バックアップとは、故障や誤操作などで必要なデータを使えなくなったときに備え、復元に使うデータを保存しておくことです。保存した事実だけでなく、何を、いつの状態へ、どの方法で戻せるかが重要です。
クラウドにある、同期している、以前の版が表示されるというだけでは、必要な復旧ができるかは判断できません。また、サービスの機能名に「バックアップ」と書かれていても、対象がファイルだけなのか、設定やアプリも含むのかは異なります。自分が備えたい出来事と、復元できる範囲を合わせて確認しましょう。
- バックアップは、失ったデータや必要な状態を取り戻すための備えです。
- 同期、ごみ箱、バージョン履歴は、復元に使える条件がそれぞれ異なります。
- 対象・保存先・保存時点・保持期間・復元方法を決め、戻せるかを確認しましょう。
ADVERTISEMENT
バックアップはどのような出来事に備えるもの?
例えば、PCの故障、必要なファイルの削除、上書きによる内容の消失などに備えます。ただし、どの保存方法でも、これらすべてへ同じように対応できるわけではありません。PCが壊れた場合にクラウドからファイルを取り出せても、誤った上書きまで反映済みなら、上書き前の内容を取り戻せるとは限りません。
「明日、PCが起動しなかったら」「昨日の編集前へ戻したくなったら」と、具体的な場面で考えると必要な条件が分かります。前者では、PC以外の場所にデータがあり、そこへアクセスできることが重要です。後者では、過去の保存時点が残っているかを確認する必要があります。
会社のシステムや共有データでは、担当者、復元の権限、連絡先も重要です。自分がファイルを使えることと、障害時にバックアップを取り出せることは別です。担当者だけが知る保存先になっていないかも、組織の運用として確認しましょう。
同期・ごみ箱・バージョン履歴との違い
同期は、複数の場所へ変更を反映する仕組みです。削除も反映する同期なら、元の場所で消したファイルが、同期先からも消える場合があります。OneDriveの公式案内にも、端末での削除がクラウドや他の端末へ反映されることが説明されています。[1]
| 仕組み | 主な役割 | 確認する条件 |
|---|---|---|
| 同期 | 現在の変更を反映する | 削除や上書きも届くか |
| ごみ箱 | 削除した項目を一時的に残す | 完全削除前か、誰が戻せるか |
| バージョン履歴 | 同じファイルの以前の版を残す | 必要な版が残るか、復元権限があるか |
| バックアップ | 必要なデータを復元できるよう備える | 対象・時点・保存先・保持期間・復元方法 |
これらの機能を組み合わせて復旧に備える場合もあります。クラウドだからバックアップに使えない、履歴があれば別の備えは不要、と名前だけで決めることはできません。自分が戻したい状態を取り出せるかを具体的に確かめましょう。
例えば、月曜日の誤操作に金曜日になって気付く作業なら、直前の1回分だけを上書きする保存では不十分な場合があります。複数の保存時点を残す方法が必要かを検討しましょう。必要な保存期間は、仕事やデータの重要性によって異なります。
バックアップ対象と保存時点をどう決める?
まず、失うと困るデータを整理しましょう。文書や写真だけでなく、業務アプリ内の情報、設定、復元に必要な手順やアカウントが関係することもあります。ただし、ファイルのコピーだけで、アプリやOSまで元どおりに戻るわけではありません。
例えば、資料ファイルを保存してあっても、その資料を開くアプリを別途用意する必要がある場合があります。メールも、サーバーに残る内容と端末内だけの内容では扱いが異なります。製品のバックアップ説明で、含まれるものと含まれないものを確認しましょう。
Windows Backupの例では、ファイルや設定などの対象が案内されていますが、フォルダーの保存にはOneDriveへの同期が使われます。また、Windows Backupアプリは個人用Microsoftアカウントを使う環境を中心とした案内で、職場・学校のアカウントと同じ条件ではありません。名前だけで「PC全体が独立した複製になる」と判断しないよう注意しましょう。[2]
保存する頻度は、どのくらい前までの作業を失ってもよいかで考えます。毎日更新する重要な台帳と、変更の少ない過去資料では、必要な間隔が同じとは限りません。いつからの変更が対象に含まれるのか、最後の保存がいつ成功したのかを確認しましょう。
保存先を分けるときの注意点
普段のデータと、復元に使うデータが同じ故障や誤操作で同時に失われないかを考えましょう。PC内の同じ記憶装置へ別名でコピーしただけでは、その装置が壊れた場合の備えにならないことがあります。
また、バックアップ用の装置をPCへ常時接続していると、ランサムウェアなどの影響が保存先にも及ぶ場合があります。IPAは、保存先の分離や、定期的に復元できるかを確認することを案内しています。実際の接続方法や保管方法は、製品と組織のルールに合わせて決めましょう。[3]
会社のデータを守るためであっても、私物のUSBメモリや個人用クラウドへ無断でコピーすることは避けましょう。保存先の利用許可、アクセス権、暗号化や保管方法を担当者へ確認しましょう。外部へ持ち出すことで、別の情報漏洩リスクを作らないことが大切です。
復元時に必要なアカウントや認証手段も、元のPCを使えない状態で利用できるかを確認しましょう。バックアップがあるのにログインできない、復号に必要な情報が見つからない、といった事態を想定して準備しましょう。
保存できたか、復元できるかを確かめる
完了の表示や保存容量があることだけで、必要なデータを戻せるとは限りません。対象の選択漏れ、保存時点の違い、読み出せないデータがないかを確認する必要があります。確認作業で現在のデータを誤って上書きしないよう、復元先にも注意しましょう。
- バックアップの対象と、最後に成功した日時を確認しましょう。途中で失敗した記録がないかも確かめましょう。
- 復元できる保存時点や版を確認し、必要なファイルが含まれるかを確かめましょう。
- 製品や組織が案内する安全な方法で、テスト用の保存先へ取り出せるかを確認しましょう。
- 取り出したファイルを開き、必要な内容があるかを確認しましょう。元のデータへ戻す操作は、影響範囲を確認してから行いましょう。
故障や攻撃が起きた後は、以前の状態を慌てて上書きするより、管理者や正式な窓口へ状況を伝えることが重要な場合があります。バックアップの有無、保存した時点、困っているファイルを整理し、会社の復旧手順に従いましょう。
まとめ
バックアップでは、別に保存したことより、必要な状態へ復元できることが重要です。同期や履歴の条件も確認し、対象・保存先・時点・期間・戻し方を整理しましょう。会社のデータは許可された方法で扱い、定期的に復元できるかを確かめましょう。
出典
- Microsoft Support:OneDriveのファイルオンデマンド(削除の反映)
- Microsoft Support:Back up and restore with Windows Backup(対象とアカウント条件)
- IPA:中小企業のためのセキュリティインシデント対応の手引き(バックアップと復元の確認)
テクノロジー用語辞典の人気記事ランキング
まだデータがありません。
