「スマホで聴くと高音質なのに、Windowsのパソコンに繋ぐと『AMラジオのようなスカスカの音』になる」「Zoomが終わった後も、ずっと『水中にいるようなこもった音』が続いて音楽が楽しめない」……。
故障を疑いたくなりますが、これはWindowsがあなたのイヤホンを「音楽用ヘッドホン」ではなく「通話用ヘッドセット」として誤認識(または切り替え)しているのが原因です。
Bluetoothには「音楽用の高音質モード」と「通話用の低音質モード」があり、Windowsはこの切り替えが非常に下手なのです。
この記事では、低音質の元凶である「ハンズフリーテレフォニー」機能を無効化し、常に最高音質で固定する設定手順を解説します。
目次
手順1:【Win10の場合】スピーカーアイコンから切り替える
Windows 10を使っている場合、最も単純な原因は「再生デバイスの選択ミス」です。
- タスクバー右下の [スピーカーアイコン] をクリックします。
- デバイス名の右側にある [上向き矢印](またはデバイス名そのもの)をクリックしてリストを出します。
- 同じイヤホン名が2つありませんか?
- Headset (Hands-Free AG Audio) = ❌ 通話用(低音質・モノラル)
- Headphones (Stereo) = ⭕ 音楽用(高音質・ステレオ)
- [Headphones (Stereo)] の方を選んでください。
これだけで劇的に音が良くなります。
※Windows 11ではこの表示が統合されており、手動切替が難しいため、次の「手順2」が必須になります。
手順2:【最強の対処法】「ハンズフリー テレフォニー」を無効化する
「自分はPCで音楽や動画を見るだけで、マイク機能は使わない」という場合、低音質モード(通話機能)そのものをシステムから削除してしまうのが最も確実です。
⚠️ 注意
この設定を行うと、そのイヤホンのマイクがPCで使えなくなります。Zoomなどでマイクも使いたい場合は、会議の時だけ設定を戻すか、PC内蔵マイクを使ってください。
設定手順
- キーボードの [Windows] + [R] キーを押し、
control printersと入力して [OK] を押します。
(古い「デバイスとプリンター」画面が開きます) - 愛用しているBluetoothイヤホン(ヘッドセット)のアイコンを探し、右クリックします。
- [プロパティ] を選びます。
- 上のタブから [サービス] を選びます。
- リストの中にある [ハンズフリー テレフォニー (Hands-free Telephony)] のチェックを外します。
- [OK] を押して閉じます。
画面が一瞬点滅した後、イヤホンが再接続されます。
これでWindowsは「通話機能」を使えなくなるため、強制的に「高音質ステレオモード」だけで動作するようになります。
手順3:サウンドの「補正機能」をオフにする
音が変に響いたり、ボーカルだけ小さい場合は、余計な音響効果が邪魔をしています。
- [設定] > [システム] > [サウンド] を開きます。
- 出力デバイスの欄にあるイヤホンの [>](プロパティ)をクリックします。
- 「オーディオの強化(Audio Enhancements)」という項目を [オフ] にします。
- また、「立体音響」がオンになっていないかも確認し、不要ならオフにします。
手順4:マイクの使用をブロックする
「ハンズフリーを無効化したくない(マイクも使いたい)」けれど、勝手に低音質になるのを防ぎたい場合、アプリごとにマイクを禁止します。
- [設定] > [プライバシーとセキュリティ] > [マイク] を開きます。
- 「アプリにマイクへのアクセスを許可する」のリストを見ます。
- 音楽を聴いている最中に起動しているアプリ(例:ブラウザやゲーム)がマイクを使おうとしていませんか?
- 不要なアプリのスイッチを [オフ] にします。
何かのアプリがマイクを一瞬でも使うと、Bluetoothの仕様上、強制的に「低音質モード」に切り替わってしまうためです。
まとめ:PCでの高音質=マイクを捨てること
音質改善の重要ポイントです。
| モード名 | 特徴 | 用途 |
|---|---|---|
| Stereo (A2DP) | 高音質・マイク不可 | 音楽・動画・ゲーム |
| Hands-Free (HFP) | 低音質・マイク可 | 電話・Zoom会議 |
Bluetoothの帯域幅の限界により、「高音質」と「マイク」は同時には使えません。
音楽鑑賞に専念したいなら、手順2の「ハンズフリー テレフォニーの無効化」を行って、PCから電話機能を奪ってしまうのが正解です。
