Excelの図形を一部分だけ伸ばしたい、長方形の角を斜めにしたい、といった場合には[頂点の編集]を使います。図形全体の拡大縮小とは違い、輪郭を構成する点や、その点につながる線を調整する機能です。
最初から複雑な矢印を作るより、複製した長方形で「一点だけ動かす」「点を追加する」「曲線を調整する」の順に試すと、何を操作しているか分かりやすくなります。ここではデスクトップ版Excelを前提に、Windowsのキー操作を併記します。Web版などで同じ項目が出ない場合は、利用できるデスクトップ版で確認してください。
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1. サイズ変更・調整ハンドル・頂点編集を使い分ける
図形を普通に選択したときに周囲へ出るハンドルは、図形全体の大きさを変えるものです。図形によって表示される色付きの調整ハンドルは、矢印の軸の太さや吹き出しの指示位置など、その図形に用意された部分を調整します。
頂点の編集で現れる点は輪郭そのものを変えるためのものです。矢印の長さや先端の幅を少し変えるだけなら、まず通常の調整ハンドルを試します。角を一か所だけ移したり、途中に折れ目を作ったりする必要があるときに頂点編集を選びます。
多くの図形で頂点を編集できますが、すべての図や画像が対象になるわけではありません。写真やスクリーンショットを選んでも、写っている輪郭の点をこの機能で動かすことはできません。図形・画像・グループのどれを選択しているかを確認します。
2. 長方形を複製して一点だけ動かす
[挿入]→[図形]から長方形を選んで配置します。元の形を残すため、コピーして横に貼り付け、複製側を編集します。文字はまだ入れず、輪郭の変化だけを見られる状態にしましょう。
- 複製した長方形の枠をクリックして選択します。
- [図形の書式]→[図形の編集]→[頂点の編集]を選びます。右クリックメニューに同項目がある場合は、そこからも開けます。
- 輪郭上に現れた頂点のうち、右上の一点を左へ少しドラッグします。
- 図形の外をクリックして編集を終え、元の長方形と比較します。
右下など他の頂点を動かさず右上だけを左へ寄せると、右辺が斜めになります。図形全体を縮めた場合と違い、左辺や下辺の位置は残ります。動かす対象を一つに絞れば、誤操作で全体を移動したのか、頂点を変えたのかも判断しやすくなります。

形が意図と違う場合、ドラッグ中ならマウスボタンを離す前にEscで変更を取り消せます。確定後は元に戻す操作を使います。何点も続けて変える前に、一操作ごとの変化を確認してください。
3. 頂点を追加・削除して輪郭を作る
Windowsでは、頂点編集モードで輪郭線上をCtrlを押しながらクリックすると、そこに点を追加できます。既存の頂点をCtrlを押しながらクリックすると、その点を削除します。線上の何もない場所を押すのか、既存の点を押すのかで結果が逆になるため、拡大して位置を確認すると操作しやすくなります。
長方形の上辺の中央へ一点追加し、その点を少し下へ動かすと、上側にくぼみを作る練習ができます。次に追加した点を削除して、前後の点がどのようにつながるかを確認します。曲線を含む図形では、点を削除した後に必ず直線になるとは限らないので、輪郭全体を見直します。
点を増やすほど自由に形を変えられますが、微調整する場所も増えます。滑らかな曲線を作るために短い線分と点を大量に並べると、かえって輪郭が波打ちやすくなります。まず少数の点で大まかな形を作り、足りない部分だけを追加しましょう。
不要な頂点を消したいときと、図形全体を消したいときも操作を分けます。図形を通常選択した状態でDeleteを押すと、図形全体が消えます。誤って削除したら、すぐ元に戻して対象を選び直してください。
4. 曲線は頂点と方向ハンドルを別々に調整する
頂点を選ぶと、その点につながる方向ハンドルが表示されることがあります。頂点の位置を変える操作は輪郭の通る場所を移し、ハンドルを動かす操作は点の周辺の曲がり方を変えます。最初は点を固定したままハンドルだけ動かして、違いを確かめると理解しやすくなります。
頂点には滑らかにつなぐもの、接線方向を保ちつつ左右の長さを変えるもの、角を作るものがあります。表示される名称は環境によって確認し、右クリックの選択肢やWindowsの補助キーを使い分けます。
- 滑らかな点: Shiftを押しながらハンドルをドラッグして、左右のつながりを滑らかにする設定を試します。
- 直線上につなぐ点: Ctrlを押しながらハンドルをドラッグし、左右の長さが異なるつながりを調整します。
- 角を作る点: Altを押しながらハンドルをドラッグし、異なる方向へ伸びる線のつながりを作ります。
点そのものをCtrl+クリックする削除操作と、ハンドルをCtrl+ドラッグする操作は別です。押している場所を取り違えないでください。曲線の細かな差が分からないときは表示倍率を上げ、確定後に通常の倍率へ戻して不自然な膨らみがないか見ます。
5. 吹き出し・矢印・フリーフォームへの応用
吹き出しの指示先を少し変えるだけなら、最初にその図形の調整ハンドルを使います。頂点編集が必要な場合は、先端の点を目的の位置へ移し、文字を置く本体側は大きく変えないようにします。文字が指示線に重なる場合は、輪郭の変形だけで解決せず、本体の位置や文字量も見直します。
矢印は先端を鋭くしたいのか、経路を曲げたいのかで方法が変わります。図形どうしの接続を保ちたい用途なら、独自の輪郭を作るよりコネクタが適しています。線として引いた矢印と、面を持つブロック矢印では編集対象が異なるので、目的に合う種類から始めましょう。
最初から折れ曲がった形が必要なら、[挿入]→[図形]の線の種類から[フリーフォーム]を選びます。直線部分は始点と次の点を順にクリックし、曲線部分はドラッグして描きます。開いた線で終えるときはダブルクリック、閉じた図形にするときは始点の近くをクリックします。作成後に頂点を減らしたり動かしたりして整えます。
簡単な配置図に応用できますが、長さや面積の正確さを頂点の見た目だけで保証することはできません。寸法が必要な資料では、数値の根拠と縮尺を別に確認します。形が自由になることと、精密な作図ができることは区別してください。
6. 文字・重なり・印刷を点検する
輪郭を変えた後は、図形の中に文字を入れて収まりを確認します。図形の外観を斜めにしても、文字の配置が輪郭に沿って自在に変わるわけではありません。必要ならテキストボックスを分ける、内側の余白を調整する、図形を広げるなどして読みやすさを保ちます。
塗りつぶしで下のセルを隠していないか、ほかの図形と重なって指示先が分からなくなっていないかも確認します。編集時の拡大表示だけでなく、通常の倍率と印刷プレビューで見てください。細すぎる先端や小さな切り欠きは、縮小すると意味が伝わらなくなることがあります。
完成した図形を繰り返し使うなら、その形をコピーして使い回すと、同じ資料内で輪郭のばらつきを抑えられます。ただし編集前の元図形も別に残します。頂点編集後に種類を変更して元と完全に同じ形へ戻せることを前提にしないほうが、修正時に困りません。
7. 変更を戻せる状態で仕上げる
作業をやり直すときは、直後の操作なら元に戻す、途中からなら残しておいた元図形を複製し直す、と使い分けます。編集前に保存したブックも残しておけば、図形を誤って消した場合にも比較できます。
仕上げの確認は、伝えたい箇所を指しているか、文字を隠していないか、印刷しても輪郭が分かるかの三点です。頂点は多ければよいわけではありません。少ない点で必要な変形だけを加えると、見た人にも修正する人にも扱いやすい図形になります。
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