社内ネットワークで古いNASにアクセスしようとしたところ、「\\192.168.x.x\share にアクセスできません」と表示された経験はないでしょうか。新しいNASや他のPCには問題なく接続できるのに、特定の古いNASだけ接続できない場合、SMBプロトコルのバージョン違いが原因であることがほとんどです。本記事では、Windows PCから古いNASに接続できない原因を特定し、安全に対処する方法を解説します。また、管理者として適切な判断を下すためのポイントも紹介します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: エラーメッセージの内容(例:0x80070035、0x80004005)と、NASの型番・ファームウェアバージョン
- 切り分けの軸: Windows側のSMBバージョン設定(SMB1が無効か)、NAS側のSMB対応状況(SMB1のみか)、ネットワーク接続の基本(pingが通るか)
- 注意点: SMB1の有効化はセキュリティリスクが伴うため、恒久的な利用は避け、必要最小限の期間で代替手段を検討すること
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目次
なぜ古いNASだけ接続できないのか:SMBプロトコルのバージョン問題
Windowsのファイル共有にはSMB(Server Message Block)プロトコルが使われています。Windows 10/11ではセキュリティ向上のため、古くて脆弱なSMB1(SMB 1.0/CIFS)が標準で無効化されています。一方、2000年代後半から2010年代前半に発売されたNASの多くはSMB1のみに対応しており、SMB2/3に対応していません。そのため、Windows側がSMB2/3で接続を試みてもNASが応答できず、接続に失敗します。
SMB1とSMB2/3の違い
SMB1はWindows NT時代から使われている古いプロトコルで、暗号化や認証の仕組みが脆弱です。2017年にWannaCryランサムウェアがSMB1の脆弱性を悪用したことで、MicrosoftはSMB1の無効化を強く推奨しています。SMB2(Windows Vista以降)やSMB3(Windows 8/Server 2012以降)は、暗号化、署名、パフォーマンス改善などが追加され、安全性が大幅に向上しました。古いNASがSMB1しかサポートしていない場合、Windows側でSMB1を有効にしない限り接続できません。
Windows 10/11でのSMB1無効化の影響
Windows 10(バージョン1709以降)およびWindows 11では、SMB1はデフォルトで無効です。クリーンインストールしたPCや、更新プログラムを適用したPCでは、SMB1がインストールされていないこともあります。この状態でSMB1しか使えないNASにアクセスすると、「ネットワークエラー」「アクセス権限がない」「0x80070035 ネットワークパスが見つかりません」といったエラーが発生します。
接続できないときの確認手順
問題を切り分けるために、以下の手順を順に確認してください。
- エラーメッセージを記録する:エクスプローラやコマンドプロンプトで表示されるエラーコードをメモします。代表的なものに「0x80070035」「0x80004005」「0x80070043」などがあります。
- pingでNASのIPアドレスまたはホスト名に応答があるか確認する:コマンドプロンプトで
ping NASのIPアドレスを実行。応答があればネットワーク接続は正常です。 - NASの管理画面にアクセスしてSMB設定を確認する:NASのベンダーによって異なりますが、通常は管理ツールの「ファイル共有」や「SMB」セクションで、有効になっているSMBバージョンを確認できます。SMB1しか表示されない場合は、SMB1のみ対応の可能性が高いです。
- WindowsのSMB1機能が有効か確認する:「コントロールパネル」→「プログラムと機能」→「Windowsの機能の有効化または無効化」で「SMB 1.0/CIFS ファイル共有のサポート」のチェック状態を確認します。チェックがなければ無効です。
- PowerShellでSMBプロトコルの状態を確認する:管理者としてPowerShellを開き、
Get-SmbServerConfiguration | Select EnableSMB1Protocol, EnableSMB2Protocolを実行。EnableSMB1ProtocolがFalse、EnableSMB2ProtocolがTrueなら、SMB1が無効でSMB2/3が有効です。 - 他のPCから同じNASに接続できるか試す:別のWindows PCや、Mac、Linuxからアクセスしてみます。もし接続できるPCがあれば、そのPCのSMB設定を比較すると原因が絞り込めます。
対処法:SMB1を有効にする方法
古いNASがどうしてもSMB1しかサポートしておらず、NAS自体のファームウェアアップデートでSMB2/3対応が不可能な場合、Windows側でSMB1を一時的に有効にする方法があります。ただし、セキュリティリスクを理解した上で実施してください。
Windowsの機能の有効化(コントロールパネル)
- 「コントロールパネル」を開き、「プログラムと機能」をクリックします。
- 左側の「Windowsの機能の有効化または無効化」をクリックします。
- 一覧から「SMB 1.0/CIFS ファイル共有のサポート」を見つけ、チェックを入れます。必要に応じて「SMB 1.0/CIFS 自動削除」や「SMB 1.0/CIFS サーバー」も展開してすべてチェックします。
- 「OK」をクリックし、再起動を求められたら再起動します。
- 再起動後、再度NASにアクセスしてみてください。
PowerShellでの有効化
- PowerShellを管理者として開きます。
- 次のコマンドを実行します:
Set-SmbServerConfiguration -EnableSMB1Protocol $true -Force - 変更を有効にするために再起動します:
Restart-Computer - 再起動後、接続を確認します。
注意点:セキュリティリスク
SMB1は既知の脆弱性が多数あり、WannaCryのようにネットワーク全体に感染を拡大するリスクがあります。そのため、SMB1を有効にするのはあくまで暫定措置としてください。可能であれば、以下の代替手段を検討すべきです。
対処法の比較表
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| WindowsでSMB1を有効化 | すぐに接続できる、追加コスト不要 | セキュリティリスク大、恒久的利用不向き |
| NASのファームウェア更新 | SMB2/3対応で安全、パフォーマンス向上 | ベンダーがサポート終了している場合不可 |
| NASの買い替え | 最新機能・高速・安全 | コストがかかる、導入期間が必要 |
| 別の共有プロトコル利用(FTP、WebDAVなど) | NASの機能次第で安全 | 設定が複雑、Windowsとの親和性低い |
失敗パターンと注意点
セキュリティポリシーでブロックされている場合
会社のPCでは、グループポリシーまたはセキュリティソフトによってSMB1の有効化が禁止されていることがあります。その場合、管理者権限がなければ変更できません。また、仮にSMB1を有効にしても、ネットワーク全体でSMB1トラフィックがブロックされていると接続できません。まずは管理者に確認してください。
NAS側の設定が原因の場合
NAS自体でSMBが無効になっていたり、ファイアウォールでブロックされている可能性もあります。例えば、BUFFALOの古いNAS(LS-VLシリーズなど)では、初期設定でSMB1のみ対応し、かつ工場出荷状態ではSMBが無効になっているケースがあります。NASの管理画面でSMBを有効にし、適切なワークグループ設定がされているか確認してください。
管理者に確認すべきこと
- SMB1の使用に関するセキュリティポリシー:社内でSMB1の使用を禁止しているか、例外として許可できるかを確認します。
- NASのリプレース計画:古いNASのサポート期限や、新しいNASへの移行計画があるかどうかを確認します。
- 代替アクセス手段の提供:社内で利用できるファイルサーバーやクラウドストレージへの移行が可能か検討してもらいます。
- SMB1有効化の一時的な許可:どうしても古いNASを使い続ける必要がある場合、そのPCをネットワーク分離するなど、リスクを最小化する対策を協議します。
よくある質問(Q&A)
Q1. SMB1を有効にした後、セキュリティリスクを減らす方法はありますか?
A. 該当PCをインターネットから隔離し、社内ネットワークでも信頼できる端末だけに限定してください。また、使用後は速やかにSMB1を無効に戻すことを推奨します。
Q2. NASのファームウェアを更新すればSMB2/3に対応しますか?
A. ベンダーによって異なります。例えば、QNAPの一部機種はファームウェア更新でSMB2/3対応になりますが、Synologyの古い機種(DS200jなど)はハードウェア制限で対応しないことがあります。メーカーのサポートページで確認してください。
Q3. エラーコード 0x80070035 が表示されますが、SMB1以外に原因はありますか?
A. はい。ネットワークケーブルの断線、ファイアウォール設定、DNS解決の問題なども考えられます。まずはpingとNAS管理画面へのアクセスを確認し、切り分けてください。
Q4. Windows 11でも同じ現象が起きますか?
A. はい。Windows 11でもSMB1はデフォルト無効のため、同じ現象が発生します。対処法も同じです。
まとめ
古いNASに接続できない原因の多くは、Windows側でSMB1が無効になっていることです。まずはエラーメッセージとNASのSMB対応状況を確認してください。SMB1を有効にすれば一時的に接続できますが、セキュリティリスクを伴うため、恒久的な解決策としてはNASの買い替えや代替プロトコルの利用を推奨します。管理者と相談の上、適切な対応を取ってください。
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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