リモートデスクトップで接続先のサーバーや社内PCから印刷を実行した際に、印刷ジョブがプリンターキューに残ったまま印刷完了にならないというトラブルは、意外と多くの現場で発生しています。この問題が起きると、他の印刷ジョブがブロックされたり、ユーザーが再度印刷を試みて重複ジョブが増えるなどの二次障害につながります。原因はプリンタードライバーの不整合、リモートセッションの設定、プリンターの接続方式など複数にわたるため、手順を追って切り分けることが重要です。本記事では、会社のリモートデスクトップ環境で印刷ジョブが残る場合の対処法を、原因特定から解決まで具体的に解説します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: 接続先PCのプリンターキューとイベントビューアーで、ジョブの状態やエラーコードを確認します。
- 切り分けの軸: プリンタードライバーの種類(リモートデスクトップ用かローカル用か)、プリンターの接続方式(ネットワークプリンターかUSBローカルか)、ユーザーの権限(管理者権限の有無)で原因を分類します。
- 注意点: 会社PCではドライバーの勝手な変更やプリンターの削除・追加は管理者権限が必要な場合が多く、事前にIT管理者へ確認してから作業してください。特にグループポリシーで制限されている環境では、変更が元に戻ることもあります。
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目次
印刷ジョブが接続先に残る主な原因
リモートデスクトップ経由の印刷でジョブが滞留する原因は、大きく分けて以下の3つに分類されます。それぞれの特徴を把握することで、迅速な解決につなげられます。
プリンタードライバーの不一致
最も頻繁に遭遇するのが、プリンタードライバーのバージョンや種類が接続先とローカル側で異なるケースです。リモートデスクトップはクライアント側のプリンターをリモートセッション内で利用できる「プリンターリダイレクト」機能を持ちますが、このとき接続先のWindowsに適切なドライバーがインストールされていないと、印刷データの変換に失敗してジョブがキューに残ります。特に、クライアント側が最新のドライバーを利用しているのに接続先が古いドライバーしかない場合や、32ビットと64ビットの混在環境で問題が発生しやすいです。
グループポリシーまたはレジストリの制限
会社のドメイン環境では、グループポリシーによって「プリンターリダイレクトを許可しない」設定や「特定のプリンターのみ許可」設定が適用されていることがあります。また、レジストリの”fDisablePNPPush”や”fForcePNPPush”といったキーが原因で、プリンターが正しく認識されない場合もあります。これらの設定は管理者側で一括管理されているため、ユーザーがローカルで変更しても元に戻されることに注意が必要です。
プリンタースプーラーの不具合
印刷ジョブを管理する「スプーラーサービス」が停止している、または破損している場合もジョブが残ります。リモートデスクトップセッションを長時間使い続けるとスプーラーがメモリリークを起こし、応答しなくなる事例があります。また、スプーラーサービスの依存関係にあるRPCサービスに問題が生じた場合も同様です。
原因を特定するための手順
トラブルシューティングは、まず接続先のプリンターキューを確認することから始めます。以下の手順を順番に実施し、原因を絞り込みましょう。
- プリンターキューの状態を確認する
接続先PCで「設定」→「Bluetoothとデバイス」→「プリンターとスキャナー」を開き、該当のプリンターを選択してキューを表示します。ジョブが「印刷中」や「エラー」のまま止まっているか、ドキュメント名やサイズが異常に大きいかを確認します。 - イベントビューアーでエラーを調べる
「イベントビューアー」→「Windowsログ」→「システム」を開き、ソースが「PrintService」または「TerminalServices-Printers」のエラーを探します。イベントID 372や3、20などが該当します。エラーの詳細からドライバー名やエラーコードを特定します。 - プリンタードライバーのバージョンを比較する
接続先PCで「プリンターのプロパティ」→「詳細設定」タブから現在のドライバーを確認します。同時に、ローカルPC(リモート元)の同じプリンターのドライバーバージョンと比較し、差があればドライバーを統一します。 - 印刷ジョブを強制削除して再テストする
キューに残ったジョブを右クリック→「キャンセル」するか、管理者としてコマンドプロンプトで「net stop spooler」→「del %systemroot%\system32\spool\printers\*.* /q」→「net start spooler」を実行してスプーラーを再起動します。その後、最小限のテスト印刷(メモ帳のページなど)を行い、再現するか確認します。 - プリンターリダイレクトの設定を確認する
リモートデスクトップ接続の「ローカルリソース」タブで「プリンター」欄が「このリモートセッションで使用できるプリンターを自動的に追加する」にチェックが入っていることを確認します。チェックが外れているとリダイレクトされません。また、グループポリシーで無効化されている可能性があるため、IT管理者に問い合わせます。
状況別の対処方法
原因が特定できたら、状況に応じた対処を実施します。以下の表に対処方法をまとめました。
| 状況 | 症状例 | 対処法 |
|---|---|---|
| ドライバーのバージョン不一致 | 印刷ジョブが「印刷中」のまま長時間変化しない | 接続先に最新のプリンタードライバーをインストールする。可能ならメーカー提供のUniversalドライバーを利用する。 |
| グループポリシーで制限 | ローカルプリンターがリモートセッションに表示されない、印刷してもジョブが消える | IT管理者に「プリンターリダイレクトを許可する」ポリシーの設定変更を依頼する。一時的な回避策として、接続先に直接プリンターを追加してネットワークプリンターとして利用する。 |
| スプーラーサービス異常 | すべての印刷ジョブがキューで止まる、プリンターの追加ができない | スプーラーサービスを再起動する。それでも改善しない場合は、システムファイルチェッカー(sfc /scannow)を実行後、再起動する。 |
| プリンターがオフライン状態 | 接続先から印刷しようとすると「オフライン」表示 | プリンターの電源・ネットワーク接続を確認し、接続先PCから「プリンターのプロパティ」で「オフラインで使用」のチェックを外す。 |
ドライバーの再インストール手順
ドライバー差異が原因と判明した場合、接続先PCに正しいドライバーをインストールします。手順は次の通りです。
- 接続先PCで「プリンターとスキャナー」を開き、該当のプリンターを選択して「削除」します。
- プリンターメーカーの公式サイトから、接続先OSに対応したドライバー(可能ならUniversalドライバー)をダウンロードします。
- ダウンロードしたドライバーを管理者として実行し、指示に従ってインストールします。インストール中に「プリンターの追加」ウィザードが自動起動する場合があります。
- インストール後、一度プリンターキューをクリアし、テスト印刷を行います。
- それでも問題が続く場合は、ドライバーの「プリンターのプロパティ」→「詳細設定」で「新しいプリンタードライバーを使用する」オプションが選択されているか確認します。
失敗パターンと注意点
よくある失敗パターンとして、以下のようなものがあります。これらを避けることで、無駄な作業を減らせます。
- ローカル側のプリンタードライバーを更新しても解決しない
リモートデスクトップでは、接続先のドライバーが使われるため、ローカル側の更新は効果がありません。必ず接続先のドライバーを確認しましょう。 - スプーラーを停止・再起動せずにジョブを削除しようとする
ジョブを削除してもキューがロックされていると削除できません。まずスプーラーを停止してからファイルを削除する必要があります。 - 勝手にレジストリを編集する
レジストリの誤った変更はシステム全体に影響します。特にドメイン環境ではグループポリシーで上書きされるため、管理者に依頼するのが安全です。
管理者へ確認すべき情報
IT管理者に依頼する際には、以下の情報を伝えるとスムーズです。
- 発生しているリモートデスクトップの接続元PC名と接続先PC名
- 使用しているプリンターの機種名およびドライバーバージョン(接続先とローカル両方)
- イベントビューアーで取得したエラーコード(イベントIDとエラーメッセージ)
- 現在のグループポリシーの設定状況(可能ならgpresult /h でレポートを取得)
よくある質問(FAQ)
会社PCでは、ファイアウォールやウイルス対策ソフトを自己判断で無効にしないでください。接続先、表示されたエラー、利用中の回線を記録し、会社のIT部門へ確認します。
Q. 接続先にプリンターを直接追加して使うと、リダイレクトより安全ですか?
A. ネットワークプリンターとして直接追加すれば、ドライバーの競合は減りますが、接続先の環境に依存します。また、会社によっては直接追加を禁止している場合もあるので、事前にポリシーを確認しましょう。
Q. 毎回同じプリンターで発生します。原因は特定できていますか?
A. 特定のプリンターだけ問題が起きる場合、そのプリンターのドライバーかファームウェアがリモートデスクトップ環境と相性が悪い可能性があります。メーカーに問い合わせるか、別の汎用ドライバーを試すことをおすすめします。
まとめ
リモートデスクトップの印刷ジョブが接続先に残る問題は、プリンタードライバーの不一致、グループポリシー、スプーラーの異常が主な原因です。最初にプリンターキューとイベントビューアーで症状とエラーを確認し、原因を切り分けてから対処してください。ドライバーの再インストールやスプーラーの再起動で改善するケースが多いですが、会社のポリシーが関わる場合は管理者の協力が必要です。本記事の手順を参考に、効率的にトラブルを解決してください。
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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