ネットワーク上の共有プリンターを利用していると、印刷のたびにユーザー名とパスワードの入力を求められる現象が発生することがあります。この問題は、プリントサーバーへの接続に必要な資格情報が正しく保存されていない、または保存内容が古くなっていることが主な原因です。会社のセキュリティポリシーによって資格情報の再入力を強制する設定が有効になっている場合もありますが、個々の端末側で設定を見直すことで解決できるケースも少なくありません。この記事では、Windowsの資格情報マネージャーを中心に、保存状態の確認方法と問題の切り分け手順を具体的に解説します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: Windowsの「資格情報マネージャー」で、プリントサーバーに関連する資格情報が保存されているかどうか。
- 切り分けの軸: 資格情報マネージャーの保存内容、プリンタードライバーの設定、ネットワーク接続状態の3点で原因を分類します。
- 注意点: 会社PCでは管理者権限が必要な操作があります。社内ポリシーで資格情報の保存が禁止されている場合は、管理者に確認してから対処してください。
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目次
資格情報マネージャーで保存状態を確認する基本手順
Windowsには、各種ネットワークリソースへのアクセスに使うユーザー名とパスワードを一元管理する「資格情報マネージャー」という機能が備わっています。プリントサーバーへの接続に使われる資格情報もここに保存されるため、最初にこの場所を確認します。以下の手順で、現在保存されている資格情報の一覧を表示し、プリントサーバーに関連するエントリーを探します。
- キーボードのWindowsキーを押しながらRキーを押して「ファイル名を指定して実行」ダイアログを開きます。
- 「control keymgr.dll」と入力し、Enterキーを押します。これで資格情報マネージャーが起動します。
- 「Windows資格情報」タブをクリックします。ここに保存されているすべての資格情報が表示されます。
- 一覧の中から、プリントサーバーのホスト名またはIPアドレスが含まれるエントリーを探します。通常は「TERMSRV」「MicrosoftAccount」などのプレフィックスが付いていますが、プリントサーバー用のエントリーは「Server:」や「PrintServer」といった名称で表示されることが多いです。
- 該当するエントリーをクリックすると、保存されているユーザー名とパスワード(伏せ字で表示)を確認できます。
- もしエントリーが存在しない場合は、資格情報が全く保存されていない状態です。逆に、存在してもパスワードが古い可能性があります。その場合は、該当エントリーを選択して「削除」をクリックし、新しい資格情報を保存し直す必要があります。
資格情報を削除した後、もう一度プリンターに印刷を試みると、自動的に認証ダイアログが表示されます。ここで正しいユーザー名とパスワードを入力し、「資格情報を保存する」にチェックを入れて接続すると、次回以降は保存された資格情報が使われます。
コマンドプロンプトを利用した資格情報の管理とトラブルシューティング
資格情報マネージャーに加えて、コマンドプロンプトを使うことでより詳細な操作や状態確認が可能です。特に、複数の資格情報が絡む場合や、管理者権限が必要な処理にはコマンドラインが便利です。以下に代表的なコマンドとその使い方を示します。
既存の資格情報を一覧表示する
管理者としてコマンドプロンプトを開き、次のコマンドを実行します。
cmdkey /list
出力結果から、プリントサーバーに対応するエントリーを探します。エントリー名は通常「TERMSRV/サーバー名」や「MicrosoftAccount/ユーザー名」のような形式ですが、プリントサーバーの場合は「Server:」で始まるものもあります。見つかったエントリーの名前をメモしておきます。
特定の資格情報を削除する
削除するには、次のコマンドを実行します。エントリー名は先ほどメモしたものに置き換えてください。
cmdkey /delete:エントリー名
例えば、エントリー名が「Server:192.168.1.10」なら「cmdkey /delete:Server:192.168.1.10」と入力します。
新しい資格情報を追加する
コマンドで直接資格情報を追加することも可能です。ただし、平文でパスワードを入力するため、セキュリティ上のリスクがあります。社内環境で使用する場合は注意してください。
cmdkey /add:サーバー名 /user:ドメイン\ユーザー名 /pass:パスワード
この操作は管理者権限が必要な場合があります。また、パスワードに特殊文字が含まれていると正しく認識されない可能性があるため、資格情報マネージャーのGUIを使う方が安全です。
プリンター接続設定の見直しとドライバーの確認
資格情報が正しく保存されていても、プリンターの接続設定やドライバーが原因で毎回認証が求められることがあります。特に、ネットワークプリンターのプロパティで「接続時に資格情報を要求する」オプションが有効になっている場合や、古いドライバーがインストールされている場合です。
プリンターのプロパティを確認する手順は以下の通りです。
- コントロールパネルを開き、「デバイスとプリンター」を選択します。
- 対象のネットワークプリンターを右クリックし、「プリンターのプロパティ」を選びます。
- 「ポート」タブで使用しているポートの種類を確認します。Standard TCP/IP Portを使用している場合、ポートの構成で「LPR」や「Raw」の設定が適切かどうかも重要です。
- 「詳細設定」タブで「印刷プロセッサ」や「既定の設定」に問題がないか確認します。
- 「セキュリティ」タブで現在のユーザーに「印刷」のアクセス許可があることを確認します。
- プリンターのドライバーが最新であるかどうかも確認します。デバイスマネージャーでプリンターのドライバーバージョンを調べ、メーカーのサポートサイトと照らし合わせてください。
特に、ドライバーの更新は資格情報の保存動作に影響を与えることがあります。新しいドライバーでは認証方式が変更されている可能性があるため、一度ドライバーを再インストールするのも有効な方法です。
プリントサーバー側の設定とネットワーク接続の確認
端末側でどんなに設定を変更しても、プリントサーバー側の設定やネットワーク接続に問題があると、毎回資格情報を求められる状態が続きます。特に、サーバーがWindows Serverのプリントサーバー機能を使っている場合、グループポリシーやセキュリティポリシーが影響することがあります。
確認すべきポイントは以下の通りです。
- プリントサーバーへの接続性: pingコマンドでサーバーのIPアドレスまたはホスト名に応答があるか確認します。応答がない場合はネットワークの問題である可能性が高いです。
- サーバー上のキュー状態: サーバー側で印刷キューが一時停止になっていないか、大量のジョブが滞留していないかを確認します。これにより認証が正常に完了しないことがあります。
- サーバーのセキュリティポリシー: 例えば、サーバー側で「認証の再入力を常に要求する」ポリシーが有効になっている場合、端末側でいくら保存しても毎回聞かれます。この設定はサーバーの管理者に確認する必要があります。
- 同時接続数の上限: プリントサーバーに多数のクライアントが接続している場合、ライセンスや同時接続数の上限に達していないか確認します。
ネットワーク接続については、ワイヤレスと有線の違いも確認します。無線LANで接続している場合、認証のたびに電波状況やIPアドレスの変更が影響することがあります。可能であれば有線接続で試してみて、問題が再現するかどうかを切り分けます。
状況別の原因特定と対処法の比較
毎回資格情報が求められる原因は複数考えられます。以下の表は、代表的な症状とその原因、そして推奨する対処法をまとめたものです。自分の状況に当てはめて確認してください。
| 症状の詳細 | 考えられる原因 | 推奨する対処法 |
|---|---|---|
| 印刷ダイアログで毎回ユーザー名とパスワードを入力する画面が出る | 資格情報マネージャーに該当サーバーのエントリーがない、またはパスワードが間違っている | 資格情報マネージャーでエントリーを確認し、一度削除してから再度正しい資格情報を保存する |
| 印刷を実行すると「アクセスが拒否されました」と表示される | プリントサーバー側でユーザーアカウントのアクセス権限がない、またはアカウントがロックアウトされている | サーバー管理者に連絡し、ユーザーアカウントの権限を確認してもらう |
| 資格情報を保存したはずなのに、PCを再起動すると再度聞かれる | グループポリシーで資格情報の保存が禁止されている、またはドライバーの設定が保存を許可していない | 管理者にグループポリシーの設定を確認してもらう。または、ドライバーを最新版に更新する |
| 他のPCでは問題なく印刷できるが、特定のPCだけ毎回聞かれる | そのPCの資格情報マネージャーに古いエントリーが残っている、またはネットワークプロファイルが異なる | 該当PCの資格情報マネージャーをすべてクリアし、プリンターを削除してから再追加する |
| 印刷前に必ず「Windowsセキュリティ」ダイアログが表示される | プリンターのポート設定またはドライバーが資格情報の入力を必須にしている | プリンターポートの設定で「接続時に資格情報を要求する」オプションが有効なら無効にする |
よくある質問と失敗から学ぶ対処ポイント
ここでは、現場でよく見られる質問や失敗事例をQ&A形式でまとめました。実際のトラブルシューティングの参考にしてください。
Q1: 資格情報マネージャーにエントリーを削除しても、印刷時に毎回パスワードを聞かれます。どうすればいいですか?
A1: 削除しただけでは不十分な場合、プリンター自体を一度削除してから再追加することで、関連するすべてのキャッシュがクリアされることがあります。また、コマンドプロンプトで「net use * /delete」を実行して、ネットワークドライブの接続もすべて解除してから再試行してみてください。
Q2: パスワードを変更した後、毎回聞かれるようになりました。なぜですか?
A2: 資格情報マネージャーに古いパスワードが保存されたままになっている可能性が高いです。該当エントリーを削除して、新しいパスワードで接続し直してください。この時、保存するオプションを忘れずにチェックします。
Q3: 管理者から「資格情報の保存は禁止」と言われました。どうすればよいですか?
A3: その場合、端末側で保存することはできません。ただし、毎回入力するのは非効率ですので、管理者にスマートカード認証やシングルサインオンなどの代替手段を提案してみてください。どうしても保存したい場合は、管理者にポリシーの例外申請を出す必要があります。
Q4: プリンターの追加時に「資格情報が必要」と表示され、入力しても先に進めません。
A4: この場合、プリントサーバーに到達できていない、またはユーザーアカウントに権限がない可能性があります。まずpingでサーバーへの到達性を確認し、次にサーバー管理者にアカウントのアクセス権を確認してもらいます。また、ファイアウォールでプリンターポート(TCP 9100など)がブロックされていないかも確認してください。
まとめ
プリントサーバーへの接続時に毎回資格情報が求められる問題では、最初にWindowsの資格情報マネージャーを確認することが最も有効な手です。保存されているエントリーが古い、または存在しない場合は、削除してから新しい資格情報を保存し直すことで大半のケースが解決します。それでも改善しない場合は、ドライバーやプリンターポートの設定、サーバー側のポリシーを順に確認してください。
会社のセキュリティポリシーで資格情報の保存が制限されている場合は、個人で設定を変更するのではなく、必ず管理者に相談した上で対応を進めてください。端末側の操作だけで解決できない場合には、ネットワーク接続やサーバー設定の確認が必要です。本記事で紹介した切り分け手順を実践することで、問題の原因を迅速に特定し、適切な対処につなげてください。
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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