会社の複合機でScan to SMB(スキャンしたデータをネットワーク上の共有フォルダーに保存する機能)を利用している際、Active Directoryのパスワード変更やアカウント名変更など、資格情報を更新したタイミングで「保存できない」「アクセス拒否」「パスワードが違う」といったエラーが発生することがあります。この記事では、資格情報の更新後にScan to SMBが使えなくなった場合に、Windows PCから共有先のフォルダー設定や資格情報の一致を確認する手順を、実務に即して解説します。
【要点】この記事で確認すること
- 最初に見る場所: 複合機の操作パネルに表示されるエラーコード、Windowsの資格情報マネージャー、共有フォルダーのプロパティ。
- 切り分けの軸: 端末側の資格情報の不一致、複合機側の設定ミス、ネットワーク到達性の問題、フォルダーのアクセス権限の不足。
- 注意点: 会社PCのレジストリや複合機の管理者設定は勝手に変更せず、必ず情報システム部門や機器管理者に確認すること。
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目次
資格情報更新後にScan to SMBが使えなくなる原因
Scan to SMBは、複合機がネットワーク上の共有フォルダーにアクセスする際に、あらかじめ登録されたユーザー名とパスワードを使って認証を行います。このため、Active Directoryのパスワード変更やアカウント名の変更が発生した場合、以下のいずれかの箇所で情報の不一致が起こると保存に失敗します。
よくある原因の分類
- Windowsの資格情報マネージャーに古い情報が残っている – 社内PCで共有フォルダーにアクセスする際に利用する資格情報が更新されず、古いパスワードがキャッシュされているケースです。
- 複合機に登録された認証情報が更新されていない – 複合機のアドレス帳やジョブ設定に組み込まれているユーザー名・パスワードが古いままの場合です。
- 共有フォルダーのアクセス権限が変更された – 部署異動やセキュリティ強化に伴い、共有フォルダー自体のNTFS権限や共有権限が変更されたケースです。
- SMBプロトコルのバージョン不一致 – 複合機が対応するSMBバージョンが古く、Windows Server側でSMB1.0が無効になっている場合などに発生します。
まずは、PC側から共有先のフォルダーにアクセスできるかどうかを確認し、その後で資格情報の整合性をチェックするのが効果的です。
共有フォルダーへのアクセス確認(PC側)
複合機のトラブルを疑う前に、自分が使っているWindows PCから共有フォルダーにアクセスできるかを調べます。この確認でPCからもアクセスできない場合は、複合機の設定以前にネットワークや権限の問題が疑われます。
手順:エクスプローラーで共有フォルダーを開く
- エクスプローラーを開き、アドレスバーに共有フォルダーのパス(例:\server\share)を入力してEnterキーを押します。
- 認証ダイアログが表示された場合は、更新後のユーザー名とパスワードを入力します。「資格情報を記憶する」にチェックを入れておくと、次回からのアクセスがスムーズです。
- フォルダーの内容が表示されれば、PCからは問題なくアクセスできる状態です。この場合、複合機側の設定や資格情報が原因である可能性が高まります。
- 「ネットワーク パスが見つかりません」や「アクセスが拒否されました」というエラーが表示される場合は、共有フォルダー自体に問題があるか、PCがネットワークに正しく接続されていない可能性があります。
- 管理者権限がない場合は、これらのエラーを情報システム部門に報告する必要があります。その際、エラーメッセージの全文と、アクセスしようとしたパスを伝えてください。
Windowsの資格情報マネージャーを確認・更新する
PCから共有フォルダーにアクセスできた場合でも、複合機が利用する資格情報とは別に、Windowsに保存された古い資格情報が影響していることがあります。特に、過去に「資格情報を記憶する」を選択した場合、その情報が残ったまま更新されないケースが多いです。
資格情報マネージャーの開き方と確認手順
- Windowsのスタートボタンを右クリックし、「コントロールパネル」を選択します。表示方法を「大きいアイコン」に切り替え、「資格情報マネージャー」をクリックします。
- 「Windows資格情報」タブを開き、「一般的な資格情報」の一覧を確認します。共有フォルダーのサーバー名(例:server)や完全修飾ドメイン名(例:server.contoso.com)に関連するエントリーがないか探します。
- 該当するエントリーが見つかった場合は、その右側にある矢印をクリックして詳細を展開します。「編集」または「削除」を選び、パスワードを更新するか、エントリーを削除して次回アクセス時に新たな資格情報を入力させます。
- 削除した場合、再度エクスプローラーで共有フォルダーにアクセスし、新しいパスワードを入力して保存し直してください。
- 資格情報マネージャーを閉じ、複合機で再度スキャンして保存できるか試します。PC側の資格情報が更新されたことで、複合機が使用する資格情報が新しくなるわけではありませんが、複合機の通信経路にPCの認証情報が絡む一部の構成では効果があります。
複合機に設定された認証情報を確認する
複合機本体に登録されているScan to SMBの送信先設定を確認します。機種によって操作方法は異なりますが、一般的な手順を以下に示します。
複合機の操作パネルから確認する手順
- 複合機のタッチパネルで「スキャン」や「送信」などのメニューを選択し、保存先の一覧を表示します。
- 問題が発生している保存先を選択し、「編集」や「詳細設定」を開きます。
- 「ユーザー名」や「パスワード」の項目を探し、現在登録されている内容が更新後の資格情報と一致しているか確認します。ユーザー名は「domain\username」形式や「username@domain」形式の場合があるので注意してください。
- パスワードが古いままであれば、新しいパスワードに変更します。この操作には管理者権限が必要な機種もあるため、ロックされている場合は情報システム部門に依頼してください。
- 設定を保存し、テスト送信を行います。複合機によっては「接続テスト」機能があるので、それを利用すると手間が省けます。
ネットワーク疎通とSMBプロトコルの確認
資格情報の確認だけでは解決しない場合、ネットワークレベルの問題を疑います。複合機から共有フォルダーが存在するファイルサーバーに対して、正しく通信できるかの確認が必要です。
pingやポートの確認
- 複合機のIPアドレスを確認する – 複合機の設定画面やネットワーク構成表からIPアドレスを調べます。
- PCから複合機へpingを実行 – コマンドプロンプトで「ping 複合機のIPアドレス」と入力し、応答があるか確認します。応答がない場合はネットワーク接続に問題があります。
- ファイルサーバーの名前解決を確認 – 複合機がサーバー名を正しく解決できるかどうかは、管理者に確認が必要です。複合機のDNS設定が正しいか、ADのレコードが更新されているかがポイントです。
- SMBポートの開放 – SMB通信にはTCP 445番(SMB over Direct)または137~139番(NetBIOS over TCP/IP)が使用されます。ファイアウォールでこれらのポートが遮断されていると、複合機からアクセスできません。
失敗パターンと管理者へ伝える情報
実際の現場でよくある失敗パターンをいくつか挙げ、その際に管理者にどのような情報を伝えればスムーズに調査できるかを説明します。
| 失敗パターン | 原因の例 | 管理者に伝える情報 |
|---|---|---|
| 「パスワードが違います」と表示される | 複合機に登録されたパスワードが古い、またはアカウントがロックされている | エラーメッセージの全文、最終更新日時、対象の共有フォルダーパス |
| 「ネットワーク パスが見つかりません」 | サーバー名の解決失敗、IPアドレスの変更、複合機のDNS設定ミス | 複合機のIPアドレス、PCからサーバーへのping結果、DNSサーバー設定 |
| アクセス権限がないエラー | 共有フォルダーのNTFS権限または共有権限から、複合機が使用するアカウントが除外された | 複合機で使用しているユーザー名、フォルダーのパス、権限変更の有無 |
| スキャンは成功するがファイルが0バイト | 複合機の書き込み権限不足、フォルダーのクォータ超過 | 複合機のログに記録されたエラーコード、テストファイルの作成可否 |
よくある質問
このトラブルに関して、社内でよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1. 複合機の設定画面でパスワードを変更しようとしたが、管理者パスワードを求められた。どうすればよいか?
A. 複合機の設定変更には管理者権限が必要な機種がほとんどです。情報システム部門に連絡し、変更依頼を出してください。その際、変更したいユーザー名と新しいパスワードを正確に伝えましょう。
Q2. 資格情報マネージャーに該当するエントリーが見つからない。
A. その場合、PC側の資格情報は問題ではない可能性が高いです。複合機に直接登録されている資格情報や、共有フォルダーのアクセス権限を重点的に確認してください。
Q3. 複合機で「SMB1.0が必要です」というメッセージが出た。
A. これは複合機が古いSMBプロトコルを使用していることを示します。現代のWindows環境ではSMB1.0は無効化されていることが多く、複合機のファームウェアを更新するか、SMB2.0以上に対応した設定に変更する必要があります。管理者に対応を依頼してください。
まとめ
資格情報更新後のScan to SMB保存エラーは、PC側の資格情報マネージャー、複合機の設定、共有フォルダーの権限、ネットワーク疎通という4つの観点から切り分けることで、原因を絞り込みやすくなります。まずはPCから共有フォルダーにアクセスできるかを確認し、次に資格情報マネージャーで古い情報を更新します。それでも解決しない場合は、複合機に登録された認証情報を再設定し、最終的にはネットワークやSMBプロトコルの問題を管理者に依頼してください。これらの手順を踏むことで、無駄な問い合わせや作業を減らし、早期にScan to SMBを復旧できます。
超解決 第一編集部
疑問解決ポータル「超解決」の編集チーム。正確な検証と、現場視点での伝わりやすい解説を心がけています。
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