会社のSharePointサイトをモバイル端末で利用していると、複数のアカウント(例えば本番環境とテスト環境、複数のテナント)を行き来する必要が生じることがあります。スマートフォンやタブレットのSharePointアプリでは、アカウントの切り替え機能が標準で備わっていますが、操作方法が分かりにくかったり、切り替えがうまくいかないケースも少なくありません。特に会社の管理ポリシーによってアカウントの追加が制限されている場合、自分で設定を変更する前に管理者へ確認すべきポイントがあります。本記事では、SharePointモバイルアプリで会社アカウントを切り替える具体的な手順から、切り替えに失敗する原因と対策、管理者に確認すべき設定事項までを詳しく解説します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: SharePointアプリの設定画面から「アカウント」セクションを開き、現在のアカウント状態を確認します。アプリ内でサインアウトして別のアカウントでサインインするのが基本です。
- 切り分けの軸: 端末側の問題(アプリのキャッシュやOSのキーチェーン、資格情報)、アカウント側の問題(サインイン情報の不一致、ライセンス不足)、管理設定側の問題(Intuneポリシー、条件付きアクセス、多要素認証の要求)の3つに分けて原因を特定します。
- 注意点: 会社のモバイルデバイス管理(MDM/MAM)ポリシーによっては、アカウントの追加や削除が制限されている場合があります。勝手にアプリをアンインストールしたり、OSレベルの資格情報を削除すると、他の業務アプリにも影響が出る恐れがあるため、まずは管理者に連絡してから対応しましょう。
ADVERTISEMENT
目次
SharePointモバイルアプリ(iOS/Android)では、一度サインインしたアカウントをアプリ内で保持しながら、別のアカウントを追加して切り替えることができます。ただし、全てのアプリで複数アカウントが同時に使えるわけではなく、切り替えにはサインアウトと再サインインが必要な場合もあります。以下、標準的な手順をご紹介します。
アプリ内でアカウントを追加する方法
SharePointアプリでは、設定メニューからアカウントの追加と切り替えが行えます。以下の手順に従って操作してください。
- SharePointアプリを起動し、画面左上のプロフィールアイコン(またはハンバーガーメニュー)をタップします。
- メニュー下部の「設定」をタップし、設定画面を開きます。
- 設定画面の「アカウント」セクションにある「アカウントの追加」をタップします。既に別のアカウントでサインインしている場合は、「サインアウトして別のアカウントでサインイン」というオプションが表示されることもあります。
- 会社のメールアドレス(例:user@company.com)を入力し、「次へ」をタップします。組織のサインインページにリダイレクトされるので、パスワードと多要素認証(MFA)を求められたら入力します。
- サインインが完了すると、アカウントが追加され、アプリのトップ画面に戻ります。プロフィールアイコンをタップすると、追加したアカウントの一覧が表示され、任意のアカウントをタップすることで切り替えられます。
手順通りに進めてもアカウントが追加できない場合、後述するトラブルシューティングを参照してください。
現在のアカウントからサインアウトして切り替える
アカウント追加機能が使えない、または複数アカウントを同時に保持したくない場合は、一度サインアウトしてから目的のアカウントでサインインし直す方法もあります。
- SharePointアプリの設定画面を開き、「アカウント」セクションで現在のアカウントを選択します。
- 「サインアウト」をタップし、確認画面で「サインアウト」を選択します。
- アプリがサインアウト状態になり、サインインページが表示されます。目的の会社アカウント(別のテナントのアカウントなど)のメールアドレスとパスワードを入力してサインインします。
- サインイン後、該当アカウントのSharePointサイト一覧が表示されれば切り替え完了です。
なお、サインアウトするとアプリに保存されていたオフラインファイルやキャッシュが削除される場合があります。重要なファイルは事前にダウンロードするなどしてご注意ください。
アカウント切り替え後のトラブルシューティング
切り替え後にサイト一覧が表示されない、ファイルが開けないなどの不具合が発生することがあります。その場合は以下のポイントを確認してください。
- アプリのキャッシュをクリアする: iOSでは「設定」→「SharePoint」→「キャッシュをクリア」、Androidでは「設定」→「アプリ」→「SharePoint」→「ストレージ」→「キャッシュを削除」で古いデータを削除できます。
- OSのキーチェーンから古い資格情報を削除する: iOSの「設定」→「パスワード」、Androidの「設定」→「アカウント」から該当アカウントを削除すると、アプリが新しい資格情報を要求するようになります。
- アプリを一度アンインストールして再インストールする: 上記の方法で改善しない場合、最終手段としてアプリを削除し、App Store/Google Playから再インストールしてからサインインし直します。
失敗パターンとして、古いアカウントのトークンが残ったまま新しいアカウントでサインインしようとすると、認証エラー(AADSTS50020など)が発生することがあります。この場合はOSの資格情報ストアから該当テナントのエントリをすべて削除してから再試行すると改善します。
アカウント切り替えができない場合の原因と解決策
SharePointモバイルアプリでアカウント切り替えがうまくいかない原因は、端末側、アカウント側、管理設定側の3つに大別できます。それぞれ具体的な症状と解決策を解説します。
端末側の問題
端末のキャッシュやOSの資格情報が原因で切り替えができないケースです。例えば、以前サインインしたアカウントのトークンがアプリやシステムに残っていると、新しいアカウントの認証時に競合が発生します。解決策として、以下の手順を試してください。
- iOSの場合:設定アプリを開き、「パスワード」→「自動入力とパスワード」でSharePoint関連のエントリを探して削除します。
- Androidの場合:設定アプリの「アカウント」から会社のMicrosoftアカウント(Work or school account)を選択し、「アカウントを削除」を実行します。
- SharePointアプリのキャッシュをクリア(前述)した後、端末を再起動してから再度アカウント切り替えを試みます。
これらの操作を行っても改善しない場合、アプリをアンインストールし、端末の設定から一時ファイルも消去してから再インストールすることを検討してください。
アカウント側の問題
サインイン先のSharePointサイトのURLが間違っている、アカウント自体が無効化されている、ライセンスが割り当てられていないなど、アカウントそのものに問題がある場合です。以下の項目をチェックしてください。
- サインイン時に「ユーザーが見つかりません」と表示される場合は、メールアドレスが正しいか確認します。テナントによってはドメインが異なる場合もあります。
- 「ライセンスがありません」というエラーが出る場合、管理者にSharePoint Onlineライセンスの割り当てを依頼してください。
- 多要素認証(MFA)が有効なアカウントでは、正しい認証方法(アプリの通知、SMS、電話など)を選択しているか確認します。
管理設定側の問題
会社のモバイルデバイス管理(Microsoft Intuneなど)によって、アカウントの追加や切り替えが制限されている場合があります。具体的には、条件付きアクセスで「アプリ保護ポリシー」が適用されていると、SharePointアプリから他のテナントのアカウントにサインインできません。また、Intuneの「Managed App Configuration」で許可されたアカウントのみが使用できるように設定されていることがあります。この場合、エラーメッセージに「このアプリは組織によって管理されています」と表示されることが多いです。解決策としては、管理者にポリシーの変更を依頼するか、管理者が提供する別の方法(ブラウザ版の利用や別のモバイルアプリの使用)を検討してください。
| 原因カテゴリ | 主な症状 | 推奨される解決策 |
|---|---|---|
| 端末側(キャッシュ・資格情報) | アカウント追加ボタンが反応しない、認証ループ、エラーコードAADSTS50020 | OSの資格情報削除 → アプリキャッシュクリア → 端末再起動 |
| アカウント側(ライセンス・MFA) | 「ユーザーが見つかりません」「ライセンスがありません」 | メールアドレス確認、管理者にライセンス割り当て依頼、MFA設定確認 |
| 管理設定側(Intuneポリシー) | 「このアプリは組織によって管理されています」エラー、アカウント追加がグレーアウト | IT管理者にポリシー変更を依頼、またはブラウザ版を使用 |
モバイルデバイス管理(Intune)がアカウント切り替えに与える影響
多くの企業では、モバイル端末をMicrosoft IntuneなどのMDM/MAMで管理しています。これによりSharePointモバイルアプリの動作が制限されることがあり、アカウント切り替えにも影響します。
Managed App Configurationによる制限
Intuneでは「アプリ保護ポリシー」と「アプリ構成ポリシー」を設定できます。アプリ構成ポリシーで許可されたアカウント(テナント)のみがSharePointアプリで使用可能になるため、他のテナントのアカウントを追加しようとしてもエラーになります。また、アプリ保護ポリシーで「アカウントの追加」を禁止する設定も可能です。このような制限がかかっている場合、アプリの設定画面に「アカウントの追加」オプション自体が表示されない、またはタップできない状態になります。
管理者に確認すべき事項
アカウント切り替えに問題が発生した場合、IT管理者に以下の点を問い合わせるとスムーズです。
- SharePointモバイルアプリでの複数アカウント利用が許可されているか。
- Intuneのアプリ構成ポリシーで許可されているテナントIDは何か。
- ブラウザ版(SafariやChromeからOffice 365ポータルにアクセス)でのアカウント切り替えは可能か。
- 別のモバイルアプリ(Microsoft EdgeやOfficeモバイル)を介してSharePointにアクセスする代替手段があるか。
管理者は条件付きアクセスポリシーやアプリ保護ポリシーを一時的に緩和できる場合があります。ただし、セキュリティリスクを伴うため、必ず正当な理由を伝えてから依頼してください。
アカウント切り替え方法の比較表:iOS vs Android
iOSとAndroidでは、資格情報の管理方法やアカウント切り替えの手順に若干の違いがあります。以下の表で比較します。
| 項目 | iOS | Android |
|---|---|---|
| アカウント追加の基本手順 | プロフィールアイコン→設定→アカウント→「アカウントの追加」 | ハンバーガーメニュー→設定→アカウント→「アカウントの追加」 |
| OSの資格情報削除方法 | 設定→パスワード→該当エントリを削除 | 設定→アカウント→「Work or school account」→アカウントを削除 |
| キャッシュクリア | 設定アプリ→SharePoint→キャッシュをクリア(アプリ内設定にもあり) | 設定→アプリ→SharePoint→ストレージ→キャッシュを削除 |
| 制限の厳しさ(Intune管理下) | iOSのManaged Open In機能により、別テナントへのアクセスが制限されやすい | AndroidのWork Profile機能で個人領域と仕事領域が分離されることがある |
| ブラウザ版での代替 | SafariでOffice 365にアクセスし、ユーザー切り替えを利用可能 | ChromeでOffice 365にアクセスし、ユーザー切り替えを利用可能 |
iOSではキーチェーンがアプリ間で共有されるため、一度削除した資格情報が別のMicrosoftアプリ(Outlookなど)にも影響を与えることがあります。Androidではアカウント管理がOSレベルで一元化されているため、SharePointアプリだけでなく他のアプリも連動して切り替わる場合があります。
よくある質問(FAQ)
ここでは、SharePointモバイルでのアカウント切り替えに関するよくある質問とその回答をまとめました。
A. これはIntuneのアプリ保護ポリシーによって「アカウントの追加」が禁止されている可能性が高いです。IT管理者に確認し、ポリシーの緩和を依頼するか、ブラウザ版でのアクセスを検討してください。
Q2. アカウントを追加しようとすると「この操作は許可されていません」と表示されます。
A. 条件付きアクセスポリシーによって、指定されたアカウント以外でのサインインがブロックされています。管理者に、追加したいアカウントのテナントを許可リストに追加してもらう必要があります。
Q3. アカウントを切り替えた後、以前のアカウントのファイルが残っています。削除しても安全ですか?
A. アプリ内のオフラインファイルは各アカウントごとに管理されています。アカウントを削除するかサインアウトすると、そのアカウントのオフラインファイルも削除されます。サーバー上のファイルは影響を受けないので、端末のストレージを節約したい場合は削除して問題ありません。
A. SharePointアプリは基本的に職場または学校アカウント専用です。個人アカウントでSharePoint(OneDrive)にアクセスするには、OneDriveアプリやMicrosoft 365アプリ(旧Officeアプリ)を使用してください。ただし、会社の管理ポリシーによっては個人アカウントの追加が制限される場合があります。
Q5. アカウント切り替え後、特定のサイトだけ読み込みに時間がかかります。
A. そのサイトが別のリージョンに存在する場合や、大量のデータを同期している場合に発生することがあります。ネットワーク環境を確認し、Wi-Fi接続を試すか、アプリのキャッシュをクリアして再試行してください。改善しない場合はサイトコレクションの管理者に問い合わせることも検討しましょう。
まとめ
SharePointモバイルアプリでの会社アカウント切り替えは、基本的には設定メニューからのアカウント追加またはサインアウト→再サインインで行えます。ただし、Intuneなどのモバイルデバイス管理ポリシーによって機能が制限されている場合、自分だけで解決するのは難しいため、管理者の協力が必要です。切り替えに失敗した場合は、端末のキャッシュやOSの資格情報をクリアすることで改善することが多いので、まずはその方法を試してみてください。ブラウザ版の利用も代替手段として有効です。本記事の手順を参考に、業務効率を向上させてください。
超解決 リモートワーク研究班
Microsoft 365の導入・保守を専門とするエンジニアグループ。通信障害やサインイン不具合など、ビジネスインフラのトラブル対応に精通しています。
Office・仕事術の人気記事ランキング
- 【神技】保存せずに閉じたExcel・Wordファイルを復元する!消えたデータを復活させる4つの救出法
- 【Outlook】添付ファイルが「Winmail.dat」に化ける!受信側が困らない送信設定
- 【Word】差し込み印刷で数字の桁を整える!金額にカンマ(桁区切り)を入れる設定
- 【Teams】メッセージを「保存済み」にして後で読む!重要なチャットをブックマークして整理する技
- 【Excel】文字が入っているセルの「個数」を数える!COUNTA関数の簡単な使い方
- 【Word】校閲機能の基本!赤字(変更履歴)とコメントで修正を見える化する
- 【PDF】PDFに入力した文字の「フォント・サイズ・色」を変更するプロパティ設定
- 【Copilot】「サービスに接続できません」エラーの原因切り分けと対処法
- 【Outlook】予定表の「祝日」が表示されない!最新カレンダーの追加と二重表示の修正手順
- 【Teams】画面共有時に「音声」も共有する方法!音が流れない時の設定手順
