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「6次の隔たり」とは

2023年8月2日放送「水曜日のダウンタウン」(TBS系)で検証企画が行われた「どんな業界でも底辺から頂点まで3人介せば辿り着ける説」。ここでは、この企画のベースとなった統計学の理論「6次の隔たり」について解説します。

「6次の隔たり」または「6度の分離理論」とは、地球上の他の誰でも6人以内のつながりで誰とでもと結ばれているという理論です。この概念は、ハンガリー生まれの作家フリギェシュ・カロイによる1929年の短編小説「Chains」から始まりました。その後、1960年代には社会学者のスタンリー・ミルグラムがこの概念を実験で確認し、「小世界現象」を提唱しました。

ミルグラムの「小世界実験」

1967年、ミルグラムは「小世界実験」を行いました。彼はアメリカ中の様々な場所に住む296人に小包を送り、特定の目標人物にそれを手渡すよう指示しました。ただし、参加者はその小包を直接目標人物に手渡すことはできず、自分が個人的に知っている人にだけ送ることができました。結果として、小包は平均的に5.5人を経由して目標人物に届き、「6次の隔たり」理論を裏付けました。

現代における検証と課題

その後、数十年にわたり「6次の隔たり」は数多くの研究で検証されてきました。2008年にマイクロソフトの研究者たちは、メッセンジャーの使用者間の連絡を分析し、平均的な経由数が6.6人であることを発見しました。一方、Facebookのデータ科学者も2016年に同様の研究を行い、全てのユーザー間の平均的な経由数は4.57人だと発表しました。

しかし、このような研究には限定性もあります。その理由は、全ての人々がインターネットにアクセスしているわけではないからです。世界人口の半分以上がまだインターネットに繋がっていないという事実を考えると、「6次の隔たり」は理論的な枠組みとして有用ですが、絶対的な真実とは言えないのかもしれません。

「6次の隔たり」の根拠

「6次の隔たり」が成り立つ根拠は、ネットワークの構造にあります。人々が他人との関係を持つためには、その人々が他人とつながっている数、すなわち「次数」が大切です。例えば、あなたが100人の友人を持っていて、それぞれの友人もまた100人の友人を持っているとすると、あなたはすでに2つの隔たりで10,000人とつながっていることになります。

しかしこの計算は、実際の人間関係のネットワークでは成り立たない可能性があります。というのも、友人の友人がすでにあなたの友人である可能性があるからです。これは「クラスタリング係数」と呼ばれ、現実の社会ネットワークでは非常に高い傾向があります。

こののように、「6次の隔たり」は現代社会における人々のつながりを理解するための重要な理論的枠組なのです。

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