会社で配布されているパソコンが、特定の時間帯に突然動作鈍くなることはありませんか。多くの場合、Microsoft Defenderの定期スキャンが原因で、CPUやディスクの使用率が急上昇し、業務に支障をきたすことがあります。しかし、セキュリティソフトを安易に停止したりファイルを許可したりすると、会社のセキュリティポリシー違反や感染リスクが生じます。本記事では、定期スキャンによるパフォーマンス低下の原因を切り分け、管理者へ適切に相談するための具体的な方法を解説します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: タスクマネージャーでリソース負荷の高いプロセスを特定し、Defenderのスキャン履歴を確認します。
- 切り分けの軸: スキャンの種類(クイック/フル/カスタム)、実行時間帯、端末のスペック、同時実行アプリの有無を確認します。
- 注意点: 会社PCではDefenderの無効化やスケジュール変更は管理者権限が必要です。自己判断で設定を変えず、必ず相談しましょう。
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目次
定期スキャンが重くなる主な原因
Microsoft Defenderの定期スキャンは、ウイルスやマルウェアを検知するために重要な機能ですが、実行中にPCのリソースを大量に消費します。特にフルスキャンは全ファイルを対象とするため、HDDを搭載した端末やメモリが4GB以下の端末では顕著な遅延が発生します。また、スキャンが業務時間内に自動実行されるようにスケジュールされている場合、ユーザーが気付かないうちに負荷がかかり、作業効率を低下させます。
デフォルトのスキャン時間と業務時間の重なり
Windows 10/11のMicrosoft Defenderは、既定で毎日午前2時頃にクイックスキャンを実行しますが、ノートPCがスリープ状態の場合はスキャンが遅延し、PC再開後に実行されることがあります。その結果、出社後すぐにスキャンが始まり、朝の忙しい時間帯にPCが重くなることがあります。また、グループポリシーで別のスケジュールが設定されている場合は、さらに不都合な時間にスキャンが走る可能性があります。
スキャン対象のファイル数とリソース消費
フルスキャンはすべてのファイルを検査するため、ファイル数が多い端末ほど時間がかかり、CPU使用率が100%近くになることもあります。特に、メールのキャッシュファイルや共有フォルダの大量のデータがある場合、スキャン時間が数時間に及ぶことも珍しくありません。スキャン中はディスクアクセスも頻繁に発生するため、他のアプリケーションのレスポンスが著しく低下します。
他セキュリティソフトとの競合
会社によっては、Microsoft Defender以外にEDR(Endpoint Detection and Response)製品や他社のウイルス対策ソフトを併用しているケースがあります。この場合、複数のセキュリティ製品が同時にスキャンを行うことで、負荷が倍増することがあります。特に、両方の製品がリアルタイム保護を有効にしていると、ファイルアクセスのたびに競合が発生し、PC全体の動作が不安定になることがあります。
業務影響を具体化して管理者に伝える方法
管理者に相談する際、「PCが重い」という抽象的な表現ではなく、具体的なデータを提示することで、迅速な対応が期待できます。以下の情報を記録して報告しましょう。
発生時刻と頻度の記録
まず、いつPCが重くなるのかを正確に把握します。タスクマネージャーのパフォーマンスタブでCPU、メモリ、ディスクの使用率を確認し、高い状態が続く時間帯をメモします。また、イベントビューアーでMicrosoft Defenderのスキャン開始イベント(イベントID 1001など)を確認すると、スキャンの実行開始時刻がわかります。これらを数日間記録し、パターンを見つけましょう。
使用中のアプリケーションとパフォーマンス指標
負荷が高いときにどのアプリケーションを使っていたか、具体的な業務内容(Excelのマクロ実行、大規模なデータベースクエリ、ビデオ会議など)を書き留めます。さらに、タスクマネージャーのスクリーンショットを撮影しておくと、管理者に視覚的に伝えられます。CPU使用率が90%以上で、MsMpEng.exe(Defenderのプロセス)がリソースを占有している場合、因果関係が明確です。
影響を受けた業務タスクと時間損失の推計
「スキャン中にExcelがフリーズし、データ入力が30分遅れた」「会議中に画面が固まり、プレゼン資料の表示に支障が出た」など、業務への具体的な影響を列挙します。時間損失を可能な範囲で定量化(例:1回あたり20分、週3回発生)すると、管理者が優先度を判断しやすくなります。
自分で確認すべき設定と情報収集
管理者へ報告する前に、自身で確認できる範囲の設定やログを調べておきましょう。ただし、変更は行わず、あくまで情報収集にとどめてください。
スキャン履歴の確認方法
- Windowsセキュリティアプリを開きます(スタートメニューから「Windowsセキュリティ」と検索)。
- 左側のメニューから「ウイルスと脅威の防止」をクリックします。
- 「脅威の履歴」セクションの「保護の履歴」をクリックし、直近のスキャン結果を確認します。
- 各項目をクリックすると、スキャンの種類や実行日時が表示されます。
- この画面のスクリーンショットを取得しておくと、報告時に有用です。
現在のスキャンスケジュール設定の確認
スケジュール設定は通常、管理者がグループポリシーやIntuneで制御しているため、ユーザーが直接確認できない場合があります。しかし、以下の場所で現在の設定を確認できることがあります。「タスクスケジューラ」を開き、Microsoft\Windows\Windows Defenderのフォルダを展開して、スケジュールされたタスクを確認してください。ただし、これらのタスクの実行条件をユーザーが変更することはできません。
除外設定の有無
管理者が特定のフォルダやファイルをスキャン対象から除外している場合、その情報も報告に役立ちます。「ウイルスと脅威の防止」→「ウイルスと脅威の防止の設定」→「設定の管理」→「除外」の順にクリックして、除外リストが表示されるか確認します。ただし、この画面が見えない場合は管理者がすべて制御しているため、無理にアクセスしようとしないでください。
管理者への相談時に提案できる代替案
問題を報告する際、自分から建設的な代替案を提案すると、話がスムーズに進みます。以下の案を参考に、状況に合ったものを伝えてみてください。
スキャン時間の調整
最も簡単な対策は、スキャンの実行時間を業務時間外、例えば昼休みや終業後に設定することです。Windows Defenderのスケジュールはグループポリシーで変更できるため、管理者に「午後1時から午後2時の間にスキャンを設定できますか」と具体的な時間帯を提案すると良いでしょう。
スキャン範囲の絞り込み
フルスキャンが重い場合、クイックスキャンやカスタムスキャンに変更することで負荷を軽減できます。クイックスキャンは一般的な感染経路(メモリ、起動フォルダなど)のみをチェックするため、通常は十分なセキュリティを保ちつつ短時間で終了します。また、特定のフォルダだけを対象とするカスタムスキャンも有効です。
EDR製品との統合設定の見直し
DefenderとEDR製品が競合している場合、管理者が両方の製品のスキャンスケジュールを調整したり、一方のリアルタイム保護を無効化(Defenderが主、EDRは検知のみなど)することで、負荷を削減できる可能性があります。ただし、この調整はセキュリティチームの判断に委ねるべき部分です。
絶対にやってはいけない自己対処
PCが重いからといって、以下の行為は厳禁です。会社のセキュリティポリシー違反になるだけでなく、端末を危険にさらすことになります。
リアルタイム保護の無効化
リアルタイム保護をオフにすると、ファイルを開いた瞬間のマルウェア検知が行われなくなり、感染リスクが大幅に上昇します。たとえ一時的に無効化しても、ウイルスに感染する可能性があり、会社のネットワーク全体に被害が拡大する恐れがあります。
検知されたファイルの自己許可(隔離からの復元)
Defenderが「脅威」と判断したファイルを、自分で許可したり隔離から復元したりする行為は絶対に避けてください。誤検知の可能性もありますが、本当にマルウェアであった場合、復元後に感染が広がります。正当なファイルであれば、管理者が適切に許可設定を行います。
レジストリやグループポリシーの変更
インターネット上の情報を参考に、レジストリエディタやローカルグループポリシーエディタでDefenderの設定を変更するユーザーがいますが、これは管理者権限がないと実行できないうえ、システムの安定性を損なう可能性があります。会社の管理下にある端末では、このような操作は絶対に行わないでください。
陥りがちな失敗パターンと判断基準
実際の現場でよくある失敗例を紹介します。自分の状況と照らし合わせて、適切な行動を取ってください。
| 失敗パターン | 原因 | 正しい判断基準 |
|---|---|---|
| Defenderをアンインストールしようとする | PCが重い原因をDefenderと誤認し、削除すれば解決すると考える | WindowsセキュリティはOS標準機能で削除不可。重さの原因がDefenderかどうかをタスクマネージャーで確認する |
| スキャン中にPCを強制再起動する | スキャンが長時間続くため、イライラして再起動してしまう | スキャンはバックグラウンドで安全に中断できる設計だが、強制終了はファイル書き込み中のデータ破損リスクあり。Ctrl+Alt+Delでタスクマネージャーを開き、Defenderのプロセスを終了させるほうが安全(ただしスキャンは中断される) |
| 自分でスキャン除外フォルダを追加する | 頻繁にアクセスするフォルダを除外すればスキャンが軽くなると考える | 除外は管理者がセキュリティリスクを評価した上で設定すべき。個人的な判断で除外を追加すると、重要なフォルダが未チェックになり危険 |
よくある質問
スキャン中でもメールやWeb会議は問題なく使えますか?
スキャンの負荷が高いと、メールの送受信やWeb会議に遅延や音声途切れが発生することがあります。特にCPUが100%近くになると、他のアプリケーションの動作が不安定になります。業務に支障が出る場合は、管理者にスキャン時間の変更を依頼してください。
クイックスキャンとフルスキャン、どちらを選べば良いですか?
通常の運用ではクイックスキャンで十分です。フルスキャンは、マルウェア感染が疑われる場合や、新しい端末の初期導入時などに実行します。定期スキャンが重い場合は、既定の設定がフルスキャンになっていないか確認し、管理者にクイックスキャンへの変更を相談してみましょう。
管理者に相談しても対応が遅いのですが、どうすれば良いですか?
まずは、先述の具体的なデータ(スキャン時刻、負荷のスクリーンショット、業務影響の時間損失)をまとめて再度報告してください。また、複数人の同僚が同じ問題を抱えている場合は、まとめて報告すると優先度が上がります。それでも改善されない場合は、上司や情報システム部門の別の担当者にエスカレーションすることも検討してください。
自分でスキャンの実行を一時停止できますか?
Windowsセキュリティの設定画面から、実行中のスキャンを一時停止することは可能です。ただし、これはあくまで緊急時の措置であり、恒久的な解決策ではありません。一時停止後はスキャンが再開されるまで端末の保護が弱まるため、可能な限りスキャンを完了させるか、管理者に適切なスケジュールを設定してもらいましょう。
まとめ
Microsoft Defenderの定期スキャンによるPCの動作遅延は、適切に原因を切り分けて管理者に相談することで改善できます。まずはタスクマネージャーとスキャン履歴で負荷の発生時刻を特定し、業務影響を具体的に記録しましょう。その上で、スキャン時間の調整やスキャン範囲の変更などを提案します。絶対に自己判断でセキュリティ機能を無効化したりファイルを許可したりせず、会社のポリシーに従って安全に運用してください。
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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