析で、どの段階で多くのユーザーが離脱しているのかを把握したい場合は、ファネルグラフの作成を検討してみてください。
この記事で解説した手順を参考に、ご自身のデータでファネルグラフを作成し、段階的な減少を効果的に表現できるようになりましょう。
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