「壊れたPCから取り出したHDDを新しいPCに繋いだら、フォルダを開こうとするたびに『アクセスが拒否されました』と怒られる」「自分のファイルなのに『このフォルダーへアクセスする許可がありません』と言われて中身が見られない」……。
管理者(Administrator)であるはずの自分がなぜ? とイライラしますが、これはWindowsのセキュリティ機能が正しく働いている証拠です。
そのフォルダの「持ち主(所有者)」の名義が、前のパソコンのユーザー情報のままになっているため、今のパソコンのあなたが「部外者」扱いされているのです。
この記事では、フォルダの名義を現在のユーザーに書き換える「所有権の取得」を行い、ロックされたデータを自由に開けるようにする手順を解説します。
目次
手順1:【GUI編】プロパティから「所有者」を変更する
マウス操作で設定する方法です。手順が多いですが、最も確実な正規の方法です。
- 開けないフォルダ(またはドライブそのもの)を右クリックし、[プロパティ] を選びます。
- 上部の [セキュリティ] タブをクリックし、右下の [詳細設定] ボタンを押します。
- 「セキュリティの詳細設定」画面が開きます。上の方にある「所有者:」の横の [変更] という青い文字をクリックします。
ユーザーの指定
- 「ユーザーまたはグループの選択」という画面が出ます。
- 下の大きな入力欄に
Everyone(すべての人)と入力し、[名前の確認] ボタンを押します。
(※下線が引かれればOKです。自分だけにしたい場合は自分のユーザー名を入れてください) - [OK] を押して画面を閉じます。
サブフォルダへの適用(重要)
- 詳細設定画面に戻りますが、所有者が「Everyone」に変わっているはずです。
- そのすぐ下に出現した [サブコンテナーとオブジェクトの所有者を置き換える] にチェックを入れます。
(※これを忘れると、フォルダの中身がまだロックされたままになります) - [適用] ボタンを押します。
- 「所有権を取得しました〜」というメッセージが出たら [OK] で閉じます。
一度すべてのプロパティ画面を閉じてから、フォルダが開けるか試してください。
手順2:まだ開けない場合の「アクセス許可」追加
所有者を変えても「アクセス許可」がない場合があります。続けて以下の設定を行います。
- 再びフォルダの [プロパティ] > [セキュリティ] > [詳細設定] を開きます。
- 左下の [追加] ボタンを押します。
- [プリンシパルの選択] をクリックし、先ほどと同様に
Everyoneと入力して [OK] します。 - 「基本のアクセス許可」のリストで [フル コントロール] にチェックを入れます。
- [OK] を押して戻ります。
- 詳細設定画面の下にある [子オブジェクトのアクセス許可エントリをすべて置き換える] にチェックを入れます。
- [適用] > [はい] > [OK] で閉じます。
これで完全に「誰でも読み書き自由」な状態になりました。
手順3:【時短ワザ】コマンド一発で所有権を奪う
手順1〜2はクリック数が多くて大変です。黒い画面(コマンドプロンプト)を使えば、たった2行で同じ処理が完了します。
💻 コマンドの使い方
- スタートボタンを右クリックし、[ターミナル (管理者)] または [コマンドプロンプト (管理者)] を開きます。
- 以下の2つのコマンドを順番に入力してEnterキーを押します。
(※D:\LockedFolderの部分は、開きたいフォルダのパスに書き換えてください)
① 所有権を取得する:
takeown /f "D:\LockedFolder" /r /d y
② フルコントロール権限を与える:
icacls "D:\LockedFolder" /grant Administrators:F /t
処理が終われば、すぐにアクセス可能になります。
手順4:緑色の文字(暗号化)の場合は諦める
もし、ファイル名が「緑色」で表示されていて開けない場合、それはアクセス権の問題ではなく「EFS(ファイルシステム暗号化)」がかかっています。
- これは「暗号化した時のユーザー(元のPCのログイン情報)」がいないと絶対に開けません。
- 所有権を取得しても、「アクセスが拒否されました」と弾かれます。
- 元のPCで暗号化を解除するか、証明書(キー)をバックアップしていない限り、復旧は不可能です。
まとめ:管理者でも「所有者」ではない
アクセス拒否解除のステップです。
| ステップ | 設定内容 | 意味 |
|---|---|---|
| 1 | 所有者の変更 | 名義を自分(Everyone)にする |
| 2 | サブコンテナーの置換 | 中身もまとめて名義変更 |
| 3 | フルコントロール付与 | 読み書きの鍵を渡す |
「自分はPCの管理者だから何でもできるはず」と思いがちですが、NTFSの世界では「所有者」が絶対です。
古いHDDのデータを取り出す際は、まずこの「所有権の取得」が通過儀礼となります。
