リモートデスクトップ接続時に「ネットワークレベル認証(NLA)エラー」が表示され、接続が拒否されるケースは少なくありません。このエラーは、クライアントとサーバー間の認証方式の不一致や、セキュリティ設定の違いによって発生します。特に会社のPCでリモートワークを行う際に頻出するため、原因を迅速に特定し、適切な対応を取ることが求められます。本記事では、NLAエラーの原因を段階的に切り分け、実務で使える確認手順を解説します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: クライアントPCのリモートデスクトップ接続設定と、サーバー側の「認証要件」設定の状態を確認します。
- 切り分けの軸: 端末側(クライアントOSのバージョンや資格情報)、ネットワーク側(ポート3389の疎通、VPN接続)、サーバー側(NLAの強制設定、証明書の状態)の3つで原因を絞ります。
- 注意点: 会社PCではレジストリの変更やセキュリティソフトの無効化は管理者の許可なく行わないでください。また、サーバー設定の変更は必ずシステム管理者に連絡してから実施します。
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NLAエラーの仕組みと発生原因
ネットワークレベル認証(NLA)は、リモートデスクトップ接続時にユーザー認証をネットワークレベルで完了させる機能です。NLAが有効な場合、クライアントは接続確立前に認証を求められ、認証に失敗するとエラーが表示されます。このエラーの主な原因は、以下の3つに大別されます。
- クライアント側の認証方式の不一致: WindowsのバージョンやCredSSP(資格情報セキュリティサポートプロバイダー)の更新プログラムが適用されていない場合。
- サーバー側のNLA設定の違い: サーバーが「NLAを使用してリモートデスクトップを実行しているコンピューターからのみ接続を許可する」に設定されている場合、クライアントがNLA対応でないと接続できません。
- 資格情報またはネットワークの問題: ユーザー名やパスワードの誤り、ドメイン認証の失敗、ファイアウォールやVPNの影響。
CredSSPの更新とエラーの関係
2018年以降のWindowsセキュリティ更新プログラムにより、CredSSPのバージョンが統一されていないとNLAエラーが発生するケースが増えました。具体的には、クライアントとサーバーのCredSSPバージョンに差があると、認証プロトコルが一致せずエラーになります。この場合、エラーメッセージに「認証エラーが発生しました。資格情報が正しくないか、指定された資格情報が認証に使用できません。」と表示されます。
確認すべきポイントと切り分けの手順
エラーが発生したら、以下の順序で確認を進めると効率的です。
- 資格情報を再確認: ユーザー名(ドメイン\ユーザー名形式)とパスワードが正しいか確認します。特にドメインアカウントの場合は、ドメイン名を含めた入力が必要です。
- クライアントPCのWindows Updateを確認: 最新の更新プログラムが適用されているか確認します。特にKB4103727などのCredSSP関連の更新が不足していないか調べます。
- サーバーのNLA設定を確認: リモートデスクトップのプロパティで、「ネットワークレベル認証を使用してリモートデスクトップを実行しているコンピューターからのみ接続を許可する」のチェック状態を確認します。このチェックが外れているとNLAエラーは回避できますが、セキュリティが低下するため管理者の判断が必要です。
- ネットワーク接続の確認: クライアントからサーバーへポート3389が通るか、telnetコマンドやTest-NetConnectionで確認します。VPN経由の場合は、VPN接続の状態も確認します。
- CredSSPのレジストリ設定を確認(管理者のみ): クライアント側のレジストリキー「HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies\System\CredSSP\Parameters」にある「AllowEncryptionOracle」の値を確認します。通常は「2」但し、運用環境によっては「1」や「0」になっている場合があります。
クライアント側のCredSSP修正
もしサーバー側の更新が適用できない場合、クライアント側のレジストリを変更することでエラーを回避できることがあります。ただし、これはセキュリティを低下させるため、管理者の許可を得た上で行います。具体的には、上記の「AllowEncryptionOracle」の値を「2」に設定し、再起動します。
失敗パターンと原因の比較表
実際に発生しやすい失敗パターンを表にまとめました。自身の状況と照らし合わせてください。
| エラーメッセージ例 | 考えられる原因 | 対応策 |
|---|---|---|
| 「認証エラーが発生しました。資格情報が正しくないか、指定された資格情報が認証に使用できません。」 | CredSSPのバージョン不一致。クライアントまたはサーバーに必要な更新プログラムが未適用。 | 両方の端末に最新のWindows Updateを適用。または管理者に連絡しサーバー更新を依頼。 |
| 「リモートデスクトップ接続でネットワークレベル認証をサポートしていない可能性があります。」 | クライアントがNLAをサポートしていない(Windows XP / Vistaなど)。またはサーバー側でNLAが強制されている。 | クライアントOSをアップグレードするか、サーバー側のNLA要件を緩める(管理者判断)。 |
| 「リモートデスクトップは、次の理由のいずれかにより、リモートコンピューターに接続できません。」(詳細なし) | ファイアウォールでポート3389がブロックされている。またはサーバーが起動していない。 | ネットワーク管理者にポート開放を依頼。またはサーバーの電源状態を確認。 |
管理者に伝えるべき情報
NLAエラーが発生した際に、システム管理者へ正確に状況を伝えることで解決が早まります。以下の情報をまとめて連絡してください。
- エラーメッセージの全文(スクリーンショットがあればなお良い)
- 発生時刻と接続元のPCのホスト名またはIPアドレス
- 接続先のサーバー名またはIPアドレス
- クライアントOSのバージョン(例:Windows 10 Pro 22H2)とビルド番号
- サーバーOSのバージョン(例:Windows Server 2019)
- 行った確認内容(資格情報、Windows Update、ファイアウォール設定など)
- ネットワーク環境(社内LANかVPN経由か)
管理者はこれらの情報をもとに、サーバー側のCredSSP更新状況やグループポリシーの設定を確認します。場合によっては、クライアント側のレジストリ修正を指示されることもあります。
よくある質問(FAQ)
Q1. NLAエラーが出た場合、まず何をすればいいですか?
最初に、入力したユーザー名とパスワードが正しいか確認してください。特にパスワードの有効期限切れやアカウントのロックアウトがないか確認します。次に、クライアントPCのWindows Updateを実行し、再起動してから再試行します。
Q2. クライアントPCのレジストリを変更しても安全ですか?
AllowEncryptionOracleの値を2に変更することでNLAエラーを回避できますが、これはCredSSPのセキュリティレベルを下げる操作です。会社のセキュリティポリシーに反する可能性があるため、必ず管理者の許可を得てから行ってください。また、変更後は再起動が必要です。
会社PCでは、ファイアウォールやウイルス対策ソフトを自己判断で無効にしないでください。接続先、表示されたエラー、利用中の回線を記録し、会社のIT部門へ確認します。
会社PCでは、ファイアウォールやウイルス対策ソフトを自己判断で無効にしないでください。接続先、表示されたエラー、利用中の回線を記録し、会社のIT部門へ確認します。
まとめ
リモートデスクトップのNLAエラーは、CredSSPのバージョン不一致や設定の違いが原因で発生します。最初に資格情報とWindows Updateを確認し、問題が解決しない場合はネットワークやサーバー設定を調査します。レジストリ変更は最終手段とし、管理者の指示に従ってください。迅速な切り分けにより、リモートワークの生産性低下を防ぐことができます。
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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