数千行におよぶ顧客名簿や商品リストを作成している際、最も恐ろしいのが「データの重複」です。同じ顧客に二度メールを送ってしまったり、在庫数を読み間違えたりする原因になります。目視で探すのは非効率なだけでなく、必ず見落としが発生します。Excelの標準機能である「重複の削除」と、削除前に確認するための「条件付き書式」、そして最新の「UNIQUE関数」を使い分け、完璧なデータ整理を行う手順を解説します。
- ⏱ 解決時間: 2分
- 💻 対象ツール: Excel 全バージョン / Google スプレッドシート
- 🛠 難易度: 初級〜中級(削除前の確認が重要)
- ✅ 期待効果: データ精度の向上、集計ミスの根絶、整理作業の大幅な時短
目次
1. 重複データを扱う際の鉄則:いきなり削除しない
Excelには「重複の削除」という便利なボタンがありますが、いきなり実行してはいけません。なぜなら、似たような名前の別人が消えてしまったり、どのデータが消されたのか後から追跡できなくなったりするからです。
正しい手順: 「見つける(色付け)」 > 「確認する」 > 「削除する」 の3ステップを踏むのが、プロのデータ整理術です。
2. 手順①:条件付き書式で「重複を可視化」する
まずは、どこに同じデータがあるのかを浮き彫りにしましょう。
- 重複をチェックしたい列(例:メールアドレス列)を選択します。
- [ホーム] タブ > [条件付き書式] をクリックします。
- [セルの強調表示ルール] > [重複する値] を選択します。
- 「OK」を押すと、重複しているセルが赤く色付けされます。
これで、どの行がダブっているのかが一目で分かります。この状態で、本当に消して良いデータかどうかをスクロールして確認してください。
3. 手順②:「重複の削除」ボタンで一括クリーンアップ
確認が済んだら、ワンクリックで重複を排除します。
- データ内の任意のセルをクリックします。
- [データ] タブ > [重複の削除] をクリックします。
- 列のリストが表示されます。「氏名」と「電話番号」の両方が一致する場合のみ消したい、といった場合は両方にチェックを入れます。
- [OK] を押すと、重複分が削除され、何件削除されたかの通知が表示されます。
4. 手順③:UNIQUE関数で「抽出」する(Office 365 / 2021以降)
元のデータを壊さずに、別な場所に「重複を除いたリスト」を新しく作りたい場合に最強の方法です。
- 数式:
=UNIQUE(A2:A100)
これを入力するだけで、範囲内から重複を省いた綺麗なリストが自動で作成されます。元データが更新されれば、抽出リストもリアルタイムで更新されるため、管理台帳の作成に非常に便利です。
5. 手法別の使い分けガイド
| 手法 | メリット | 適したシーン |
|---|---|---|
| 条件付き書式 | 消さずに確認だけできる | 入力ミスを探したいとき |
| 重複の削除 | 一括でデータ量を減らせる | 完成した名簿を清書するとき |
| UNIQUE関数 | 元データを残したまま動的に抽出 | 分析用のマスタデータを作るとき |
まとめ:バックアップを取ってから実行しよう
重複削除は便利な反面、一度実行してファイルを保存してしまうと、消えたデータは二度と戻りません。作業を開始する前に、必ず Ctrl + S(保存) を押すか、シートのコピーを取っておくことを強くお勧めします。正しく使いこなせば、Excelはあなたの「最強の秘書」となり、不正確なデータに悩まされる日々を終わらせてくれるでしょう。
