BeyondTrustは2026年10月15日、遠隔支援製品Remote Support(RS)の重大な脆弱性について、修正パッチと実際の悪用を公表しました。識別番号はCVE-2026-102764、アドバイザリーはBT26-05です。自社でRSを運用する企業は、サービスにログインできるかだけでなく、パッチ適用状況を優先して確認してください。
これは全利用者が接続できなくなったという障害情報ではありません。SaaS版と自社運用版では、更新を担当する主体も異なります。10月18日時点の公式情報をもとに、対象と管理者の対応を整理します。
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【要点】自社運用版は、バージョンだけでなくパッチの適用を確認
- RSの26.2.3以前が対象。深刻度はCritical、CVSS v4スコアは9.3です。
- 24.3.1~26.2.3向けの修正はBT26-05-RS。さらに古い版は、パッチを適用できる版への更新が必要です。
- RSのSaaS版は、提供元が10月9日までに全利用者への修正適用を完了したと説明しています。
- Privileged Remote Access(PRA)には予防的なパッチが提供されていますが、RSと同じ悪用が確認されたとはされていません。
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製品・運用形態ごとの対象と対応
まず、契約や管理台帳で製品名と運用形態を確認してください。社内から使っているというだけで「自社運用版」とは限りません。社内IT担当者が提供元や運用委託先と照合します。
| 利用環境 | 公式案内の内容 | 管理者が確認すること |
|---|---|---|
| 自社運用RS 24.3.1~26.2.3 | BT26-05-RSパッチの対象 | 適用履歴。自動更新を利用していない場合は手動適用 |
| 自社運用RS 24.3.1より前 | 先に新しい版への更新が必要 | 更新経路を公式手順で確認し、パッチを適用できる状態にする |
| RS SaaS | 10月9日までに提供元が全環境へパッチ適用済み | 利用環境への個別通知。利用者による同じパッチの手動適用は不要 |
| 自社運用PRA | 共通コードへの予防的パッチを提供し、速やかな適用を推奨 | PRA用の案内に従って適用。RS用のパッチ名・版条件をそのまま当てはめない |
RSの正式な対象と修正条件はBeyondTrustのセキュリティ勧告BT26-05、PRAへの予防的対応はBeyondTrustの調査・対策説明に記載されています。
どのような脆弱性で、悪用はいつ起きたのか
RSの内部メッセージ処理で送信元の検証が不十分なため、条件がそろうと、遠隔の攻撃者が装置上でファイル操作を行える問題です。画面が正常に開くことは、この問題への対策が済んでいる証拠にはなりません。
提供元が公表した経緯では、8月29日にホスト型RSの1環境と自社運用RSの1環境が攻撃を受けました。その後、9月28日にホスト型環境で侵害を発見し、10月8日にパッチを提供、10月15日に公表しています(日付は提供元の表記)。公表日が攻撃の発生日ではない点に注意してください。
PRAについては、共通コードを持つことから予防的な修正が行われています。提供元の内部検証では同じ脆弱性を悪用する方法は特定されていませんが、自社運用PRAの利用者にもパッチを速やかに適用するよう推奨しています。悪用方法が特定されていないことを理由に、更新を見送らないでください。
自社運用環境の管理者が進める確認
- 対象装置を洗い出す:製品名、導入先、バージョン、運用担当者を管理台帳にまとめます。委託先が運用している環境も含め、誰が更新するかを明確にしてください。
- 修正の適用履歴を確認する:自動更新が有効という設定だけで完了と判断せず、対象パッチが実際に適用されたかを確認します。古い版は、先に必要なバージョン更新を行います。
- 未適用なら更新作業を優先する:バックアップと業務への影響を確認し、提供元の適用手順で進めます。遠隔支援を利用している部門には作業予定を共有してください。
- 適用後に通常業務を確認する:許可されたテスト用接続でログイン・遠隔支援・記録の保存を確認します。業務確認と侵害の有無の調査は、別々の確認事項として残します。
RSの管理機能は、装置側の設定を扱う/applianceと、ユーザー・セッションなどを扱う/loginで役割が分かれています。普段使う担当者向け画面だけで判断せず、装置を管理する権限のある担当者が確認してください。構成はB Series Applianceの公式セキュリティ資料で説明されています。
不審な操作があった場合は、更新だけで終えない
提供元は、見覚えのない管理者セッション、無断のアカウント・権限変更、ログ転送の不自然な途切れなどを確認するよう案内しています。パッチは脆弱性を修正するもので、過去の侵害や認証情報の流出まで取り消すものではありません。
管理者は、装置内の記録だけでなく、外部のログ保管先やSIEMの記録も確認してください。RSではログインや設定変更などをsyslogで記録できます。公式syslogガイドでは、/appliance → Security → Appliance AdministrationのSyslog項目から転送先を設定する手順が案内されています。既に転送している環境では、設定の有無に加えて受信側に記録が届いているかを確認します。
侵害が疑われる記録が見つかった場合は、社内のセキュリティ担当者へ直ちに連絡し、担当者の判断で封じ込めと証拠の保全を進めてください。調査の完了を待って、進行中の被害への対応を遅らせないことが重要です。提供元は、侵害の証拠がある場合、装置が保存・利用した認証情報の変更や、再構築前のイメージ保存を案内しています。慌ててログを消したり、証拠を残さず初期化したりしないでください。
一般の利用者が取る対応
遠隔支援を受ける側の社員は、会社からの案内を確認し、普段と違う接続依頼や不審な操作を見たら、日時と相手の表示名をIT担当者へ伝えてください。管理者向けパッチを自分のPCに入れたり、会社指定の遠隔支援ソフトを独断で削除したりする必要はありません。
「脆弱性対策」を名目にしたメールやチャットから、知らない相手に遠隔操作を許可しないことも大切です。更新依頼は、社内で使っている正規の連絡経路で確認してください。
まとめ
BT26-05は、RSの自社運用環境で修正状況を急いで確認すべき脆弱性情報です。管理者は対象の版とパッチ履歴を照合し、必要な更新を進めてください。不審な記録がある場合は、パッチ適用だけをもって対応完了とせず、証拠の保全と侵害調査を行います。
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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