社外へ送るExcelには、セルの内容に加えて作成者名、コメント、非表示のシートなどが残っていることがあります。「ドキュメント検査」は、こうした情報を確認するための機能です。ただし、検査結果に問題が出なければ全情報が安全という意味ではなく、検出しても自動削除できない項目もあります。
作業は原本を残した公開用コピーで行います。隠してある行やシートを削除すると計算結果に影響するため、検出した項目を読んでから、送付に不要なものだけを取り除きましょう。以下はWindows版デスクトップExcelの手順です。
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1. 原本と送付用コピーを分ける
最初に「名前を付けて保存」または「コピーを保存」で、たとえば「見積_社内用.xlsx」と「見積_送付用.xlsx」を分けます。自動保存を利用していると、後で保存せず閉じるつもりでも変更が記録されるため、検査前に別ファイルを作ることが大切です。作業中のタイトルバーで送付用を開いているか確認します。
基準になる合計、明細件数、シート名も控えます。見積書なら税抜合計・税込合計と明細の最終行、集計表なら対象期間と件数です。検査後に数式が壊れても、表示だけでは気付きにくいことがあります。変更前のPDFや印刷プレビューを手元に残して比較する方法もあります。
送付先が計算用ブックを必要としているかも確認してください。閲覧だけでよい場合にはPDFが適する場面もありますが、PDFにも本文やプロパティは残るため、変換しただけで情報点検を省略できるわけではありません。
2. 検査項目を選んで結果を読む
- 送付用コピーを開き、「ファイル」→「情報」を選ぶ。
- 「問題のチェック」から「ドキュメント検査」を開く。
- 表示された検査項目を読み、調べたい項目にチェックを入れる。
- 「検査」を実行し、見つかった情報の種類を確認する。
項目の名前や種類はExcelの版やブックの内容で変わります。最初は表示される項目を広く確認しますが、削除の判断は結果を読んでから行います。チェックを外した項目は調べていないので、その項目に情報がないとは判断できません。
結果では「ドキュメントのプロパティと個人情報」「コメントと注釈」「非表示のワークシート」などを区別して読みます。コメントに送付先への回答が含まれるなら、削除する前に必要な回答を本文へ移すことも検討します。単に警告の数をゼロにすることを作業の目的にしないでください。
3. 個人情報やコメントを項目ごとに削除する
作成者名や会社名などを送付先に含める必要がないと判断したら、対応する結果の「すべて削除」を選びます。この「すべて」は選んだ検査項目に対する操作です。内容を個別に見ず、各行のボタンを続けて押してしまうと、残すべき情報まで消す原因になります。
たとえば、コメントに「担当者へ原価を確認中」という社内メモがあり、セルには確定した見積額だけがある場合、送付用からそのコメントを取り除く判断ができます。一方、セル本文に担当者の携帯番号が直接入力されている場合、プロパティを削除しても番号は残ります。本文の点検が別に必要です。
削除後に「再検査」を実行し、対象項目の結果を確認します。検査による削除はCtrl+Zで戻せない場合があります。消す対象を誤ったときは原本から送付用を作り直すほうが、失われた情報を記憶で補うより確実です。必要な部分だけを残す判断をし直してください。
4. 非表示の行・列・シートは中身を見て判断する
非表示は不要という意味ではありません。たとえば、見積シートの合計が非表示の「単価表」を参照している場合、単価表を削除すると数式が#REF!になったり計算に必要な値を失ったりします。内容が分からない項目は検査画面を閉じ、再表示して用途を調べます。
| 見つかった内容 | 削除前に確認すること |
|---|---|
| 非表示の行・列 | 合計やグラフ、入力規則の元になっていないか |
| 非表示シート | 他シートの数式や名前から参照していないか |
| ヘッダー・フッター | 社名やページ番号など提出に必要な情報か |
送付先に単価表を見せられないなら、必要な結果だけを別の公開用ブックへまとめる方法を検討します。値に置き換えると再計算できなくなるため、相手が数量を変更して使う資料にはそのまま適用できません。資料の使い方を決めてから不要な情報を取り除く順序にします。
5. 検出されても自動削除できない情報を確認する
ドキュメント検査は、外部リンク、埋め込みファイル、VBAコード、ピボットテーブルなどに保存されたデータを検出しても、動作を壊すおそれがあるため自動では削除しない項目があります。「検査した」という事実だけで送付可と判断しないでください。結果に示された場所を確認し、不要なら公開用の構成を見直します。
外部リンクには社内ファイルの名前や保存場所が含まれることがあります。参照式だけでなく、名前の定義やグラフなども確認対象です。リンクを切ると数式が現在の値へ変わるため、元の合計が正しい状態かを確かめてから行います。リンク警告を消すためだけに、まとめて解除するのは避けます。
また、非表示列に置かれた図形やグラフなど、ほかの物体に覆われたオブジェクトは検出されないものがあります。列を再表示し、重なっている図形も個別に確認します。シート上の文章、画像内の氏名、埋め込まれた別文書は人の目でも確認します。画面上で見えないことと、受け手が取り出せないことは別です。
6. 保存後に計算と送付内容を見直す
削除が終わったらコピーを保存し、閉じて開き直します。控えておいた合計と件数を照合し、数式のエラー、空欄、グラフの欠落がないか確認します。たとえば合計が100万円のままでも、明細が1行抜けて値だけ残っていることがあります。合計だけでなく内訳の最終行まで見ます。
印刷プレビューでは、各シートのヘッダー・フッター、印刷される内容、空白ページを確認します。印刷範囲の外に残したメモは、プレビューに出ないため通常のシート表示で確認します。Excelファイルを渡す場合は、印刷範囲外も受け手が閲覧できるので点検が必要です。
再編集によってコメントやプロパティが追加されることもあります。保存時の個人情報削除設定が利用できる環境でも、本文やすべての隠れた情報を消し続ける保証にはなりません。編集を終えた送付用ファイルで最後に検査し、その後に社内メモを書き足さない運用にします。
7. 問題が見つかったら原本から作り直す
検査後に計算が変わったときは、変更を重ねてつじつまを合わせず、どの項目を削除したかを確認します。非表示シートや行の削除が原因なら原本を開き、依存している数式を調べます。壊れた送付用へ正しい合計だけを手入力すると、後の再計算で不整合が起きるため避けてください。
原本から新しい送付用コピーを作り、削除項目を減らしてやり直します。情報を外せないまま動作も必要な場合は、所有者に公開用の設計を相談します。検査機能だけで解決しようとせず、渡す列やシート、相手が編集する範囲を整理すると判断しやすくなります。
送付直前には、添付するファイル名と保存場所を再確認します。点検済みコピーを作っても、メールへ原本を添付しては意味がありません。原本を残し、削除対象を選び、計算を比較し、実際に渡すファイルを確かめるところまでを一つの作業にしてください。
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