Excelで複数のセルに分散した住所、氏名、あるいは箇条書きの項目を一箇所にまとめたい場面は多々あります。しかし、単にセルを結合(&やCONCAT関数)するだけでは、すべての文字が横一列に繋がってしまい、可読性が著しく低下します。実務で見やすい資料を作るためには、結合した文字の間に「改行」を差し込み、情報の区切りを明確にすることが不可欠です。本記事では、Office 365やExcel 2019以降で搭載された強力な関数であるTEXTJOIN(テキスト・ジョイン)関数を軸に、数式内で改行コードを自在に操り、メンテナンス性の高い「セル内改行」を自動生成するテクニックを解説します。
【要点】TEXTJOIN関数で「セル内改行」を制御する3つのステップ
- 区切り文字に「CHAR(10)」を指定: 数式内で直接入力できない「改行」を、文字コードを使ってインジェクションする。
- 「空のセルを無視」の引数を活用: データが欠落しているセルがあっても、不要な空行を作らずに美しく結合する。
- 「折り返して全体を表示」をONにする: 数式が正しくても、表示設定を有効にしなければ改行は視覚化されない。
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目次
1. 従来の結合方法における「限界」と「不便さ」
TEXTJOIN関数が登場するまで、セルの結合には主に「&(アンパサンド)」演算子や「CONCATENATE」関数が使われてきました。しかし、これらには改行を含める上で大きな手間と論理的な欠陥がありました。
1-1. 手作業による改行指定の煩雑さ
「&」を使って改行を挟む場合、=A1 & CHAR(10) & B1 & CHAR(10) & C1 といった具合に、セルとセルの間に毎回改行コードを記述しなければなりません。結合するセルが10個あれば、数式は非常に長く、読みにくいものになります。
1-2. 空白セルへの対応力不足
もし結合対象の中に空白のセルが含まれていた場合、「&」で繋ぐと「文字 + 改行 + 改行 + 文字」という形になり、意図しない無駄な空行が発生してしまいます。これをIF関数で一つずつ除外する数式を組むのは、実務効率を著しく下げる要因となります。
2. TEXTJOIN関数の基本構造と「改行コード」の組み込み
TEXTJOIN関数は、複数の範囲やセルを、指定した「区切り文字」で一気に繋ぐことができる関数です。ここで「区切り文字」としてExcelの改行コードを指定することがポイントです。
2-1. 書式と引数の役割
=TEXTJOIN(区切り文字, 空のセルを無視, テキスト1, [テキスト2], ...)
- 区切り文字: セルの間に挟む記号や文字。改行させたい場合は CHAR(10) を指定します。
- 空のセルを無視: 「TRUE」に設定すると、空欄のセルをスキップして詰めて結合します。
- テキスト: 結合したい範囲(A1:A5など)を指定します。
2-2. 実践的な数式の記述例
=TEXTJOIN(CHAR(10), TRUE, A1:A5)
この式一つで、A1からA5までの内容がすべて改行された状態で一つのセルに集約されます。非常にシンプルでありながら、柔軟性の高い構成です。
3. 秘匿されたキー:CHAR(10) とは何か
数式内で " "(スペース)や ","(カンマ)はダブルクォーテーションで囲んで入力できますが、「改行」そのものを入力することはできません。そこで登場するのが CHAR関数 です。
3-1. 文字コードによる制御
コンピュータには各文字に番号が割り当てられており、Excelにおいて「10番」のコードは「ラインフィード(改行)」を意味します。つまり CHAR(10) と書くことで、Excelに対して「ここで強制的に文字を次の行へ送りなさい」という命令を直接伝えていることになります。
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4. 忘れてはならない「表示形式」の最終設定
数式を正しく入力したのに、セル内では「2026/2/11東京都…」と一行に繋がって表示されてしまうことがあります。これはExcelの「表示の仕様」によるものです。
4-1. 【重要】「折り返して全体を表示」を有効化する
- 数式を入れたセルを選択します。
- リボンの【ホーム】タブにある 「折り返して全体を表示」 ボタンをクリックします。
この設定をONにした瞬間に、内部で待機していた CHAR(10) の改行命令が視覚的に反映され、セル内で文字が上下に並びます。数式とこの表示設定は「セットで一つ」の機能であると認識してください。
5. 比較:『&』 vs 『CONCAT』 vs 『TEXTJOIN』
用途に合わせた結合手段の使い分けを整理します。
| 機能 | & 演算子 | CONCAT関数 | TEXTJOIN関数 |
|---|---|---|---|
| 範囲指定 | 不可 | 可能 | 可能 |
| 区切り文字の自動挿入 | 不可(毎回記述) | 不可 | 可能(一括指定) |
| 空セルの自動無視 | 不可 | 不可 | 可能 |
6. 応用:改行を削除・置換する逆引きテクニック
逆に、すでにセル内にある改行が邪魔で一行に戻したい、あるいは特定の文字に置き換えたい場合の処理方法です。これはデータのクレンジングにおいて頻出します。
6-1. SUBSTITUTE関数による改行除去
=SUBSTITUTE(A1, CHAR(10), "")
この式により、セル内の改行がすべて「無」に置き換わり、文字が一行に繋がります。CSVへの書き出し用データを作る際などに重宝します。カンマに置き換えたい場合は "" を "," に変えるだけです。
6-2. 置換機能(Ctrl+H)での一括削除
数式を使わずに、シート上の改行を物理的に消し去る方法です。
1. [Ctrl] + [H] で置換窓を開きます。
2. 「検索する文字列」のボックスをクリックし、 [Ctrl] + [J] を押します(見た目上は何も入りませんが、これで改行が指定されています)。
3. 「すべて置換」を実行すれば、一気に改行が消滅します。
7. 補足:Mac版Excelとの互換性に注意
実務でWindowsとMacが混在している環境の場合、一つだけ注意点があります。Windowsの改行コードは CHAR(10) ですが、Mac版のExcel環境では CHAR(13) が使われるケースがあります。基本的には CHAR(10) で相互に動作することが増えていますが、もしMacユーザーから「改行が表示されない」という報告があれば、この文字コードの差異を疑ってみてください。
8. 結論:セルの「空間」を定義して情報を整列させる
TEXTJOIN関数と改行コードの組み合わせは、単に文字を繋ぐだけの作業を「情報の構造化」へと昇華させます。バラバラに配置されたデータを、必要なときだけ一つのセルに、かつ人間が読みやすい形式で集約できるこのテクニックは、レポート作成や名簿管理のクオリティを劇的に引き上げます。
「&」で繋いでいた手間をパージし、TEXTJOINによるスマートな自動結合をデプロイ(配置)すること。この論理的なアプローチを習得することで、あなたの作成するExcelシートは、単なるデータの集積場から、誰が見ても一瞬で内容を把握できる「完成された資料」へと進化を遂げるはずです。まずは住所録やコメント欄の整理から、この関数の威力を体感してください。
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