【Excel】「マクロがブロックされました」と出る時の解除設定|信頼済み場所の登録手順(2025最新)

【Excel】「マクロがブロックされました」と出る時の解除設定|信頼済み場所の登録手順(2025最新)
🛡️ 超解決

Excelファイルを開いた際、画面上部に赤いバーで「セキュリティリスク:このファイルのソースが信頼できないため、Microsoftによりマクロの実行がブロックされました」という警告が表示され、マクロが一切動かないケースが2022年以降急増しています。以前のように「コンテンツの有効化」ボタンを押すだけでは解決できず、途方に暮れているユーザーも少なくありません。

これはMicrosoftがマルウェア対策として導入した「Mark of the Web(MOTW)」という強力な保護機能によるものです。インターネットからダウンロードしたファイルや、メールに添付されたファイルには自動的に「外部から来た」という属性が付与され、これがマクロの実行を阻害します。本記事では、ファイル単体のブロック解除方法から、組織的にマクロを安全に運用するための「信頼済み場所」の登録手順、さらには社内ネットワーク経由のファイルがブロックされる際の技術的対策を詳説します。

結論:マクロのブロックを解除する3つの主要ルート

  1. プロパティから「許可する」にチェック:個別のファイルに対して「信頼できる」と宣言します。
  2. 「信頼済み場所」としてフォルダを登録:特定のフォルダを安全地帯に指定し、中のファイルを一括許可します。
  3. インターネットオプションで「信頼済みサイト」に追加:社内ポータルやNAS経由のファイルをホワイトリスト化します。

1. 2022年以降に強化された「マクロブロック」の技術的背景

かつて、マクロの実行は「コンテンツの有効化」をクリックするだけで済みました。しかし、Emotetなどのマルウェアがこの仕組みを悪用し、マクロを通じてPCを乗っ取る被害が世界中で続出したため、MicrosoftはOfficeのセキュリティ設計を根本から変更しました。

「Mark of the Web(MOTW)」とは

Windowsのファイルシステム(NTFS)には、ファイルの出自を記録する「Zone.Identifier」という隠し属性があります。ウェブブラウザやメールソフト経由で保存されたファイルには、自動的に「ZoneID=3(インターネット)」という印が付けられます。最新のExcelはこの印を検知すると、ユーザーの意思に関わらず、マクロエンジンを完全に遮断する仕様になっています。

2. 手順①:個別ファイルのブロックを解除する(最も手軽な方法)

特定の1つのファイルだけマクロを動かしたい場合に最適です。

  1. 対象のExcelファイルを一度閉じます。
  2. ファイルを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
  3. 「全般」タブの一番下にある「セキュリティ」項目を確認します。
  4. 「許可する」(または「ブロックの解除」)にチェックを入れます。
  5. 「OK」をクリックし、再度ファイルを開きます。

※注意:ファイルを解凍(Unzip)する前にこの操作を行うと、中身のファイルすべてに許可が引き継がれます。解凍後に行う場合は、個別のファイルごとに操作が必要です。

3. 手順②:「信頼済み場所」を登録して自動化する

特定の業務フォルダにあるファイルは常にマクロを有効にしたい場合、フォルダ単位でセキュリティの例外設定を行います。これが最も実務的な「超解決」です。

  1. Excelを開き、「ファイル」 > 「オプション」を選択します。
  2. 「トラスト センター」(セキュリティ センター) > 「トラスト センターの設定」をクリックします。
  3. 左メニューの「信頼済み場所」を選択します。
  4. 「新しい場所の追加」ボタンをクリックします。
  5. 「参照」から、マクロ付きファイルを保管する専用フォルダを選択します。
  6. 「この場所のサブフォルダーも信頼する」にチェックを入れると、管理が容易になります。

この設定により、指定フォルダ内のファイルは「MOTW」の有無に関わらず安全だと判断され、警告なしでマクロが実行可能になります。

4. 応用:NASやファイルサーバーでブロックされる場合の対処

社内の共有フォルダ(\192.168.xx.xxなど)にあるファイルがブロックされる場合、Windowsがその場所を「ローカルネットワーク」ではなく「インターネット」だと誤認している可能性があります。

設定箇所 操作内容 効果
インターネットオプション セキュリティ > 信頼済みサイト > サイト > サーバーのURLを追加。 そのサーバー上の全ファイルを「内部リソース」として扱う。
トラストセンター(ネットワーク) 信頼済み場所 > 「自分のネットワーク上にある…」をオン。 IPアドレス指定のパスでも信頼済み場所への登録を許可。

5. 技術仕様:なぜ「マクロ設定」を変更しても直らないのか

よくある間違いとして、「トラストセンター > マクロの設定」で「すべてのマクロを有効にする」を選択しようとする人がいますが、これは推奨されませんし、ブロックの解決にもなりません。

  • マクロの設定:マクロが実行可能かどうかの「最終スイッチ」ですが、MOTWによるブロックはこれよりも高い優先順位で働きます。
  • 正しいアプローチ:マクロの設定は「警告を表示してすべてのマクロを無効にする」のままにしておき、特定のファイルや場所だけを手順①・②で「例外化」するのが、セキュリティと利便性を両立させる唯一の正解です。

まとめ:不透明な警告を論理的に解除する

Excelの「マクロブロック」は、Microsoftによる現代のセキュリティ強化の象徴です。一見すると不便ですが、その裏には「悪意あるファイルからPCを守る」という明確な意図があります。力技で設定を弱めるのではなく、プロパティの「許可」や「信頼済み場所」という公式のバイパス路を正しく使うことが、企業のITガバナンスを守りつつ業務効率を維持する賢い選択です。

まずは、個別のファイルで「プロパティ確認」を試してください。頻繁に使うツールであれば「専用フォルダの信頼済み登録」を行う。この2段構えの対策をマスターすることで、Excelは再び、あなたの強力な自動化ツールとして機能し始めます。システムの「意図」を理解し、正しい手順で制御することが、真の「超解決」への道筋となります。