リモートデスクトップ接続でリモート先のアプリケーションを使用し、手元のプリンターに印刷しようとしたところ、何も起こらない、またはエラーメッセージが表示されるというトラブルは多くの会社員が経験します。このような場合、原因のひとつとして考えられるのが、グループポリシーによるプリンターリダイレクトの禁止設定です。特に企業のセキュリティポリシーが厳しい環境では、リモートデスクトップ接続時のデバイスリダイレクトが制限されていることがよくあります。本記事では、リモートデスクトップの印刷ができない問題について、会社ポリシーが原因であるかどうかを確認する方法と、その際に取るべき行動を具体的に解説します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: リモートデスクトップ接続時の「ローカルリソース」タブのプリンター設定と、接続後にデバイスとプリンターでローカルプリンターが認識されているか
- 切り分けの軸: 端末側の設定(プリンタードライバー、RDPクライアントオプション)とサーバー側の設定(グループポリシー、リモートデスクトップセッションホストの構成)のどちらに問題があるかを分けて考える
- 注意点: グループポリシーの変更は管理者権限が必要なため、自分でレジストリを書き換えたりしないこと。必ず会社のIT管理者に確認・依頼してください
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目次
リモートデスクトップ印刷ができない原因の全体像
リモートデスクトップ接続で印刷できない問題は、大きく分けて「クライアント端末の設定」「サーバー側の設定」「プリンタードライバー」「ネットワーク経路」の4つの要因に分類できます。この中で、会社ポリシーに関わるのは主に「サーバー側の設定」、特にグループポリシーによるプリンターリダイレクトの禁止です。
プリンターリダイレクトとは、リモートデスクトップセッション内でローカルのプリンターを利用できるようにする機能です。この機能がグループポリシーで無効にされていると、リモート先のアプリケーションから印刷を実行しても、データがローカルプリンターに転送されません。また、クライアント端末側で「プリンター」オプションが適切に設定されていない場合も同様の現象が発生します。
以下では、原因を特定するための具体的な確認手順を説明します。最初に、自分の端末とサーバーの設定を段階的に確認して、問題の箇所を絞り込んでください。
プリンターリダイレクトが禁止される理由とグループポリシーの仕組み
企業がプリンターリダイレクトを禁止する主な理由は、情報漏洩の防止です。リモートデスクトップ経由でサーバー上の機密データをローカルプリンターに印刷できると、紙媒体でデータを持ち出されるリスクがあります。また、プリンタードライバーの互換性問題や、サーバーへの負荷を避ける目的でも制限がかかることがあります。
グループポリシーでは、コンピューター構成とユーザー構成の両方でプリンターリダイレクトを制御できます。具体的には「管理用テンプレート」→「Windows コンポーネント」→「リモート デスクトップ サービス」→「リモート デスクトップ セッション ホスト」→「プリンター リダイレクト」のパスに「プリンター リダイレクトを許可しない」というポリシーがあります。このポリシーが「有効」になっている場合、プリンターリダイレクトは完全にブロックされます。
また、より細かい設定として、「既定のプリンターのみをリダイレクトする」や「特定のプリンターのみ許可する」といったポリシーも存在します。そのため、一部のプリンターだけ使える場合や、まったく使えない場合など、状況が異なることもあります。
リモートデスクトップのプリンターリダイレクト設定を確認する手順
ここでは、クライアント端末側の設定と、サーバー側のグループポリシー設定を確認する手順を説明します。以下の手順を順番に実行してください。
- リモートデスクトップ接続の設定を確認する
Windowsのリモートデスクトップクライアント(mstsc.exe)を起動し、接続先を入力した状態で「オプションの表示」をクリックします。「ローカルリソース」タブを開き、「プリンター」チェックボックスがオンになっていることを確認します。オフの場合はオンにして接続を試みてください。ただし、この設定だけではサーバーポリシーで上書きされる可能性があります。 - 接続後にプリンターが認識されているか確認する
リモートデスクトップに接続したら、リモートデスクトップ内で「デバイスとプリンター」を開きます。ローカルPCのプリンターが「リダイレクトされたプリンター」として表示されているか確認してください。表示されていない場合、リダイレクトが許可されていない可能性が高いです。 - グループポリシーの結果を確認する(ユーザー自身で可能な範囲)
リモートデスクトップ内で「rsop.msc」を実行します。ただし、多くの企業環境ではこのツールの実行が制限されている場合があります。実行できる場合は、「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「Windows コンポーネント」→「リモート デスクトップ サービス」→「リモート デスクトップ セッション ホスト」→「プリンター リダイレクト」を展開し、「プリンター リダイレクトを許可しない」の状態を確認します。設定が「有効」になっている場合、ポリシーで禁止されています。 - イベントログを確認する
リモートデスクトップ内でイベントビューアーを開き、「アプリケーションとサービス ログ」→「Microsoft」→「Windows」→「RemoteDesktopServices-RdpCoreTS」→「Operational」を確認します。プリンターリダイレクトに関するエラー(イベントID 140、141など)が記録されている場合、ポリシーによるブロックが疑われます。 - 管理者に連絡する前に情報を整理する
上記の手順で得られた情報(クライアントのOSバージョン、RDPクライアントのバージョン、接続先サーバーのホスト名、プリンターモデル、エラーメッセージのスクリーンショットなど)をまとめておきます。これにより、管理者が迅速に原因を特定できます。
特に手順3と手順4は、自分で実行できる範囲の確認です。rsop.mscが実行できない場合、管理者しかポリシーを確認できないため、その点を覚えておいてください。
グループポリシーで禁止されている場合の判断と具体的な対処法
rsop.mscやイベントログの確認で、プリンターリダイレクトがグループポリシーにより禁止されていることが判明した場合、自分で設定を変更することはできません。以下のような対処法を検討してください。
| 状況 | 推奨される対処法 | 注意点 |
|---|---|---|
| ポリシーで完全に禁止されている | 代替手段(ファイル保存→メール添付、クラウド印刷、共有フォルダ経由)を利用する | どうしても印刷が必要な場合は管理者にポリシー緩和を依頼(理由を明確に) |
| 既定のプリンターのみ許可されている | ローカルPCの既定プリンターを設定し直して再接続 | 管理者が許可したプリンターでないと使えない場合がある |
| ポリシーは未構成だがリダイレクトされない | クライアント側の設定(RDPオプション、ドライバー、ファイアウォール)を再確認 | ネットワークプロファイルの種類(パブリック/プライベート)も影響する場合あり |
また、代替手段としてリモートデスクトップ内でファイルに印刷(PDF出力)し、そのファイルをメールや共有フォルダでローカルに転送する方法が最も簡単です。多くのリモートデスクトップ環境では、クリップボード共有やドライブリダイレクトが許可されている場合があるため、それらを組み合わせることも検討してください。
失敗しやすいパターンとその対策
プリンターリダイレクトに関するトラブルでは、以下のような失敗パターンがよく見られます。自身の状況と照らし合わせてみてください。
- ローカルプリンターのドライバーがリモートセッションにインストールされない
リモートデスクトップは、プリンタードライバーをサーバーに動的に転送しますが、互換性のないドライバーだと失敗します。対策として、プリンターメーカーのユニバーサルドライバーを使用するか、管理者にサーバーへのドライバーインストールを依頼してください。 - リモートデスクトップ接続時に「プリンター」オプションを毎回設定するのを忘れる
特に複数の接続先を使い分けている場合、個別のRDPファイルに設定が保存されていないと、毎回手動でチェックを入れる必要があります。RDPショートカットを作成するときは、設定を保存するようにしましょう。 - グループポリシーの適用範囲を誤解する
プリンターリダイレクトのポリシーは、ユーザー単位ではなくコンピューター単位で適用されることがあります。自分には影響がないと思っていても、接続先サーバーのコンピュータポリシーでブロックされている場合があります。
管理者に伝えるべき情報と依頼のポイント
グループポリシーの変更は、IT管理者に依頼する必要があります。その際、以下の情報をまとめて伝えると、スムーズに対応してもらえます。
- いつ、どのリモートデスクトップ接続先で問題が発生したか(サーバー名、IPアドレス)
- ローカルPCのOSとプリンターモデル(例:Windows 11 Pro、Canon LBP621C)
- リモートデスクトップクライアントのバージョン(mstscのバージョン、またはWindows 10/11のビルド番号)
- 具体的なエラーメッセージや現象(例:「デバイスとプリンターにプリンターが表示されない」「印刷ダイアログでプリンターが選択できない」)
- 自分で確認した設定(RDPオプションのプリンターチェックの有無、rsop.mscの結果など)
また、依頼する際には「業務上どうしても印刷が必要な理由」を明確に伝えることが重要です。セキュリティポリシーを緩和するには、リスクとメリットのバランスを管理者が判断する必要があります。必要に応じて、代替手段では対応できない理由を説明してください。
よくある質問
Q1. VPN経由でリモートデスクトップ接続する場合も、ポリシーの影響を受けますか?
はい、VPNの有無に関係なく、リモートデスクトップセッションのグループポリシーは接続先サーバーで適用されます。VPNはネットワーク経路の確保に過ぎず、プリンターリダイレクトの許可には直接関係しません。
Q2. プリンターリダイレクトが禁止されていても、クリップボード経由でデータをコピーして印刷できますか?
クリップボードのリダイレクトが許可されている場合は、テキストや画像をリモートからローカルにコピーして印刷することは可能です。ただし、大量のデータやフォーマットが保持できない場合があるため注意してください。
Q3. 管理者にポリシー緩和を依頼した場合、どれくらいの期間で対応してもらえますか?
環境によりますが、セキュリティレビューや承認プロセスが必要なため、数日から1週間程度かかることが一般的です。緊急の場合は、一時的な例外設定を依頼することも検討してください。
まとめ
リモートデスクトップの印刷ができない問題は、まずクライアント側のRDP設定を確認し、それでも解決しない場合はグループポリシーによるプリンターリダイレクトの禁止を疑います。rsop.mscやイベントログでポリシーの状態を確認し、禁止されている場合は自分で変更せず、管理者に状況を伝えて適切な対処を依頼することが重要です。代替手段としてファイル出力やクラウド印刷を活用することも検討しましょう。原因を正しく切り分けることで、無駄な作業を減らし、迅速に業務を再開できます。
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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